旅レポ

東京・大手町のオフィス街に温泉宿!? 星野リゾート「星のや東京」で究極の非日常を体験!

大手町縁日にあわせて点茶や雅楽も

東京・大手町に佇む温泉旅館「星のや東京」にお邪魔してきました

 オフィスビルが林立する「ザ・都心」な東京・大手町にある17階建てのビルに、「塔の日本旅館」をコンセプトとして2016年7月に開業した「星のや東京」。皇居や東京駅が徒歩圏内という立地にもかかわらず、入口で靴を脱ぎ、畳にあがるという伝統的な日本旅館ならではのスタイルを体験できる、都市型旅館です。

 そんな星のや東京では、「夏夜の宴」と題した宿泊者限定・期間限定の催しを8月17日まで開催。江戸の文化を伝統芸能や食、娯楽など多方面から親しめるようにと、曲芸や雅楽を間近で鑑賞するアクティビティを展開しました。

 また、8月8日と9日に三菱地所が中心となって開催した、大手町エリアの夏の風物詩「大手町縁日2019」では、星のや東京が初参加。あんみつ屋や人力車タクシーなど、オリジナルの催し物を提供し好評を得ました。

 本稿では、星のや東京の宿泊者以外は見ることができない日本旅館ならではの極上プライベート空間や、大手町縁日前夜祭の様子などをご紹介します。

東京・大手町のオフィス街にある星のや東京は、東京駅からも徒歩10分ほど
星のや東京

発売日: 東京都千代田区大手町1-9-1
アクセス: JR東京駅丸の内北口から徒歩約10分、東京メトロ 大手町駅A1/C2c出口から徒歩約2分
チェックイン/チェックアウト: 15時/12時
客室数: 84室
付帯施設: 温泉、メインダイニング、スパ、講堂
料金: 1泊1室8万3000円~(税/サービス料/食事別)
TEL: 0570-073-066(9時~20時)
Webサイト: 星のや東京

星のや東京公式紹介動画
星のや東京の玄関。左の壁面はなんと靴箱。宿泊客はここで靴を脱いで上がります
玄関の正面突きあたりにあるのは、歳時記を表現しているという縁台です
取材した8月は「日本の夏」や「夏祭り」を感じさせる華やかな雰囲気になっていました

東京の真ん中とは思えない静かで落ち着いた館内

「星のや」ブランドは「現代を休む日」をコンセプトにした星野リゾートのハイブランドで、2005年の「星のや軽井沢」開業を皮切りに「星のや京都」「星のや竹富島」「星のや富士」「星のや東京」「星のやバリ」を展開。最近では2019年6月に台湾・台中に「星のやグーグァン」を開業したばかり。さらに、2020年春には沖縄本島に「星のや沖縄」の開業を予定しています。

畳敷きのエレベータで2階にあがるとフロントが正面に。後ろの朱色の垂れ幕は「東京・夏夜の宴」仕様だそう

 地上17階建ての星のや東京では、1階の玄関で履物を脱ぐことから「非日常」が始まります。い草の香りのする畳敷きの廊下を歩き、これまた畳敷きのエレベータでフロントのある2階にあがります。

1フロアに4室ある「桜」の客室。広さは約50m2

 客室階は3~16階。1フロア各6室で14フロアなので計84室となり、もちろんすべてが和室。各フロア6室の配置は同じで、定員2名の「桜」が4室、定員2名でダブルベッドの角部屋となる「百合」が1室、定員3名で80m 2 の広さを持つ「菊」が1室となっています。今回ご紹介するのはツインとダブル、2タイプの用意がある「桜」のお部屋です。

障子を開けるとビルの外観に施された「麻の葉くずし」柄の豪華な格子が間近に。すき間から見えるビル群とは別世界にいるような不思議な感覚
落ち着くモダンな和の空間
低い重心の畳ソファが座り心地抜群

 スタンダードタイプの客室「桜」は、2名の空間として広さは十分。床からの高さが低いベッドであったり、バスルームのガラスが調光タイプであったりと圧迫感が少ないことも大きなポイントかもしれません。

ベッドサイドテーブルには照明の操作パネルが控えめに。電源コンセントも
クローゼットの中に用意されている滞在着。これを着て外出も可能です
使い勝手のよさそうなバスルームにはバスタブ完備。ガラスはスイッチ一つで曇る調光ガラスになっています

 宿泊者は通常2階のロビー階でウェルカムドリンクをいただいたあとは、それぞれの宿泊階にある「お茶の間ラウンジ」に上がってチェックインとなります。このラウンジは各階設けられていて、同じフロアに泊まっている人だけが使える共有スペースとなっています。

24時間利用できる「お茶の間ラウンジ」は各階の居間のような場所。客室から畳続きなので気軽に行きやすい

 ここには季節にあわせた飲み物のほかに、和菓子やおせんべいなどが置かれていて、読書をしたり、デスクワークをしたり、手紙を書いたりと、自由に使うことができるフリー空間。客室階は、その階に宿泊している人しか入れないため、1フロアわずか6室のみの「小さな日本旅館」となるのです。同じ日に居合わせたゲスト同士の語らいの場としてもぴったりの空間ですよね。朝はここで無料のおむすびとお味噌汁を食べることができます。

センスのよい食器類が並ぶ棚
四季折々の絵葉書や、老舗のお菓子なども用意。夜は簡単なお夜食も
17階には宿泊者のみが利用できる天然温泉とスパ

 最上階の17階にあるのが地下1500mからくみ上げた「大手町温泉」の湯を引く内風呂、露天風呂です。黄色みを帯びた琥珀色のお湯はしっとりと肌になじんで保湿効果の高い強塩泉。奥に続く洞窟のような空間の先には露天風呂があって、高い壁を見上げると東京の空がぽっかりと切り取られています。「東京・夏夜の宴」の期間中は、この露天風呂の吹き抜けの天井に提灯が飾り付けられ、温泉に浸かりながら夏の風情を感じられる空間になっていたそうですよ。

大手町縁日の2日間は、17階のスパラウンジで浴衣一式の貸し出し&着付けのサービスも。男女共にいろいろな柄が用意されていました
女湯の内風呂。奥に行くと露天風呂
脱衣場にあるアメニティは数々のラグジュアリーホテルで採用されているスキンケアブランドLIRIo(リーリオ)

周辺にレストランはたくさんあるけれど、一度は味わってみたい星のや東京の「Nipponキュイジーヌ」

ダイニングフロアのエントランスは地層をイメージした博物館のような壁が印象的

 開業当時から料理長を務める浜田統之氏が腕をふるう星のや東京のダイニングでは、魚を中心としたコース料理「Nipponキュイジーヌ」(1万8000円、税/サービス料別、要予約)をいただくことができます。

プライベート感を重視した迷路のような造り
このような畳敷きの個室は全部で6室
こちらは6名が座れる個室
このようにパーティションで仕切られた4つのテーブル席も

 ちなみに浜田シェフは、その時々の一番よい食材を使い、ときには生産者のもとを訪ねて、その食材のストーリーを聞き、自ら食材を選んでくることも多いのだとか。フレンチでも和食でもなく、どのカテゴリーにも当てはまらないという「Nipponキュイジーヌ」、それぞれのプレートに合う日本酒やワインを選ぶ楽しみも。

五味「酸・旨・苦・辛・甘」を一口サイズの料理で表現した「Nipponキュイジーヌ 五つの意思」。下の石は料理にあわせて温度を変えているそう(写真提供:星野リゾート)
夏みかんと大葉のグラニテ(写真提供:星野リゾート)
鮪のほほ肉のコンフィ(写真提供:星野リゾート)
毛蟹のごはん(写真提供:星野リゾート)

 星のや東京では、お部屋でゆっくりと楽しめるインルームダイニングのメニューも充実しています。専用風呂敷に包まれて届けられる夕食限定の「星のや東京御膳」のほかにも、うどんやカレー、お子さまメニューなども。一歩外に出れば、レストランや居酒屋がたくさんあるエリアなので、一人旅なのかグループなのか、旅のスタイルによっていろいろな選択肢があるのがいいですね。

洋朝食は1名3300円、和朝食は1名4000円(いずれも税、サービス料10%別)。これらはお部屋に運んでもらえます(写真提供:星野リゾート)

大手町縁日の2日間だけ出現した「星のや茶房」。雅楽の生演奏も

期間限定のしつらえで夏祭り感が演出された館内

 最後は8月8日、9日に開催された大手町縁日の様子をご紹介しましょう。2階のロビーフロアにある普段は講堂と呼ばれる場所には「星のや茶房」が作られ、和菓子とお抹茶のふるまいなどがありました。

お抹茶のふるまいや、老舗和菓子店、虎屋の職人さんによる和菓子作り実演も
夏の灯をテーマにした和菓子。器もステキでした(2000円)
「東京・夏夜の宴」にあわせて特別構成されたという雅楽の生演奏も。伝統的な音楽に聞き入る宿泊者の皆さん。海外からの観光客も多いようですが、とても大きな拍手をおくっていました
私も紋切り体験に参加してみました
江戸時代に流行したという紋切り遊びは紙を折って切って、さまざまな模様を作るというもの(1500円)
うちわに貼ってもらってできあがり
夕方は大手町縁日に繰り出しました

 2019年で4年目となる大手町縁日は、星のや東京前の大手町仲通りで毎年行なわれている夏祭り。この縁日に今年は星のや東京が初参加し、ビルの前で唐揚げやあんみつの屋台を出したり、水鉄砲屋台を設けたりするなど盛り上がりました。

星のや東京オリジナルの小判を通貨として使うなど江戸を感じられる演出も
外から見上げる星のや東京。提灯が見えるのは「星のや茶房」が作られていた場所
星のや東京名物・人力車タクシーも大手町縁日に登場し、会場から東京駅までを送迎(3000円)

 この星のや縁日(大手町縁日)用に小判が作られていたのにはびっくり。フロントで1枚500円の小判に“両替”をしたら、屋台の列に並んで小判1枚で唐揚げなどを購入。すると縁日あそび券がもらえて、水鉄砲や射的などが楽しめるというもの。この小判は和菓子&お抹茶や紋切り体験料にも使うことができました。用意された納涼浴衣を着た宿泊者は、大手町縁日のそぞろ歩きを存分に楽しんでいるようでした。

大手町縁日のオープニングセレモニーで鏡割りをする三菱地所株式会社 街ブランド推進部長の後藤泰隆氏(左)と、星のや東京 総支配人の赤羽亮祐氏(右)
雅楽の演奏がここでも
樽酒がふるまわれました
曲芸の披露
星のや東京の前は提灯が灯っていい雰囲気
星のや東京の1階にある肉そばで有名なお店「港屋2」の秘伝の唐揚げが大手町縁日限定で登場。500円なので小判1枚
美味しい唐揚げ買ったらもらえました、縁日あそび券
縁日あそび券を持って並んだのは水鉄砲の屋台。ピューッと水をかけて景品を狙います
星のや東京オリジナルのてぬぐいなどが景品に
暗くなってきたらとってもいい雰囲気に
SNS映えするモニュメントも作られていました
来年は本祭に行ってみたい!
夜はこんな感じでライトアップされてステキだった星のや東京

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。