旅レポ

タイ旅行業界のトレードショー「TTM+ 2019」レポート。「北部や東北部が浸透してきている」

タイ旅行業界のトレードショー「TTM+ 2019」が開催された「オーシャン・マリーナ・ヨットクラブ・パタヤ」

 前回から、タイ国政府観光庁主催のプレスツアーで訪れたパタヤとラヨーン周辺を紹介しているが、今回はパタヤで開催されたタイ旅行業界のトレードショー「TTM+(Thailand Travel Mart Plus)2019」の様子を紹介する。

 主に旅行業界向けの商談の場だが、タイ各地のめずらしいエリアも集まっているので、どういった観光ができるのかなどが分かる。今回はテント内に各地の手作りの民芸品を紹介するコーナーもあった。今年のテーマは、「New Shades of Emerging Destination」と称して開催され、新しい魅力的な旅の目的地を提案する。

「TTM+ 2019」のエントランス
インディゴ染めの布が飾られていた。手染めはタイ各地で行なわれている
会場は庭園にテントを建てられたテント

タイの地方を発信して主要都市以外の観光を促進

 オープニングのメディア・ブリーフィングにて、 タイ国政府観光庁 マーケットコミュニケーション担当副総裁のタネース・ペッスワン(Tanes Petsuwan)氏が登壇した。

 そのなかで、現在55の魅力ある地域を選んで観光振興を行なっており、外国人観光客が増加していること、今後もクオリティの高いサービスを提供していくこと、「A B C戦略」と称して、「Additional(追加で訪れてもらう)」「Brand New(新しい地域の提案)」「Combined(結びつけて訪れてもらう)」を進めていくことなどが語られた。例えば、パタヤ観光の際に少し足を延ばしてチョンブリーを回ってもらったり、新しいデスティネーションとしてナコーンシータマラートとパッタルンを併せて訪れてもらうといった取り組みだ。

 人気が高まっている新しい地域として挙げたのは、世界的ニュースにもなった若者の洞窟救助で有名になったチェンライや、隠れ家的ビーチや離島を巡る旅で人気のトラート、歴史公園がユネスコ世界遺産に登録されたスコータイ、1992年に世界遺産に登録されたバンチェン遺跡のあるウドーンターニー、メコン川沿いにあるノンカイといった地域。さらに、トラン、メーホンソン、ランパーンなども、これから今後人気が出るエリアとして名前が挙がっていた。

タイ国政府観光庁 マーケットコミュニケーション担当副総裁 タネース・ペッスワン氏
メディア・ブリーフィングのステージでは、数々の魅力的な地域がビデオで紹介された
ラオスとの国境近くプートックの山岳地帯
プーケットやクラビに近いタレーノイ国立公園
イサーンと呼ぶ東北地帯ウドーンターニーの湖に一面に咲くレッドロータス
2018年の外国人観光客は7.54%増加
2019年はマーケットとして12%増を目指す
現在提唱している12の魅力ある地域にさらに12地域を追加
55の魅力ある新しい地域をチョイス
人気の観光地に近隣を追加して訪れてもらう提案
トークセッションも盛んに開催されていた。「Tourism: Love, Death+Robots」というセッション
ITジャーナリストのJitsupa chinさん
ソーシャルメディアがタイの観光に与える影響についての講演
TTM+のテント内。商談ブースがズラッと並ぶ
テントの外観
カノーム地区の観光局ブース
カノームはタイ南部。スラーターニー空港が近い
美しい離島が多く海で遊ぶのにもってこい。イルカと出会うことも
タイ北部チェンマイに近いパーイ地区の観光局ブース
パーイのパンフレット。豊かな自然にリゾートホテルもある

タイ国政府観光庁 東アジア局 局長「イサーンを楽しんで!」

 会期中には、タイ国政府観光庁 東アジア局 局長のティティポーン・マニーネート(Titiporn Manenate)氏による日本に向けた会見も行なった。

 日本人はとても質の高い旅行を望み、体験を重視しており、タイの新しい地域が日本人に浸透してきていると感じているという。「以前はチェンマイなどタイ北部に注力していたが、現在はイサーンと呼ばれる東北地方を紹介していて、初めて行ったという人が増えている。特に、イサーンの料理や織物といった文化を知ってもらえるようになった。日本で行なわれているタイフェスティバルでも取り上げたことで、浸透してきたと実感している」と語っていた。

 主要都市以外の都市に、どうしたら足を運んでもらえるかというのが、今後の重要な取り組みという。タイ北部のメーホンソーン(上で紹介したパーイも近い)を例として挙げ、日本に認知されているチェンマイから、少し足を延ばして工芸品やお茶などを楽しんでほしいとのことだ。

 また、日本からの直行便は首都バンコクに集中しているが、今後プーケットやチェンマイなどにどうしたら就航してもらえるかを各方面と協議していて、改善したいと考えているという。

 お勧めのエリアはは、タイ東北部イサーンのコーンケーンとウドーンターニー、タイ北部のナーンとメーホンソーンを挙げてくれた。二輪レースの「MotoGP」が10月4日から6日にかけて、ブリーラムにある「チャーン・インターナショナル・サーキット」で開催されるので、モーターファンならぜひ訪れてほしいとのことだ。

タイ国政府観光庁 東アジア局 局長 ティティポーン・マニーネート(Titiporn Manenate)氏
東アジア局 副局長 サンティ・サワンチャロエン(Santi Sawangcharoen)氏(左)と

タイの地方色豊かな民芸品

 ブースのテントには、タイの地方色豊かな民芸品を展示販売するコーナーがあった。染め物やバスケット、小物など、素朴なものが展示されていた。お土産にもちょうどよい。タイの地方を巡ったら、こういった民芸品もチェックしてみよう。

工芸品を展示販売するコーナー
タイ東北部ルーイ県の「Folk Charm」のコーナー
コットンの素材や染めに使う材料
タイ南部パッタルン県の「VARNI」のコーナー
オシャレな手織りのバスケット
タイ東北部サコンナコーン県の「Sakon Head Sakon Made」
タイ東北部ウドーンターニー県、ウボンラーチャターニー県、コーンケーン県の「Keep K+A+R+M and Carry on」のコーナー
かわいいアクセサリーなども並んでいた
刺繍のポーチなども
タイ北部プレー県の「Banmatjai」のコーナー
オシャレなパターンのインディゴ染
インディゴ染のランプシェードなど
染めのパターンを作る版
タイ北部メーホンソーン県の「Doister」のコーナー
織物のカバーなど
小物製作にチャレンジするコーナー

ランチではタイ料理も紹介

 ランチタイムには、屋台スタイルでタイの地方色豊かな代表的なメニューが振る舞われた。タイ料理は日本でも人気があるが、やはり本場ではひと味違うオリジナルが楽しめる。

ドリアン入りソムタム。ドリアンが入った辛いサラダ。通常青パパイヤを使うことが多い
カレーを煮込み中
チャ・ムアンの葉を使った豚肉入りカレー。東や南タイで楽しめる。やや酸味にある辛いカレー
米粉麺にプーパッポンカレーがけ。パタヤのあるチョンブリー地方のレシピ。カレーはカニ入りでマイルド
チョンブリー県のバーンブン豚を使った麺。魚のアゲが入っている
海老入りの焼きそば。パッタイ。味は甘め。厚揚げやタクアン、卵焼きなどが混ざっていることもある
魚のミンチを揚げた串。チャン・ロン。タイ東部のみにある

 夜には、近隣の「アレクサ・ビーチ・パタヤ」に場所を移し、パーティも開かれた。屋外に大きなステージも設けられていて、大音響で盛大に開催された。

夜のパーティ会場「アレクサ・ビーチ・パタヤ」
屋外に大きなステージ
国際マーケティング担当副総裁 シースダー・ワナピンヨーサック(Srisuda Wanapinyosak)氏は、「タイ南部、中部地域からの出展者が増えている。バイヤーは2018年から18.47%増加した」とスピーチ
ステージ上で乾杯の掛け声
ステージ上では懐メロショー
ドラムパフォーマンスでも盛り上がる
メディア・ブリーフィングにて配られた資料の入ったUSBメモリ。「海を守ろう」のメッセージが入ったカワイイ手作り。実にタイっぽい心配りだ

村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。