旅レポ

コアラ抱っこからマーケット。ディナーはモダンオーストラリア料理を

「Burlegh Markets」で採れたての野菜や地元産ハニーの直売を楽しもう

 直行便利用で楽しむブリスベン→ウルル→ゴールドコースト周遊も最終日。

 ゴールドコースト滞在2日目は、朝から「Burlegh Markets」へ向かってみた。

週末限定! 学校敷地内で開催の「Burlegh Markets」へ

「Burlegh Markets」は毎週土曜にBurleigh Heads State Schoolの敷地内で開催。クルマでのアクセスもよく、フレッシュな野菜から魚介、プラントからクラフトにアンティークといろいろ揃う。さらに、コーヒー片手にちょっと朝ごはんを食べるなど穏やかな時間が流れている。オープン時間は7時から12時まで。

Burleigh Heads State Schoolの敷地内で開催されている
ハイウェイ沿いにも大きな看板があるので見つけやすい

 訪れたのは9時前だったが、かなりの来場者。各々エコバッグ片手にお買い物中。価格も比較的リーズナブルなため、宿泊先がアパートメントタイプでキッチンが併設されているならば、ここで“地元の美味しい”を見つけて自室で調理するのもアリだ。

学校のバスケットコートにテントが張られお店が並んでいる
皆エコバッグを持参して環境に優しい仕様
生鮮食品を扱うお店にはフルーツ盛りだくさん。好きなものが選べる
貴重なRAW HONEYも手に入れやすい値段設定
ハンドメイド製品を販売する雑貨店も発見
軽食を扱うショップには朝食を求めに多くのお客さんが

ふわふわコアラの赤ちゃんとご対面。「カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリー」へ

 マーケットをあとにして、続いては「カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリー」(カランビン野生動物保護園)へ出発。ゴールドコーストでコアラ抱っこが体験でき、かつオーストラリアならではの野生動物が間近で観察できる。さらに野生動物病院も併設され地元と密接な関係を持つ総合動物園だ。

 広さ27ヘクタール、東京ドーム6個分ものエリアはもともと個人所有。オーナーが原生植物を環境リサーチのために育てていたところ、ロリキートたちが花やフルーツなどを食べてしまい、共存するために自然に近い蜜を作り餌付けをするうちにたくさん集まってきたため、野鳥園として1947年に開園。その後現在の「カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリー」となった。今年で71年目となる歴史ある場所なのだ。ナショナル・トラスト傘下で運営されており、文化保存指定されているため、国内外から多くの学生も動物の生態や自然環境を学びに訪れている。100種類以上の動物が自然に近い状態で保護されている。

 ショップやレストラン、ロリキートの餌付けエリアは敷地内ながらフリースペースとなっているので、ちょっとした休憩にも重宝する。

「カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリー」(カランビン野生動物保護園)の入り口
ロリキートの餌付けは毎日8時、16時の2回。園内のフリーエリアにて行なわれている

 入場チケットは大人49.95ドル(約4520円、1オーストラリアドル=約90円換算)子供39.95ドル(約3615円)。ほかにもジップラインなどのアクティビティ付きのチケットも購入できる。チケットを購入し、早速園内へ入ると目の前に「KOALA PHOTOS」を発見。訪れたのが午前中だったため、比較的ゆったりした雰囲気でコアラにスムーズにごあいさつ。

フリーエリアを抜けて、チケット売り場へ
アクティビティ付きからシンプルな入園だけのチケットまで幅広く用意
入園してすぐのエリアに「KOALA PHOTOS」が!
タイミングがよくすぐにコアラに会うことができた

「KOALA PHOTOS」のエリア内へ入り、今回は「KOALA PHOTO」(25ドル、約2262円)を選択。コアラ抱っこと写真がセットの価格となっている。この抱っこでの収益はコアラの保護や、園内に住む約70匹のコアラのためのユーカリのプランテーションの運営費などに活用されるという。ひっかかりそうなものをすべて外し、いよいよ抱っこの時間に。

 コアラ抱っこで出会えたのは1歳半の男の子のベイビーちゃん。抱っこの練習中ということで、出会えるのはかなりレアとのこと。通常のコアラの場合は1日30分のみだが、まだ赤ちゃんのため抱っこ時間も短め。

 ちなみに今まで雄、雌と抱っこをしてきたが、印象としては雄は野性味あふれる香りで毛も固め、雌はユーカリの葉の爽やかな香りで毛は柔らかめ。赤ちゃんコアラはふわふわでユーカリの香り+甘めという印象でとにかくキュートすぎた!

飼育員スタッフとともに抱っこの練習中のベイビーちゃん
つぶらな瞳で見つめてくれた

 続いては、園内散策へ。日本の動物園などと異なる部分は原生林を含む木々が生い茂り、その中へ自分から入っていくスタイルであること。緑あふれる空間を散歩しているだけでリラックス&リフレッシュできる空間となっているのだ。

木々が茂る園内を散歩しながら進んでいこう

 しばらく歩いていると「カランビン野生動物病院基金事務局」「カランビン野生動物病院」に到着。病院に続く道には個人(90ドル、約8144円)、企業/Large(350ドル、約3万1672円)でタイルにロゴやメッセージを入れ寄付できる。

 事務局の隣にはコアラの主食ユーカリが数種類展示され学べる場にもなっている。1000種類以上あるユーカリだが、コアラが食べるのはたったの約30種類ほど。実は、コアラは個体ごとに食べるユーカリの種類が異なる。そのため数種類の新鮮なユーカリを毎日調達する必要があり、同園では専用のプランテーションを運営し約4万本以上のユーカリを育てている。同じユーカリばかり与えると、嗅覚で好みのユーカリを探すコアラの鼻の能力が衰えて低下してしまう可能性もあるとのこと。自主性を高め、自分で好みを探させ、自然と近い状態で食事ができるよう心がけているという。

 園内には地域のボランティアスタッフがおり保護のサポートとともに来園者からの質問に答えてくれる部分も新鮮だった。

「カランビン野生動物病院基金事務局」。ネット経由などで野生動物保全のための寄付も受け付けている
足元には寄付をした企業や個人のプレートで道が作られている
事務局横にはコアラが毎日食べるユーカリが多数展示され学びの空間に

 そして「カランビン野生動物病院」へ。直近1年で1万1000匹以上の野生動物を保護し治療しているが、治療が完了し野生に帰る数もオーストラリア国内でトップクラス。ここ12か月の間で(2018年11月現在)野生のコアラを約418匹保護している。うちクルマに轢かれたのが85匹、犬に襲われたのが29匹、病気などが76匹となっている。コアラの場合は専門のチームが保護をしなくてはならないため、通報後に駆け付けこちらへと運ばれてくる。

 園内の反対側には車止めのスペースがあり、市民が保護した野生動物を運んでくることができるような配慮も。オーストラリアでは、野生動物に人間の食べ物を与えることはタブー。だからこそ同病院が必要なのだ。自然とそこに生きる動物たちを愛し共存するオーストラリアに人々の意識の高さが見える場所でもある。また、病院が地域とつながっていることも分かる。

 一番多い保護理由の病気は、コアラがユーカリの木を移動する際のストレスなどで発症するクラミジア。妊娠と繁殖ができなくなり、地域の個体数が減るというバッドスパイラルに。そのため治療だけでなくコアラを発見した場合は、分布図を作る機関への協力やコアラの情報発信をする役割も同病院にはあるそうだ。

寄付とボランティアで運営を行なっている「カランビン野生動物病院」
手術室や検診はガラスを隔てて来園者が見学できるようになっている
中央にある無菌室では手術が行なわれる

 同園は動物を見て楽しいやかわいいだけで終わらせてはいけない、という考えから野生動物の現状やコアラの今、自分たちが何ができるのかをきちんと伝える施策を行なっている。手術室が透明であるのは、ナショナル・トラストで保護されている象徴的な部分で、小さいころから「なぜここで治療を受けているのか?」などの理由を知ることで野生動物への関心や興味を持つことができ、オーストラリアに住む人々の考え方も学べるからとのこと。

保護された動物たちの情報が公開されている
保護された動物が治療をこれから受けるところだった
小さな子供たちが理解しやすいように聴診器や包帯も並んでいた

 園内ではオーストラリア特有の動物たちに出会えることも大きな魅力。木の上でまったりと過ごすコアラやタスマニアンデビルにキノボリカンガルーたちと出会ったり、カンガルーの餌付けを楽しんだりも。また「LOST VALLEY」では、ワオキツネザルなどのゴンドワナ大陸の動物たちとも出会えるチャンスと1日中楽しめる。もちろんショースケジュールも充実。動物たちをもっと深く知ることのできる楽しい内容だ。

木の上を切らずにコアラが自然のままで過ごせるように工夫されている
珍しいキノボリカンガルーも
タスマニアンデビルにも会うことができた
カンガルーの餌(4ドル、約362円)を片手にコミュニケーション
餌の力で一気にカンガルーとの距離が縮んでいく
カンガルーとの上手な接し方も解説。きちんと読んでおこう
「LOST VALLEY」は天井の網や周囲が囲われていることを忘れるほどの広さ。近くにワオキツネザルが座っていた
園内にはキッズにうれしい「ワイルドアイランド プレイグラウンド」なども
ベイビーちゃんとの写真も園内を散策中にできあがった
グッズ関連も充実。お気に入りのプラッシュやお土産を探してみよう

オーストラリアNO.1のクラフトビール&醸造所「Balter Brewing Company」で昼ビールをゴクッ

 午後に訪れたのは2016年創業の醸造所「Balter Brewing Company」。プロサーファーのミック・ファニング、ビード・ダービッジ、ジョシュ・カーを含む7名が共同経営しており、数々のアワードを受賞したクラフトビールを味わうことができる。

 店内はレンガとコンクリート、パイプといろいろな素材が組み合わさったオシャレな空間。アーティストのフランク&ミミのウォールアートがカウンター横に描かれ、カウンターもタイル張りのサーバーからビールが注がれるなどデザイン性が高い。

「Balter Brewing Company」は黒の外観とスマイルが目印
レンガ造りでオシャレな空間が広がる
手書きの説明書きがユニークなサーバーからビールが注がれる
2階席からは醸造用のタンクなども眺められる

 一番人気は「XPA」。とにかく香りが素晴らしく、飲む前と飲んだあとに鼻に抜ける爽快感&のど越しのよさは段違い。ストアマネージャーのデイヴィッド・マックレン氏に話を伺ったが「一番最初に作ったビールで今も一番人気が『XPA』です。私たちのビールは毎日飲んでも楽しめる身近なクラフトビールをコンセプトにしており、まさに『XPA』がその特徴を表わしています。すっきりした喉越しでサーフィンやマリンスポーツをしたあとに飲むとリフレッシュができますよ」と教えてもらった。

ストアマネージャーのデイヴィッド・マックレン氏もサーフィンなどを楽しむそう
一番人気の「XPA」とデイヴィット氏オススメの「STARS & STRIPES」

 また、愛らしいスマイルのロゴについては「飲んでくれる方のために丁寧に心を込めて作っているのでエンジョイして!という意味を込めています」と話してくれた。

 初めての訪問でどのビールを飲むべきか迷う人向けに「Tasting Paddle」(12ドル、約1086円)を用意。限定ビールや季節のビールを4種類飲みたい場合はプラス1~3ドルで可能。なお、ノンアルコール派には「HOP SODA」(5ドル、約452円)も用意しているのでご安心を。

イチオシの4種類のビールが味わえる「Tasting Paddle」。左から飲むのが基本。量も多いので飲み応えも抜群
ノンアルコール派は「HOP SODA」がオススメ
お土産には缶入りも。ここでしか買えないテイストもある

ルーフトップバーで夕暮れに乾杯。「Nineteen at the Star Bar」で贅沢時間

 小休憩を挟みディナーの前にバーで1杯味わうために「The Darling At The Star Gold Coast」のルーフトップにある「Nineteen at the Star Bar」へ。同ホテルはカジノを併設しており、ドレスコードもきっちりしているので、ホテルを利用したり、中を通ったりする場合は女性はせめてワンピースにヒール。男性も襟付きシャツ&長ズボンにきちんとした靴を着用をしていたほうが安心だ。

「The Darling At The Star Gold Coast」の外観
エントランスには大きなロゴが
ロビーエリアもラグジュアリーな空間が広がる

 19階のルーフトップバー「Nineteen at the Star Bar」ではVIP用のエリアをチェック。プールの上に浮かぶようなデザインのプライベートブースに座り談笑するなど、ラグジュアリーな時が過ごせる。

 今回オーダーしたのは「Aperol Spiritz」(20ドル、約1809円)、「Sour Blossom」(20ドル、約1809円)、「Tequila Blue」(20ドル、約1809円)。見た目が鮮やかだけでなくクオリティ高めの味わいで優雅なひと時を演出してくれた。

「Nineteen at the Star Bar」の様子
「Nineteen at the Star Bar」のプールに浮かぶブース
そのままプール越しに夜景を眺めることもできる
夕暮れが近づくとどんどん幻想的な雰囲気に
オーダーしたカクテルをスタッフが届けてくれた
奥から「Sour Blossom」「Aperol Spiritz」「Tequila Blue」

CHEF HAT2年連続受賞の「Nero Dining」へ。地元に愛されるレストランで絶品料理を味わう

 滞在最終日のディナーで訪れたのは、オーストラリア版ミシュランとも言える「CHEF HAT AWARDS」(AGFG)にて2年連続受賞した「Nero Dining」へ。モダンオーストラリア料理を味わえると地元でも話題のレストランだ。

 2~3週間に1度新たなメニューになるということで、次に行ったときはまた新しい美味しさに出会える部分もポイント。オープンしてから2年半で100種類以上のメニュー変更をしてきたという。

 シェフのJayden Barker氏は、6歳のときから親の経営するホテルの厨房と母親の料理を手伝い見てきたという。シェフを志したのは母親の影響が大きいとオーナーのAndrew Barker氏が話してくれた。

ディナーは予約必須の「Nero Dining」をチョイス
店内はリラックスできる木調の佇まい
オーナーのAndrew Barker氏とオーナー兼ヘッドシェフのJayden Barker氏

 前菜には開店当初から人気が高い1品で定番となった「Woodfired Corn, Spicy Aioli, Pecorino」(1個5ドル、約452円)、「Potato Gnocchi, Cavolo Nero, Burnt Butter, Cured Egg Yolk」(22ドル、約1991円)をオーダー。甘めのコーンの上にはペコリーノチーズがたっぷり。アリオリソースとの相性も最高。毎日手作りで生み出されるニョッキの弾力と美味しさにカリッと揚げたケールがベストマッチ。キュア・エッグヨークを使ったソースも濃厚でたまらない。

 なお、一緒に「Today’s Fresh Oysters」(1個/4ドル、約362円)も。つるりした牡蠣の濃厚な味わいが口の中いっぱいに広がる美味しさだった。

「Today’s Fresh Oysters」
「Woodfired Corn, Spicy Aioli, Pecorino」
「Potato Gnocchi, Cavolo Nero, Burnt Butter, Cured Egg Yolk」

 メインディッシュはオーナーがイチ押しと教えてくれた「Western Australian Marron, Coconut, Finger Lime, Bottarga」(45ドル、約4072円)と「Wagyu 5+ Skirt Steak, Green Sauce, Smoked Egg Yolk and Onion Sauce」(40ドル、約3619円)をチョイス。1皿2名分とのことなのでシェアして味わえるのもうれしい。

 西オーストラリアで水揚げされた大ぶりのマロンを生きたままでレストランに直送。生で食べられるほど新鮮な状態で調理し、ライムやココナッツソースで仕上げた一品。弾力とともに口の中でほろりとほどけ、濃厚な美味しさが広がる1皿。西オーストラリアの新鮮なマロンを味わえるのは近隣のレストランでもここだけ。なお、和牛も絶妙な焼き加減で1人で余裕で1皿完食できるほど。日本の料理にも通じる上品な味付けが印象的だった。

「Western Australian Marron, Coconut, Finger Lime, Bottarga」
「Wagyu 5+ Skirt Steak, Green Sauce, Smoked Egg Yolk and Onion Sauce」

 帰り道にはサーファーズパラダイスで開催のナイトマーケット「Beachfront Markets」へ寄り道。クラフトやお土産中心の出店が立ち並び、ディナー後の運動には最適だ。1995年からスタートした同マーケットは毎週水、金、日曜の午後4時から9時まで開催され、約100ショップが立ち並ぶ。食べ歩き系のお店はないので、ディナー前後に立ち寄るのが最適。海風に吹かれながら、夜のビーチ周辺を安全に散歩できるのはまさにゴールドコーストならではの特権だろう。

ナイトマーケットを目指して続々と人が集まってくる
こちらが「Beachfront Markets」の起点
まな板屋さんなど雑貨系のお店が中心
バスボムなどちょっとしたプレゼントやお土産にぴったりのアイテムも

相川真由美

フリーライター/鉄鋼業やIT系やエンタメ関連の雑誌やWeb媒体の編集者を経て、フリーの記者として活動中。海外は一人旅がほとんど。趣味は世界のディズニーのパーク&リゾート巡り。最近は年間パスポート片手に日々舞浜通い。うなぎとチョコレートが好物で、旅の基本は“出されたものは全部食べる”。激辛とうがらしから謎の木の実まで挑戦するのがモットー。