旅レポ

ラスベガス近郊でアートや雄大な自然に触れる。ヘリでグランドキャニオンの底に降りてきた!

アートや雄大な自然に触れられるのもラスベガスの魅力

 ラスベガスは、食やエンタテイメントだけでなく、身近にアートや雄大な自然に触れられるという点も大きな魅力の1つです。

 ラスベガス観光局主催のプレスツアー、3回目は実際に体験してきたアートや自然を堪能できるスポットを紹介したいと思います。

ラスベガスのホテルはまるで美術館! 気軽にアートを楽しめる

 ラスベガスのホテルにはアート作品があふれています。あるホテルでは、生花を使った花壇やアート作品を展示していますし、有名アーティストの作品をロビーなどに惜しげもなく展示している例も多くあります。誰もが知っているアーティストの作品に思いがけず触れられるという意味で、ラスベガスのホテルはアート好きにとっても注目すべき場所なのです。

 そして、本格的に美術館を併設して、さまざまな作品を展示しているホテルもあります。今回のツアーでは、日本でも人気のリゾートホテル「Bellagio Las Vegas」に併設されている美術館「Bellagio Gallery of Fine Art」を訪れてきました。

 この美術館では、定期的に内容を入れ替えているそうですが、今回訪れた2018年9月上旬は、日本の近代アートに焦点を当てた展示会が開催されていました。館内には、14人の日本人現代美術アーティストの作品が並べられていましたが、そこには草間彌生さんをはじめ、青木野枝さん、中谷芙二子さんなど、あまり美術に詳しくない筆者でも知っているような、世界的に有名なアーティストの作品も含まれていて、かなり充実した展示内容となっていました。

 もちろん、これら日本の有名アーティストの作品に触れられたという点でもとてもよかったのですが、何より日本人アーティストにここまで焦点を当てた展示がラスベガスで行なわれているということにも、とてもうれしくなりました。

 また、Bellagio Gallery of Fine Artの隣には、アーティストスタジオと呼ばれる、アーティストが作品を製作する様子を見られるスペースが用意されています。そして、2018年6月から2019年1月までの期間、そのアーティストスタジオに日本人アーティストの向山喜章さんが常駐して、作品を製作する過程や、制作された作品を見学できるようになっています。今回訪れたときには、日曜日ということもあって残念ながら向山さんがいらっしゃらず、作品製作過程や作品の見学は行なえませんでしたが、時間をとって再訪したいと思います。

 なお、今回のツアーで訪れたときのBellagio Gallery of Fine Artの展示は、2018年10月21日で終了しています。その次は、2018年11月17日から2019年4月28日までの期間で、草間彌生さんの作品を展示しているそうです。アート好きなら、アーティストスタジオとともに足を運ぶ価値は十分にあると言ってよいでしょう。

Bellagio Las Vegasにある美術館「Bellagio Gallery of Fine Art」
今回のツアーで訪れたときには、ちょうど日本人アーティストの作品を取り上げた展示が行なわれていました
草間彌生さんをはじめ、青木野枝さん、中谷芙二子さんなど、世界的にも有名な14人の日本人アーティストの作品が展示されていました
こちらは、実際にアーティストが創作活動を行なうスペースの「アーティストスタジオ」。2019年1月まで、日本人アーティストの向山喜章さんがこちらで作品を製作しています

ダウンタウン地区を散策しながら壁画アートに触れる

 ラスベガスには、ホテル以外にもアートに触れられる場所がたくさんあります。そのなかでも、誰でも気軽に訪れて楽しめるのが、ダウンタウン地区の建物に描かれている壁画アートです。

 ラスベガスの中心地からやや北に位置するダウンタウン地区は、ラスベガス黎明期から中心地として栄えた場所です。ラスベガスのカジノホテルは、このダウンタウン地区に作られたのがはじまりで、そこから今のラスベガスの繁栄が築かれてきました。今でこそ、いわゆるストリップ地区がラスベガスの中心地として認識されることが多いですが、ダウンタウンは昔ながらのラスベガスの雰囲気も残っていて、また違った趣のある地区となっています。

 そのダウンタウン地区では近年、街を挙げてアートで盛り上げるといった取り組みを行なっているそうです。そして、近年建物の壁に描かれたストリートアート、いわゆる壁画が人気を集めています。実際に、駐車場やオフィスビルの壁いっぱいに描かれた壁画は、とても迫力があります。題材は、どちらかというとパロディものが多いようにも感じましたが、どれも完成度が高く、芸術作品としてもかなり高レベルなものばかりと感じます。もちろん、インスタ映えするのも間違いありません。実際に、街を散策する姿も多く見られましたので、壁画を見ながらダウンタウンを散策するというのも、新しいラスベガスの楽しみ方として定着しているように感じました。

 また、ダウンタウンの比較的新しい観光地、「コンテナパーク」には、巨大なカマキリのオブジェが設置されています。実物の150倍という巨大なカマキリのオブジェは、存在感も抜群ですので、壁画散策でダウンタウンを訪れたら、こちらにも足を運んでみましょう。ちなみにこのカマキリですが、夜には頭のあたりから火を噴く演出も行なわれるそうなので、夜に訪れるならそちらも必見でしょう。

昔ながらの雰囲気が残る、ラスベガスのダウンタウン地区。ゆったりと時間が流れているような印象です
街角の建物に、さまざまなストリートアートが描かれています
ホテルやオフィスビル、駐車場などの壁面などに、大きなストリートアートが描かれていて、なかなかの迫力です
パロディものも結構見られます。こちらはイギリス・ロンドンのアビーロードのパロディのようです
運がよければ、ストリートアートの製作現場を垣間見ることもできます
こちらは、コンテナパークに設置されている巨大なカマキリのオブジェです。とても迫力がありますので、こちらも必見です

ラスベガスからクルマで30分ほど、砂漠の真ん中で自然とアートの調和に驚く

 皆さんもご存じのとおり、ラスベガスは砂漠のなかにある都市です。ラスベガスの街中は、近代的な建物がひしめきあって、夜はネオンがきらめく非常に華やかな街ですが、クルマで少し走って郊外に出ると、その景色は一変します。建物がなくなるにつれて草や木も減っていき、岩や土がむき出しとなった広大な砂漠へとその姿を変えるのです。

 そんな砂漠も日本では見られない雄大な景色ではあるのですが、変化の少ない殺風景な雰囲気が続くのも事実です。そんな殺風景な砂漠に、いきなり現われるアート作品があります。それが「Seven Magic Mountains」です。地元ラスベガスの人たちはもちろん、世界中から注目を集める存在となっているそうです。

 この作品は、巨大な石灰岩をトーテムポールのように高く積み上げて、赤や青、黄色などのネオンカラーでカラフルに色づけしたものです。塔は全部で7本あって、いずれも10m前後ととても巨大なものとなっています。

 巨大な石の塔が7本も並んでいることもありますが、ネオンカラーで色づけされた、非常にカラフルなその姿には、いやが上にも目を引き付けられてしまいます。おそらく、この作品はラスベガスの中心街にあったとしても、周囲の雰囲気に負けないだけの存在感があるでしょう。しかし、Seven Magic Mountainsの最大の魅力は、何と言っても砂漠との調和です。

 周囲を見渡しても、ちょっとした緑以外は岩や砂という殺風景な砂漠のど真ん中に、この非常にカラフルな岩の塔が並んでいるという部分は、確かに浮いているとも言えるのですが、逆にその対比が非常におもしろいと感じます。なんでこんなところに、とも思わせるのですが、日常と非日常がその場に混在しているという意味でも、ラスベガスのアートとしてこれ以上のものはないかも、とも感じました。

 そして、そのカラフルな見た目は、まさしく写真映えするのです。今回実際に訪れたときにも、多くの人が岩の塔をバックにセルフィー撮影していましたし、いわゆるインスタ映えするスポットとしても注目されているようです。そういった意味でも、今のラスベガスで外せないスポットと言えるでしょう。

 ただし、バスなどの公共交通機関ではアクセスできませんので、気楽に行けるところではないかもしれません。最近では、観光ツアーもあるようですし、タクシーでも行けなくはないですが、コストなどを考えるとレンタカーでのアクセスが基本となります。ラスベガス市内からフリーウェイの15号線南行きに乗って、Sloanという出口を降りて一般道を進んだ先にあります。道中には看板もありますので、看板に沿って進むと迷わずたどり着けると思います。

 なお、現地には売店やトイレはありません。アクセス前にトイレをすませておくとともに、飲み物も必ず持っていくようにしましょう。日傘や帽子なども必携です。また、岩がゴロゴロしていて足場がわるいので、サンダルやハイヒールなどは避けて、スニーカーなどの歩きやすい履き物で訪れるようにしましょう。

 このSeven Magic Mountainsですが、もともとはArt Production FundとNevada Museum of Artのサポートのもと、2016年5月から2年間限定の展示とされていました。しかし、人気の高さから、最低でも今後3年間(2021年まで)は展示を継続することが決まったそうです。ですので、今後もラスベガスを訪れる機会があれば、ぜひとも訪れたいスポットとしてチェックすることをお勧めします。

ラスベガス中心街からクルマで30分ほど、砂漠の真ん中にそのアート作品があります
周りを見渡してもほとんど建造物が見当たらない砂漠の真ん中に突如現われるアート作品、それが「Seven Magic Mountains」です
Seven Magic Mountainsは、巨大な石を積み上げた、7本の塔で構成されるアート作品です
蛍光色の赤や青、黄色など、非常に鮮やかな色でペイントされた岩の塔は、存在感抜群です
作品には自由に触れるところまで近付けます。インスタ映えする光景ですので、思い思いに自撮り写真を楽しむ姿も多く見られます
岩の塔の高さは10mほど。近付くととても雄大です
何もない砂漠と、カラフルに色づけられた岩の塔との対比が、とても印象的です
Seven Magic Mountainsは無料で楽しめます。ただし、トイレや売店などはありませんし、時期によってはかなりの高温と強烈な直射日光にさらされますので、トイレや飲み物などしっかりと準備して訪れることをお勧めします

これぞ自然のアート! ヘリコプターで行くグランドキャニオンツアーで自然の雄大さを実感

 ラスベガス周辺には、雄大な自然を楽しめるスポットも数多くありますが、そのなかでも特に人気なのがグランドキャニオンです。ラスベガスから日帰りのグランドキャニオンツアーがたくさん出ていますので、ラスベガスを訪れたことのある人のなかで、グランドキャニオンにも行ってきた、という人も少なくないことでしょう。

 実は筆者も、過去にグランドキャニオンツアーに参加したことがあります。そのツアーは、小型の旅客機でグランドキャニオン近くの空港まで移動し、そこからバスに乗り換えてグランドキャニオンを観光するという内容で、朝7時ごろに集合して午後2時ごろにラスベガスに戻ってくるという、半日ほどかかるツアーでした。このほかにも、グランドキャニオンで宿泊するツアーもありますが、どちらかというと時間がかかるというのがグランドキャニオン観光の難点だったりします。

 しかし、なかには比較的短時間でグランドキャニオンを堪能できるツアーもあります。それが、ヘリコプターで行くグランドキャニオンツアーです。ラスベガスからヘリコプターで直接グランドキャニオンへとアクセスするのはもちろん、道中はラスベガスの街をはじめとした景色も楽しめます。しかも、グランドキャニオンでは谷底に降り立ちますので、雄大なグランドキャニオンを目前で楽しめる点も大きな魅力です。また、ツアーの内容にもよりますが、3時間ほどと比較的短時間で楽しめる点もヘリコプターツアーの特徴ですので、あまり時間が取れないという人でも、ヘリコプターツアーなら十分にグランドキャニオンを楽しめるでしょう。

 今回参加したのは、「Sundance Helicopters」が実施しているツアーです。内容の異なるさまざまなグランドキャニオンツアーを実施していますが、今回はグランドキャニオンに降り立てる内容のツアーでした。私自身、ヘリコプターに乗るのは今回が初めてでしたので、飛び立つ前からワクワクでした。

いろいろなヘリコプターツアーを実施している「Sundance Helicopters」。今回はグランドキャニオンツアーに参加しました
こちらが、グランドキャニオンツアーで使われているヘリコプターです。ヘリコプターへの搭乗は今回が初めてでしたので、飛び立つ前からワクワクでした

 ラスベガスのマッキャラン国際空港を飛び立ったヘリコプターは、ラスベガス中心地の上空を飛行して、同じくラスベガス近郊の観光地として人気の「フーバーダム」へと向かいます。コロラド川をせき止めて作られたフーバーダムは、砂漠にあるラスベガスの発展になくてはならない存在です。そういったこともあって、アメリカ人にとって見逃せない観光地になっているそうです。上空から見るフーバーダムは、かなり小さく見えるのですが、実際には高さが200m以上もある非常に巨大なダムで、ダムの奥に広がるダム湖「ミード湖」の大きさを上空から見るだけでも、そのすごさが垣間見られます。

 ヘリコプターは、ミード湖上空からコロラド川の先へと進みます。そして、しばらくすると切り立った崖が目に飛び込んできました。コロラド川の何億年もの年月をかけて浸食してできた切り立った崖、これこそがグランドキャニオンです。灰色や茶色の地層が折り重なった崖が延々と続くその姿は、日本ではまず体験できないほどに雄大で、上空から眺めているだけでも時が経つのを忘れるほどに感動的です。

マッキャラン国際空港を飛び立ったヘリコプターは、ラスベガス中心街の上空を飛んでグランドキャニオンへと向かいます
飛び立ってしばらくすると、街並みが途絶えて、茶色い砂漠の雰囲気が広がります
最初の見どころとなる、フーバーダム。上空からだとかなり小さく見えますが、高さ200m以上の巨大なダムで、ラスベガスの水瓶として欠かせない存在となっています
フーバーダムの奥には巨大なダム湖「ミード湖」が広がっています。ラスベガスの人たちがボートなどマリンスポーツを楽しむスポットにもなっているそうです
ミード湖の奥へと進むと、徐々に険しい断崖絶壁が見えてきます
中央を流れるコロラド川によって、何億年もの年月をかけて削り出された断崖。これこそがグランドキャニオンです
断崖には、多数の地層の層が見えますが、この景色が作られるまでに気の遠くなる時間がかかったことがひしひしと伝わってきます

 そして、ヘリコプターは徐々に高度を下げ、谷に降り立ちます。そこからは、グランドキャニオンの崖が目の前いっぱいに広がります。ここが、ラスベガスからわずかな時間で到達できる場所とは思えないほどで、とても不思議な気分にもなります。今回のツアーでは、そこで簡単なスナックとシャンパンを楽しめましたが、雄大な大自然を目の前にしたシャンパンは、また格別な美味しさでした。

 そして、30分ほど雄大なグランドキャニオンを楽しんだのち、ヘリコプターでラスベガスへと帰路につきました。このツアーは、トータル3時間ほどと比較的短時間のツアーではありましたが、ラスベガスの街並みや、フーバーダムからグランドキャニオンへと続く雄大な自然を上空から堪能するだけでなく、グランドキャニオンの谷底にも降り立てましたので、かなり満足できる内容だと感じました。また、ヘリコプターは揺れも少なく、とても快適な乗り心地だったのも印象的でした。

 今回のツアーの代金は445ドル(約4万8950円、1ドル=110円換算)からと、結構いいお値段ではありますが、その料金に見合う価値は十分にあると言えます。時間はあまり取れないけど、せっかくだからグランドキャニオンにも足を運びたいという場合には、ヘリコプターツアーは最適と感じました。

ヘリコプターは徐々に高度を下げて、グランドキャニオンの谷底へと着陸しました
谷底からのグランドキャニオンの姿には、文字どおり圧倒されます。これがラスベガスからわずかの距離に位置しているとは想像もつきません
多くのツアー参加者が、その雄大な景色に見とれているようでした
こちらで、ちょっとしたブランチが楽しめます
スナックとシャンパンが振る舞われます。雄大なグランドキャニオンを眺めながらのシャンパンは、また格別の美味しさでした
シャンパンブランチを楽しんだのち、またヘリコプターに乗り込んで帰路へつきました。ヘリコプターは揺れも少なく、とても快適な乗り心地で、大満足なツアーでした

平澤寿康

うどん県生まれ。僚誌PC Watchなど、IT系の執筆を中心に活動。旅&乗りもの&おいしいもの好きで、特に旅先でおいしいものを食べるのに目がない。ただし、うどんにはかなりうるさい。