旅レポ

岩山に描かれた巨大な黄金の仏画を眺めながらゴルフ! パタヤ郊外に点在するスポットを訪ねた

パタヤ郊外で見ることができる岸壁に描かれた黄金の仏像壁画「カオシーチャン大仏壁画」

 タイ国政府観光庁主催のプレスツアーで、首都バンコクから東に位置するパタヤとラヨーン周辺を紹介している旅、今回は周辺に点在するお勧めのスポットを紹介していこう。

 パタヤ中心地からは離れるので、実際に訪れるには、レンタカーやタクシーを使う必要がある。クルマ以外で訪れるのは、ちょっと難しい場所だ。オプショナルツアーを企画する旅行会社では、要望に応じて希望の場所を回ってくれるところもある。タイではタクシー配車アプリのGrabも利用できるのだが、使い勝手は今一歩(ドライバーからタイ語で電話がかかってきたり、支払いが現金のみだったりと、Uberのような手軽さはない)。

 ちなみに今回利用したチャータータクシーの「サイアムエクスプレス」では、オーダーメイドの個人旅行も受け付けている。日本語による相談が可能で、日本語が使えるガイドを付けることもできる。

 こういった移動手段をうまく活用して、あまりガイドブックには載っていない周辺をぜひ巡ってみてほしい。新しい発見に出会えるはず。

アットホームな「世界最大の手織りバスケット博物館」

 まず最初に、とってもめずらしい超穴場なスポットを紹介しよう。その名も「世界最大の手織りバスケット博物館」。竹の手織りで作られた巨大なバスケットのオブジェがズラッと並んでいて圧巻だ。もともと地元のお祭りで使う神輿のようなモノとして作り始めたそうで、これは現在も続いているそうだ。年ごとに増えていくものを大切に保管しているというワケだ。

 ここは本来、竹細工の工房と併設された販売所で、公共の博物館ではなく個人の施設として運営されている。そのため、立派な施設内という感じではなく、倉庫のように雑多に展示されているのだが、その分間近に見ることができて臨場感たっぷりだ。

 拝観料は特になかったのだが、一部人形など緻密な細工が建物内に収められている。ここを見るには別途料金が必要だった。ゆくゆくは博物館としてしっかりした建物にしたいとのことだった。通り側には一応看板もあるが、販売所がある以外分かりにくい。駐車場の中庭にある。特に受付とかもないので、中庭に入ったら工房で声をかけて見せてもらうという、実にアットホームな雰囲気がある。

バスケットミュージアム
通り側から見たバスケットミュージアムのショップ
入口はちょっと分かりにくい。英語表示は小さな看板のみ
屋外はこのような展示になっている
大きさもさることながら、精巧な作りの大型の竹細工
神聖な獅子のシンハ
祠のようなもの
大きな牛
バスケット型の入れ物はいくつもある
熟練した職人により精巧に作られた竹細工は別の建物内にある。衣装などが飾られていた
マネキンに布のような衣装が着せられている。
美しい織りパターンの細工
動物の置物もかわいい

 バスケット博物館も興味深い展示で楽しめるが、それ以上に楽しめるのが併設のショップだ。大量の商品がワリと雑に倉庫のようにドカッと並んでいるのだが、さすがに工房の直売、その種類と量がハンパではない。小物から帽子、サンダル、カゴと何でも大量にある。なかでお勧めなのが、トート型のバック。編み目を活かしたモダンなデザインでお土産にもぴったりだ。しかもおおよそ300~500バーツ(約1053円~1755円、1バーツ=約3.51円換算)あたりと、かなりのお手頃価格。ちなみにバックは、帰国時にバック内に洋服などを詰め込めば、ほとんどスーツケース内のスペースをとらないので複数でも買いやすい。

バスケット博物館のショップ。竹細工の小物がたくさん
まさにバスケットな竹カゴ
さまざまなタイプの帽子
ボックス型の小型バック
やたらとカラフルな鳥形のカゴ
手編みのサンダル
トート型のバック。かわいいデザインが入っている
こちらはちょっと細かい細工で高価なバック
モダンなパターンの入ったトートバック。こちらはお土産に購入した
手織りで制作している様子
細かな織り。まずはこのような生地のような状態を作って、さまざまなモノに加工して利用する
今回案内してくれたバスケット博物館館長のプラニーさん

山の壁面に描かれた大仏やタークシン王がまつられる寺院

 タイでは道沿いなどで大仏を見かける機会が多いが、パタヤからラヨーンに向かう中間にある「カオシーチャン大仏壁画」では、岩山に描かれた黄金の巨大仏像が忽然と姿を現わす。削られたシーチャン山の斜面の高さ約130mにわたって、金色の仏像が描かれている。1996年にプミポン前国王在位50周年を記念して彫られた像で、訪れる人が絶えない。

 ここは、のちほど紹介する「シルバーレイク」ワイン園に近いので、一緒に巡ることをお勧め。

カオシーチャン大仏壁画
カオシーチャン大仏壁画
高さ約130mの金色の大仏壁画は迫力がある
通りから見た様子。手前には屋根のある建物があり、雨でも記念撮影などは可能
すぐ近くで見かけた「アップサイドダウン・パタヤ」。からくりハウスが楽しめる

 ラヨーンの市街には、トンブリーに王朝を建てたタークシン王をまつった「ワット・ルン・マハーチャイ・チュンポン」という寺院を見ることができる。1767年にアユタヤ王国がビルマに侵略され、このラヨーンから軍を組織し奪還したそうだ。その後トンブリー朝はタークシン王の一代15年間で終わるが、英雄としてまつられていて、寺院には常に参拝者が訪れていた。

ワット・ルン・マハーチャイ・チュンポン
タークシン王がまつられる「ワット・ルン・マハーチャイ・チュンポン」
内部には複数体の像がまつられている。どれもタークシン王の像
タークシン王の像
体には金箔が貼られている
金箔は参拝者が貼り付けていったもの
こういった飾りが奉納されている。日本の絵馬のような願掛け
寺院の目の前には樹齢を重ねた大木がある
蛇神(ナーガ)もまつられていた
大きなゾウの人形も置かれている
タイの寺院は神聖な場所。肌の露出の多い服装では参拝できない

 ラヨーン市街から、第1回に紹介したレーム・メー・ピン・ビーチ方面に向かう途中に、「ソーバー植物園」がある。ここには古い典型的な作りのタイの高床式木造家屋があり、内部も見学することができる。なかにはさまざまな時代のタイの骨董品が展示されている。

ソーバー植物園
ソーバー植物園にあるタイの古い家屋
広い植物園になっている
2階部分に部屋がある
室内の様子。骨董品が置かれている
もう一棟の室内。柱の彫刻もきれい
スコータイの食器
バンチェンの土器

タイの人気詩人「スントーン・プー」の記念公園

 第1回で紹介したレーム・メー・ピン・ビーチのすぐ近くには、「プラアパイマニー」というタイ人には知らない人がいないほど有名な昔話の作者であり詩人の、「スントーン・プー(1786~1855年)」の祈念碑が建てられた公園がある。本当かどうかは分からないが、タイで最初に作られた書物で多くの人に親しまれたそいう。今でも書籍や漫画、映画などで親しまれているとのこと。

 ここには、スントーン・プーの記念碑や資料館のほか、プラアパイマニー王子の波瀾万丈な人生を描いたファンタジー作品に登場するキャラクターの像も飾られている。登場人物である、笛を吹く王子の「プラアパイマニー」、上半身裸の鬼女「ピースアサムットゥ」、龍の顔をした馬に乗る息子、人魚といったオブジェなのだが、タイではこの公園に限らず見ることができる。何も知らずに見ると、突然観光地に現われるのでビックリするが、タイで人気の物語のものと知っていれば興味深く見ることができるだろう。

タイで有名な詩人スントーン・プーの像
スントーン・プー記念公園。中心に大きな湖が作られている
スントーン・プーの像のある丘
物語が描かれた壁画
笛を吹く王子
龍の顔をした馬に乗る息子
鬼女
人魚
スントーン・プーの資料館が公園内にある
資料館内部
作品の解説パネルなどが展示されている。一部英文にも訳されている
古い書籍も展示されていた
追いかけてくる鬼女の大きな像は、目立つ位置にもある

パタヤ郊外のゴルフ場「Chee Chan Golf Resort」とワイン園

 ゴルフを楽しみたいなら、先に紹介したカオシーチャン大仏壁画のすぐ近くにある「チーチャン・ゴルフリゾート」がお勧めだ。1月にグランドオープンしたばかり。ゴルフプランがデザインした国際基準の18ホールは、プロでも手応えのあるややレベルの高い作りとのこと。フェアウェイとティーには、ゾイシア・ゼメット芝というゾイシアをタイで改良された品種を世界で初めて採用している。グリーンにはティフイーグル芝が使われている。

 コースは、オーナーの意向で会員などは設定せずパブリックとして一般開放されている。誰でもグリーンフィーの平日4000バーツ(約1万4040円)、週末や祝日は5000バーツ(約1万7550円)、これにカート&キャディフィー1200バーツ(約4212円)やチップで楽しむことができる。必ず予約はした方がよいだろう。タイでは1人に1キャディ付くのが基本で、とてもサービスがよい。スタッフに日本人も在籍しているので、予約時も細かなニュアンスを伝えやすいはず。宿泊施設は併設されていないが、パタヤからクルマで30分程度で来ることができる。

チーチャン・ゴルフリゾート
チーチャン・ゴルフリゾートの美しいコース
コース側から見える銘板
コースからはカオシーチャン大仏壁画がよく見える
18ホールの国際基準のコース
300人収容できるクラブハウスのエントランス
レストランからはコースを見渡すことができる
2019年に世界で最もよい新しいゴルフ場にノミネートされている

 このカオシーチャン大仏壁画の近くには、「シルバーレイク・ワイン園」もある。ブドウ畑と湖が見渡せる位置にレストランやワインバー、ショップがあり、観光バスもたくさん停まるちょっとした観光地となっている。ワイン園をしっかり見学したい場合には、トラムでワイナリーを巡ることもできる。

 近くに「ラーマヤナ・ウォーターパーク」もあり、ウォータースライダーや波のプールも楽しめる。この丘陵地帯周辺で、さまざまな楽しみ方ができる観光スポットとなっている。さらなる開発も進んでいたので、より多くの楽しみ方ができるようになりそうだ。

シルバーレイク・ワイン園のワイン畑
銘板の前はフォトスポットになっている
レストランやワインバー、ショップがある
ショップで販売されているワイン。カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーの赤

 シルバーレイク・ワイン園の通りを挟んだ向かいには、イタリアンレストラン「シルバーレイク・ワイン&グリル」があり、こちらではワイン園が閉園したあとでもディナーを楽しめる。サンセット時の食事もお勧めだ。もちろん食事と一緒にシルバーレイクのワインを楽しむことができる。今回は、パスタとピザを選んだが、和牛と銘打ったステーキもメニューにはあったので、ガッツリ食べたい人も満足できるはず。

ルバーレイク・ワイン園の向かいにあるイタリアンレストラン「シルバーレイク・ワイン&グリル」。窓越しにルバーレイク・ワイン園が見えている
シルバーレイク・ワイン&グリルの外観
アサリのボンゴレ・ビアンコ
マルゲリータ
シルバーレイク 2016年カベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワイン

 最終回の次回は、2019年に新しくパタヤにも完成したショッピングモール「ターミナル21」や周辺ホテル、タイの料理などを紹介していく予定だ。

村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。