旅レポ
リピーターが3年ぶりのサイパンへ。コロナ禍を経て、現地は実際いまどうなってる?
2023年5月4日 06:00
“日本から一番近い英語圏の南国リゾート”として人気を博した北マリアナ・サイパン。日本からの直行便の運休と新規就航、そしてコロナ禍による再度の運休を経て、2022年9月より新たに直行便が復活した。ゴールデンウィークの直前のタイミングに、サイパンの海に魅了され続けている筆者が、3年ぶりに訪問することがかなったので、現地の様子や魅力を改めてお伝えする。
ここ数年のサイパンを取り巻く状況だが、デルタ航空による直行便の運休から2019年11月末のスカイマークによる新規就航までの流れはこちらの記事のとおり。待望の新規直行便だっただけに現地の期待は非常に高く、それだけにコロナ禍による運休でローカルや日系の観光業、各種産業の受けたダメージとショックは大きなものだったようだ。
しかし、現地は経済的なダメージは負いつつも新型コロナ自体はなんとか抑え込みに成功。長いトンネルを抜け、2022年夏ごろから観光の受け入れを再開し、2022年9月には日本直行便がユナイテッド航空により新規就航して、現在に至っている。
近年の最大の渡航者数となっていた韓国からの直行便もすでに再開するなど、観光復活への道筋は立ちつつあるものの回復はまだまだ途上で、直近の統計では日本からの渡航者数は少なく、韓国からもコロナ前の半数程度。
とはいえ、街中、レストランやショップ、筆者が乗り合わせたダイビングボートなどでは、日韓の観光客を多数見かけるようになっており、にぎわいは徐々にではあるが戻りつつあるようだ。現地の観光に携わる人たちの日韓マーケットへの期待は引き続き大きく、北マリアナ連邦政府も日韓を観光産業復活の両輪と考え、特にかつてよりも縮小してしまった日本市場の復活を重要視しているとのことだ。
一方で、2010年代に猛烈に数が増えていた中国人観光客については、直行便の途絶えた現在では戻る気配がない模様。近年のサイパンはちょっとした“チャイナバブル状態”だったが、コロナ禍はまさに痛恨の一撃。カジノ部分が先行オープンしていた中国系大型リゾートの建設は頓挫、島内には中国系のホテルや飲食店の空き家も目立つ。
サイパンへのフライトとホテルへのアクセス
それではいよいよサイパンへ!
ユナイテッド航空の直行便就航により、サイパンへのアクセスはデルタ航空、スカイマークの就航時と同じく約3時間半に。日本発は毎週火・木・日曜の21時25分、サイパン発は月・水・金曜7時の週3往復。最短の旅行期間は3泊4日(火・日曜発)または4泊5日(木曜発)で、深夜発/早朝発のため、フリーで使える日程はそれぞれ2日または3日間となる。
サイパン島はそれほど大きくない島ではあるが、空港から大型リゾートホテルへのアクセスはクルマで30分から45分ほどかかる場所もある。現地着は深夜の2時過ぎだが、現在は直行便就航記念キャンペーン(詳細は後述)の一環として、主要大型リゾートホテル行きのシャトルバスが発着便に合わせて運行している。
シャトルバスが立ち寄らないホテルに宿泊する場合でもシャトルバスに乗ることはできるが、一部のホテルは空港送迎サービスも行なっているほか、空港には客待ちのタクシーもそれなりに待機していた(タクシーを利用した人に聞いたところ、料金はTギャラリア付近のホテルで25ドルとのこと)。サイパンはかなり治安のよいところではあるが、自由気ままに暮らしている犬(飼い犬も野良犬もいる)が深夜の散歩中だったりもするので、深夜の移動は無理をしない方がよいだろう。
なお、帰国日も主要ホテルから空港への移動はシャトルバスが便利。ただし、スケジュールはかなり早めで、最北端のケンジントンホテル(旧ホテル・ニッコー)発の便は3時50分、ガラパンのグランヴィリオリゾート発の便は4時25分にそれぞれ出発し、いずれも計4か所のホテルに立ち寄って空港に向かう。予約不要だが、時間で出発するので乗り遅れには注意。
サイパン島内の滞在エリア
深夜に到着して、一眠りしてさっぱりしたら、サイパンでの休暇がスタートする。簡単にサイパン島の滞在エリアやアクティビティを紹介しておこう。
サイパンの観光客的な中心は、大型リゾートホテルと多数のレストランや店舗が集中するガラパン地区。ハイアット リージェンシー サイパンとクラウン プラザ リゾート サイパンが並ぶエリアは古くから“繁華街”となっていたが(近年ちょっと元気がなかった……)、コロナ禍を経て再開発に着手。現在は広い遊歩道となっていたメインストリート「パセオ デ マリアナス」が全面改装中。店舗の一部は休業中だったり、空き家となっていたりもしているが、老舗レストランやローカルにも人気のバーなどは健在だ。
同じガラパン地区で、グランヴィリオリゾートやTギャラリアのあるエリアは大型の土産物店「ABCストア」や「アイ ラブ サイパン」、ローカルのスーパーマーケット「ジョーテン ハファダイ ショッピングセンター」があって買い物に便利。グランヴィリオリゾート内のレストランは西向きの高層階にあるので、天候がよければ早めのディナータイムに見事な夕陽が望める。街中のレストランと価格差もあまりないので、景色と食事を楽しみたいならオススメだ。
また、Tギャラリアを中心に南~東方向に徒歩5分から10分のエリアには、リーズナブルな宿泊価格とローカルにも人気のレストラン&スーパーマーケット併設で便利なひまわりホテルをはじめ、中小規模のホテルやレストランが点在。散歩がてら探してみるのもおもしろい。ただし、日中は年間通して日差しが強く暑いので要注意。日よけや水分補給は忘れずに(ミネラルウォーターは1ドル前後~)。
このほか、島の中部~南部地域、北部地域にも大規模なリゾートホテルがある。ホテル内で丸1日過ごしても楽しいタイプのところもあるが、買い物や食事に便利なガラパン地区への移動は乗り物が必須。筆者はかつて、南部のリゾートホテルから「海岸沿いの遊歩道は景色がよくて散歩が捗る」と軽い気持ちでガラパンを目指して歩き始め、途中かなり後悔しながら1時間以上かけてたどり着く、というちょっと苦い経験が……景色は抜群だったけど。
アウトドアアクティビティが楽しい島
かなり都会のハワイ、中心地はちょっとした街のグアムに比べると、サイパンはかなりのどかな“田舎”の雰囲気のあるところで、ガラパン地区や、そのほかのエリアに点在する大型リゾートホテルを離れると、自然豊かな風景が広がる。そんな島なので、アクティビティというと、自然を活かしたアウトドアレジャーやスポーツが中心で、スキューバダイビングやゴルフが人気だ。
ダイビングについては、筆者自身もこの島で初めて体験して以来すっかりその魅力の虜になっており、何度リピートしても毎回楽しい。初心者でもムリなく楽しめるダイビングポイントでもそのクオリティは圧倒的で、ちょっと天候と海況に恵まれればあっという間に透視度は30mに達し、真っ青で抜けるような海に白い砂地や珊瑚礁、豊富な魚やカメたちが堪能できる。ダイビングポイントは島の周囲に無数にあるが、小型のダイビングボートで隣接するテニアン島まで遠征することも可能だ。
サイパンには日本人経営のダイビングショップが多数あり、言語の心配をすることなく安全にガイドしてもらえるので、初めての海外ダイビングでも安心。サイパンではボートを利用したスタイルのダイビングが多いので、出発前にダイビングショップとコンタクトを取り、あらかじめ予約しておくのがオススメ。スキューバダイビングはライセンス(いわゆるCカード)が必要なレジャーだが、ライセンスなしでも楽しめる「体験ダイビング」というメニューもあるので、興味があればぜひショップにご相談を。
一方、ゴルフについては、18ホール以上を備えるフルサイズのゴルフ場が3コース、9ホールのパブリックコースが1コースある。ゴルフ目当ての観光客も多く、今回の訪問時の飛行機でもゴルフバッグを多く見かけた。
18以上のホールを持つ「キングフィッシャー ゴルフ リンクス」「コーラル オーシャン ゴルフ リゾート サイパン」「ラオラオベイ ゴルフ&リゾート」の3コースについては、いずれも海に面した“リンクス”タイプで、青い海を臨む絶景も楽しめるコースはリゾート感たっぷり。いずれも海越えホールを含む豪快なプレイが楽しめるとのことだ。冬場の日本を脱出して寒さゼロのサイパンでゴルフを、というのがベストだが、意外とカラっと暑い。
サイパンではこのほかにも、もっとライトなアクティビティとして、サイパン島からボートですぐに行ける小さな無人島“マニャガハ島”観光や、ビーチまたはボートで遊べるシュノーケリングなどが楽しめる。コロナ禍からの観光再開の途上でまだツアーデスクが休業中だったりもするので、現地での申し込みはホテルなどで聞いてみよう。
また、忘れてはならないのが、太平洋戦争当時に日本統治領であり、激戦地でもあったサイパンには、戦前の遺構や大戦時の戦跡がまだ数多く存在しているということだ。北端のバンザイクリフやスーサイドクリフを筆頭に、島内だけでなく海中にも太平洋戦争の傷跡が残り、ガラパン地区には戦没者の追悼とアメリカの勝利を記念する島内最大級の公園も。観光スポット、ダイビングポイントとしても有名になった場所も少なくないが、かつての悲しい歴史に思いをはせるのも、現在の平和を享受するうえでは大切なことかもしれない。
ただ、そんな過去があるにせよ、サイパンには日本文化が多少姿を変えて根付いていたりもする。例えば、具がスパムのおにぎりあたりはいろんなマーケットで売っているし、日本のしょうゆをベースにした「フィナデニソース」はローカルの食卓には欠かせないものだと言う(お店の人に作り方を訪ねると「うちではこうやって作るよ!」と各家庭ご自慢のレシピを教えてくれることも)。日本人に対してはフレンドリーな島民が多いので、このあたりは気負わず楽しめるだろう。
8月末までのキャンペーン実施中!
最後に、現在展開されているキャンペーンの情報をまとめてお届けする。
まずはツアー関連。直行便を利用した「サンキューセール」の第4弾として、計14の旅行代理店・旅行手配サイトで特別価格のツアーが発売中だ。対象は9月1日までに帰国する直行便利用ツアーの一部。
現地滞在がオトクになるキャンペーンとして「マリアナケーション“超得”キャンペーン」も開催中だ。特典は以下の6つ。
・ダイビング 2ダイブ無料(要事前申し込み)
・ゴルフ 1ラウンド無料(要事前申し込み)
・直行便利用客全員対象の50ドルクーポン(数量限定)
・2020年3月以降に婚姻届を提出したカップル限定の200ドルクーポン(数量限定、50ドルクーポンとの重複不可)
・空港シャトルバス(空港~主要8ホテル)
・ショッピングシャトルバス(Tギャラリア~主要8ホテル間)
・帰国前PCR検査(ワクチン接種回数3回以上の接種証明書があれば、帰国時PCR検査不要)
ダイビング/ゴルフ無料特典は利用日の2週間前までの申し込みが必要。また、1回の旅行で使えるのはダイビングかゴルフのどちらか一方のみ。また、50ドル/200ドルクーポンの引き渡しはサイパン国際空港の税関審査横に設けられたクーポンカウンターで、到着時のみに行なわれているので、忘れずに受け取っておこう。
そのほか、キャンペーンの利用方法などの詳細についてはマリアナ政府観光局のWebサイトを参照していただきたい。
このほか、ホテルやレストランなどのキャンペーンも随時行なわれているようだ。4月下旬現在では、ガラパンのグランヴィリオリゾートが特別宿泊プランを実施中で、同ホテルのタワー棟の1つ、「タガタワー」に特別価格で宿泊できる(ホテル内のカフェでの朝食チケット付き)。オーシャンフロントのタワーホテルからの景色は絶品だ。
現在の開催されているキャンペーンは、いずれも8月末まで。9月以降の直行便の行方は今のところ不透明だ。現地でご一緒したダイバーの皆さん(多くがリピーター)は皆、なんとか直行便の継続を、次の直行便の就航を、と口にしていた。
幾度となくサイパンを訪れている筆者だが、3年ぶりに行ってみたら「やっぱりあの海にまた行きたいな」と強く思うほど、素晴らしい島であることを再確認した。興味がある方はぜひこの機会に訪問してみてほしいし、それを原動力にしたサイパン観光の復活と直行便の安定した運航の継続を祈りたい。