旅レポ

「星のやグーグァン」のある谷關温泉ってどんなところ? リノベ&アートスポット満載の台中観光レポも!

台中の人気インスタ映えスポット「彩虹眷村(さいこうけんそん)」はおじいちゃんの描いた壁画アート

 台中市内からクルマで1時間半ほどのところにある谷關(グーグァン)温泉に、2019年6月に開業した星野リゾート「星のやグーグァン」に宿泊してきました。

 谷關温泉のなかで、ほかの温泉施設や飲食店が密集する中心部からは少しだけ離れたところにある星のやグーグァン。前回はその宿泊施設をメインに紹介しましたが(関連記事「これぞ温泉逗留の極み! 星野リゾート台湾初進出の『星のやグーグァン』で夢のようなおこもり旅」)、「ローカルな温泉街の雰囲気も味わってみたい!」と、ランチを兼ねて散策に出かけてみました。

大甲渓にかかる「サオライ吊橋」
日本のどこかにもありそうな風景の谷關温泉。メインストリートは星のやグーグァンから800mほど。のんびり歩いて20分くらいです

 現在は渓谷に沿ってバラエティーに富んだ温泉施設が点在する谷關温泉ですが、その始まりは日本でいうと明治時代。原住民タイヤル族によって発見されたといわれています。飲食店のほかコンビニ、郵便局などもあり、台中中心部からは30分に1本出ている乗換なしのバスで気軽に訪れることができます。バスの利用には、コンビニで買える「Easy Card(悠遊カード)」というSuicaやPASMOのような交通系ICカードが便利。長距離バスの安い台湾では、そのカードを使えば台中中心部から谷關温泉まで片道約60台湾ドル(約216円、1台湾ドル=約3.6円換算)と格安で移動できるそうですよ。

温泉大好きは人も動物も万国共通
明治温泉大飯店という名前の温泉旅館も
楽しい路地裏

 谷關には「サオライ歩道」と呼ばれるトレッキングコースもあり、トレッカーに人気。ちょうど星のやグーグァンの裏手の山に続いているもので、全部歩くと1時間半ほど。トレッキングで汗を流して温泉に入るという楽しみ方もいいですね。吊橋のすぐ横には共同温泉施設があって、水着で混浴温泉に入る人たちの姿が見られました。

素晴らしい渓谷美
遊歩道へと続くサオライ吊橋
サオライ歩道と呼ばれるトレイル
ツーリストセンターを兼ねた温泉文化館は入場無料
温泉文化館の展示コーナー。こうして見ると台湾にはたくさんの温泉地があるんですのね
こちらは日本の温泉の説明。写真は地獄谷野猿公苑のニホンザルでした
飲食店が立ち並ぶエリア
ランチはこちらのお店で

 この日のランチは、星のやグーグァンのスタッフさんがおすすめしてくれたローカル食堂「山江餐飲」で谷關名物のチョウザメ料理をいただきました。店内は地元の人や観光客でいっぱい。日本語のメニュー表もあるので安心してオーダーできますよ。

入口の水槽にはチョウザメがうようよ
お昼どきは地元の人や観光客で大賑わいでした

 食べたのは、山猫(サンマウ)という台湾ではよく使われる野菜の炒めものや川エビの唐揚げ、葱とスルメイカの炒めもの、バジリコの入った卵焼きなどなど。そしてチョウザメの醤油煮は、生姜で味付けしたタレにやわらかく蒸された身がマッチしていてとっても美味。お料理6品とご飯とスープ、5人で食べて飲んで1人2000円弱ぐらいとリーズナブルなのにもびっくりでした。

台湾といったらこの緑の瓶! まずはビールで乾杯です
どれもこれも日本人の口に合います
蒸しチョウザメは500台湾ドル(約1800円、1台湾ドル=約3.6円換算)。上に乗っているのは中華料理などで調味料として使われる大豆の発酵食“豆チ”

初めての台中観光で周る王道スポット

ここからは台中の街をご紹介しますわ

 せっかく台中に行ったのだから市内観光もしたい!ということで、まず向かったのはインスタ映えスポット「彩虹眷村(さいこうけんそん)」。別名レインボービレッジです。

カラフルな絵で埋め尽くされている彩虹眷村(レインボービレッジ)は台中市の東側にあります
謎キャラがいっぱい! 楽しいですわ~
「足るを知る幸福」という素敵な言葉の前で記念写真を撮ってきました。どこにいるか分かるかな?

 この彩虹眷村、元々は退役軍人用の住居でした。老朽化で取り壊されようとしていた2008年ごろ、黄永阜(こうえいふ)さんという1人のおじいちゃんが「暇だったから」と建物の壁に絵を描き始めたところ、そのカラフルで独創的な壁画が話題となり次第に人が見物に来るようになったのだとか。

好きな絵を背景に写真を撮ります。今では観光バスで大勢の人が訪れる一大観光スポットに

 黄さんはその後も壁画を書き続け、各国からテレビ番組などの取材が相次ぐように。話題になったことで建物の取り壊しは免れ、黄さんは今では台湾芸術家の仲間入りをしています。“虹のおじいさん”と呼ばれる黄さん、1924年生まれとのことなので御年96歳! 今でも元気に描き続けていて(私は会えませんでしたが)普段はレインボービレッジにいるそうですよ。いるだけで元気になれる気がするパワースポットのような場所でした。

ビレッジ内ではお土産品やレインボーアイスなどショッピングも楽しめます

無料で台湾現代アートに触れられる台中国立美術館とディープな観光スポット忠信市場

台中国立美術館。なんと無料! 観光客はパスポート提示でフリーWi-Fiも

 彩虹眷村から市の中心部にある台中国立美術館へはタクシーで移動しました。所要時間は25分程で345台湾ドル(約1242円)。ミュージアムで台湾現代アートに触れたら、敷地内にある春水堂国美店でタピオカミルクティーを飲んでひと休み。

春水堂はタピオカミルクティー発祥の店として本場台湾のほか日本でも絶大な人気を誇るお店。私が行ったのはその美術館支店になります

 台中国立美術館の道路を挟んで向かい側に、朽ち果てる寸前のような(!)市場跡があって、近年そこに若者がカフェやギャラリーなどを開業しているディープスポットがあると聞き行ってみました。その名は「忠信市場」。

新横浜ラーメン博物館のような感じに見えますが、実際はただボロいだけ(笑)

 Googleマップを頼りに「こ、ここですわよね???」と入り込んだ忠信市場の中は想像以上に薄暗くて、最初は「なんだこりゃ?」と思いながら歩いていたのですが、気づいたら吸い込まれるようにして座っていたのが「奉珈琲」です。あなたも忠信市場に迷い込んだらぜひ!

忠信市場に行ったらこの看板を目印に
こだわりのコーヒーをいれる気さくだけれどシャイなオーナーさん
急な階段を登ると2階も。それにしても異空間過ぎて楽しい!
コーヒー美味しかったです。とてもよい思い出

「台中のB級グルメが食べたいですの!」と言ったら星のやグーグァンの台湾人スタッフさんが教えてくれたお店が忠信市場の入り口にあります。それが「隆美肉羹麺線」。ここでは店名にもなっている肉羹麺線という庶民グルメを堪能。35台湾ドル。つまり約126円! 素晴らしい!

こちらが「隆美肉羹麺線」というお店。ニコニコ顔の大将が2分で作ってくれました
肉羹麺線。コシ0%の麺をレンゲですすって食べます。飲んだあとに食べたいお味。怪しい緑色の調味料には酢

リノベスポット「審計新村」と「宮原眼科」

「タピオカミルクティー」→「コーヒー」→「肉羹麺線」という、どう考えても順番逆じゃね?というランチのあとは、ブラブラと街歩き。目指すはかつて公務員宿舎や水道局だった建物をおしゃれにリノベーションしたというスポット「審計新村」です。

代官山みたいな審計新村に到着

 この日は日曜だったからか、屋外ではマーケットを開催していて大賑わい。小さく区切られたお店に手作り雑貨など女性が好きそうなものが売られていました。ここもインスタ映えスポットのようで、自撮り女子がいっぱいです。

クリエーターさんの手作りアイテムやスイーツなども
建物の2階もお店。階段で上がります
「素敵な、発見!」を発見ですの
我ながらよく食べるなと思うのですが、好物のたい焼きを発見したので食べました。35台湾ドル(約126円)

 だんだんと暗くなって、タクシーも捕まらず、うっかり道に迷ったりしていたら疲れが足に出てきました。「あ~、早く星のやグーグァンに戻って温泉に入りたい!」と歩いていたちょうどそのとき、マッサージ店を発見。迷わず入って60分の足つぼマッサージをやってもらいました。あまりの気持ちよさに後半は記憶がありません。60分で480台湾ドル(約1728円)。

台湾では街歩きの駆け込み寺のような存在の足つぼマッサージ

 台中観光のラストは、おそらく台中一の観光スポット「宮原眼科」。眼医者さんではございません、なんとスイーツショップなのです。

夜になると独特の雰囲気を醸し出す宮原眼科

 実はこの「宮原眼科」もリノベーションスポット。かつて台湾を日本が統治していた時代に日本人医師の宮原武熊氏が開業した「宮原眼科医院」の建物なのです。そんな戦前の建物を利用して、現在はカフェやレストラン、スイーツショップなどの複合飲食店舗が営業しています。宮原眼科の美しいパッケージのスイーツはお土産にもぴったりですよ。

宮原眼科のエントランス
天井高のアートな店内
ディスプレイがとにかく素敵なのです

 宮原眼科のすぐ横を流れる緑川沿いは数年前に散策路として整備されたばかり。夜は宮原眼科のライトアップと併せて格好のデートスポットとなっているようです。

緑川沿いの景観を橋の上から眺めるの図

 と、半日だけでしたが思っていた以上に満喫できた台中観光。個人的には、星のやグーグァンに2~3泊してから台中市内で1泊、もちろん行き帰りはマンダリン航空の直行便利用がベストな行程ではないかと思います。台北も組み合わせたいという場合は、グループ会社のチャイナ エアラインを利用してもいいですね。頑張っている自分へのご褒美に、星のやグーグァン&まだまだ穴場な台中市内観光を計画してみてはいかがでしょうか。

「星野リゾート 星のやグーグァン」概要

所在地: 台湾台中市和平区博愛里東關路一段温泉巷16号
アクセス: 高速鉄道 台中駅からクルマで約90分
チェックイン/チェックアウト: 15時/12時
客室数: 50室(全室半露天風呂付き)
[水明](約75m 2 、定員2名)
[風音](約87m 2 、定員3名)
[月見](約105m 2 、定員2名)
[山霞](約112m 2 、定員4名)
[森羅](約216m 2 、定員7名)
付帯施設: プール、スパ、ダイニング、ガゼボ、ライブラリラウンジなど
宿泊料金: 1泊1室1万8000台湾ドル~(約6万4800円~、1台湾ドル=約3.6円換算)
Webサイト: 星のや
Webサイト: 星のやグーグァン

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。