イベントレポート

【ツーリズムEXPO 2018】タイ国政府観光庁 副総裁 サンティ・チュディントラ氏に聞く。東北地方は「運転手付きのクルマをチャーターしてオーダーメイド的に楽しめる」

2018年9月20日~23日 開催

タイ国政府観光庁 国際マーケティング(アジア・南太平洋地域)担当 副総裁 サンティ・チュディントラ氏(右)、東京事務所 所長 パッタラアノン・ナチェンマイ氏(左)

 タイ国政府観光庁は9月21日、ツーリズムEXPOジャパン2018ブース内で会見を開き、国際マーケティング(アジア・南太平洋地域)担当 副総裁のサンティ・チュディントラ氏と東京事務所 所長のパッタラアノン・ナチェンマイ氏が取材に応じた。

 同庁は東1ホールにブースを展開しており、ムエタイをVRで体験できたり、タイ語を発音するとプレゼントがもらえたりと、参加型のイベントを実施。また、タイ国内で恐竜の化石が多く発掘されるという「カラシン県」を大きくフィーチャーしており、恐竜と一緒に写真が撮れるフォトスポットも用意していた(関連記事「【ツーリズムEXPO 2018】ムエタイVRに言語学習、恐竜と写真撮影も! 体験型アクティビティ満載のタイ国政府観光庁」)。

 また、地方の魅力を紹介する施策「タイ12の秘宝」で「ジャパン・ツーリズム・アワード エクセレント・パートナー賞」を受賞している。

――今回のブースは(東北地方の)カラシン県を大きく取り上げているが、今後地方の魅力をどうアピールしていくのか。

チュディントラ氏:私たちが目指していることの一つに、バンコクやプーケットといったおなじみのデスティネーション以外に新しい地域を紹介するという目標がある。

 日本からの訪問者は個人旅行が非常に多く、メディアの影響も大変強いので、カラシン県のような地方を紹介するには、オンライン/オフライン問わず、さまざまなメディアやインフルエンサーを積極的に現地に招いて情報を発信してもらうことを考えている。タイ国政府観光庁のWebサイトでも、日本語の情報を充実させていきたい。

――内陸の東北地方をピックアップした理由は。

チュディントラ氏:タイを初めて訪れる人にはバンコクやプーケットを楽しんでもらえればと考えているが、さらに一歩奥地に踏み込むことで、より「タイらしさ」を感じられる地域があるということを知ってほしい。これはリピーターだけでなくファーストビジターも同じだ。

――バンコクなどから東北地方へのアクセス改善のためにしていることがあれば。

チュディントラ氏:日本のようにどこの県でも新幹線やバスで行ける、ということはないが、例えば(カラシン県の隣の)コーンケーン県にはバンコクから多くの航空便が出ており、コーンケーンのホテルなどを拠点にできる。タイでは運転手付きのクルマを安くチャーターできるので、自分の行きたいところをオーダーメイド的に組み合わせるという旅をお勧めしている。

――タイはスポーツ天国だが、これから力を入れていくものは。

チュディントラ氏:タイはスポーツと観光が同じ省(観光・スポーツ省)になっており、いかにスポーツを観光につなげるかということが私たちの仕事になっている。

 タイには200を超えるゴルフコースがあり、バンコクマラソンやチェンマイマラソンなど国際的なマラソン大会にも注目が集まっている。また10月5日から7日にかけて、今年初開催の「MotoGP」が同じく東北地方のブリーラム県で開催されることになっている。一度開催地になると3年連続で開催するのが通例なので、3年間MotoGPをタイで楽しんでもらえる。

 もう1つ挙げたいのは、今回のブースでも紹介しているタイの国技であるムエタイで、見るだけでなく、実戦競技として短期留学することや、3日間/5日間/1週間のコースといったエクササイズも各ジムが展開している。

 もしムエタイが好きなら、毎年3月17日は「世界ムエタイデー」が世界遺産のアユタヤで開催され、歴代の偉大な師範たちに祈りを捧げる儀式がある。これには世界中から武術家が集まってくる。

――タイにはタイ湾(タイランド湾)とアンダマン海がありダイビングも盛んだが、海洋環境への取り組みは。

チュディントラ氏:タイ国政府観光庁として取り組んでいるのは、訪問者に対してはWebサイトなどを通じて「海でしてはいけないこと」など観光のスタイルを啓蒙しており、地元の業者にも知識の発信を行なっている。

 観光を管理するという面では、タイ国政府観光庁の上部組織である観光・スポーツ省が主導しており、例えば「シーウォーカー」と呼ばれるヘルメットをかぶって海中を歩くアクティビティに関しては、サンゴを傷つける恐れがあるためすでに禁止している。

ナチェンマイ氏:最近のトレンドとしては、ただスポーツを楽しむだけでなく、CSR的な活動を付帯して、「来たときよりもキレイにして帰って行く」ということを楽しみながらできるように業者と協力している。

チュディントラ氏:自然環境局からは、ビーチでの喫煙を全面的に禁止する条例を出している。