【イベントレポート】

【ツーリズムEXPO 2017】バルト三国が共同でPRセミナーを開催。元大関の把瑠都氏もサプライズゲストで登場

2017年9月21日~9月24日 開催

バルト三国が共同でPR活動したことが評価されてジャパン・ツーリズム・アワード部門賞を獲得

 エストニア共和国、ラトビア共和国、リトアニア共和国は9月22日、それぞれの国の観光について説明するためにツーリズムEXPOジャパンの会場内にあるバルト三国ブースにおいてプレスミーティングを行なった。先立って行なわれたジャパン・ツーリズム・アワードにおいては、「バルト三国間における共同ツーリズム・プロモーション」が地域部門の部門賞を獲得し、「杉原千畝ルート、カウナス」が地域部門の奨励賞を受賞したことも発表された。

ジャパン・ツーリズム・アワードにおいて地域部門賞と奨励賞を受賞

 まず最初にエストニア政府観光局の局長であるタルモ・ムッツォ氏が登壇して自国の観光について説明。昨年、アジア地区からは7万人の観光客が訪れ、宿泊しないデイトリップだけの観光客、主にフィンランド経由からは30万人を数えた。ここまで増加しているのは、興味深い文化と自然に近い環境が要因だとしている。また、自然がある一方でITにも力を入れている国家であることから、そのおもしろさに引き付けられているのではないかとも話していた。もちろん、世界文化遺産に指定されている「タリンの旧市街」については誇りを持っていることも語った。

 現在の交通については、エストニアはヨーロッパからアクセスしやすい環境であり、ロシアのサンプトペテルブルクもその範疇であるとしている。特にフィンランドのヘルシンキからタリンまでは80kmしか離れておらず、飛行時間20分と手軽に来れる距離であることを強調した。

 このようにバルト三国が共同でプロモーションしているのは、地勢的に非常に近いので組み合わせて観光できることや、さらに北欧とも組み合わせることができるので、フィンエアーとも密接に協力していると話した。

エストニア政府観光局 局長のタルモ・ムッツォ氏

 続いてラトビア投資開発公社のイネセ・シラヴァ氏が登壇。エストニアと同じく、ラトビアでも日本からの観光客は増加しており、バルト三国で共同でPRしている成果だと同氏は語り、3カ国の絆の強さと共通する歴史がそれを可能にしていると続けた。来年の2018年には3カ国が建国100周年を迎えるそうだ。

 バルト三国の首都(エストニア=タリン、ラトビア=リガ、リトアニア=ビリニュス)はそれぞれ世界文化遺産に認定されているがそれだけでなく、無形文化遺産として「バルトの歌と踊りの祭典」があることも紹介。ラトビアでは来年の建国100周年において、7月上旬に祭典を開催するそうだ。

 観光地として有名なリガのほかに自然豊かな郊外にも目を向けてもらえるよう、田園ツーリズムも提案していくとのことで、当日は和訳されているパンフレットなどの資料が用意された。そのなかには田舎の森でベリーやキノコを採取し、それを料理にするといったラトビア人の日常を体験してもらえる内容が紹介されていた。ほか、上質な宿泊施設や料理なども注目されており、ぜひとも観光に訪れてもらいたいと語った。

ラトビア投資開発公社のイネセ・シラヴァ氏

 リトアニア政府観光局からはインドレ・トラキマイテ氏が出席し、「この機会によってバルト三国がますます協調していけることを期待しています」とし、UNWTO(国連世界観光機関)の事務局長であるタレブ・リファイ氏が語った「旅行とは希望である」に私も同意しますと挨拶した。

 リトアニアと日本を語るうえで外せないのが外交官であった杉原千畝氏であることを紹介。旧首都であるカウナスの日本領事館に赴任していた杉原氏はナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人の人たちにビザを発給して国外へ退避させたことで有名であり、リトアニアと日本を結び付けるうえで欠かせない存在だとしている。その杉原氏はリトアニアを愛し、休日は田園や森にピクニックに行き、ヨーロッパでもっとも古いと言われるリトアニア語も習得しようとしていたそうだ。

 観光はリトアニアにとっても大切な産業の一つであり、整った施設に親切なサービスは日本人にも受け入れられているそうで、2016年における日本からの観光客は前年比8%増、宿泊者数は2万5000人に上ったそうだ。リトアニアはコンパクトでありながらハイクオリティなサービスがあり、またシーズナリティ(季節感)にも富んでおり、リーズナブルな金額でのプロダクト提供が可能な国であることをアピールしていた。

 世界文化遺産に認定されている首都・ビリニュスについては、47%が緑に覆われており、水も美味しく、非常に美しい都市であると紹介し、高速なWi-Fiも導入されているのでSNSに手軽に投稿できる環境であるとPRした。

リトアニア政府観光局のインドレ・トラキマイテ氏

 続いて日本に対して自国のプロモーションを担当する、アグニア・ナステ氏(エストニア)、イングナ・ジーグレ氏(ラトビア)、オルガ・ゴンチャロワ氏(リトアニア)の3者に司会者が質問するコーナーが設けられた。

 1990年代の終わりに各国の首相が観光に関しても協力していく合意書にサインしており、現在もその協力関係は続いている。そのなかで協力していくうえで難しいことはないのかといった問いに対してイングナ氏は「非常に仲がよく、みんな働き者でチームワークもしっかりしているので、難しさは感じておりません」と即答。オルガ氏も「1年に3回ほどミーティングをして、どのようにプロモーションしていくかを話し合っているので何も問題はありません」と答えていた。

 また、これからもこのような計画を続けていきますかという質問に対しては、「計画自体必要ありません。今後も自然に続いていくでしょう」とアグニア氏とほか2人も笑いながら答えた。「常にミーティングを楽しみにしておりますし、毎日のように電話で会話をしているので自然な関係だと思っております」とも付け加えた。

 最後に来年100周年を迎えるにあたり、もっとも伝えたいイベントがあれば教えてくださいと司会者が質問。リトアニアは、2月17日の独立記念日に国中の教会が正午にベルを鳴らすイベントや、6月30日~7月6日にかけて行なわれる歌と踊りの祭典を挙げた。ラトビアでも歌と踊りの祭典が一番のメインではあるが、秋も旅行者が楽しめるイベントが引き続き行なわれる予定だとしている。エストニアでは年中小さなイベントをとおして旅行者に楽しんでもらう予定であり、いつ来ても楽しめるのが特徴ですと答えていた。

左からトレード・マーケティング・マネージャーのアグニア・ナステ氏、マーケティング・プロジェクト・マネージャーのイングナ・ジーグレ氏、マーケティング・インカミング・マネージャーのオルガ・ゴンチャロワ氏。それぞれ横のつながりが良好でスムーズにプロモーション活動が行なえていると話した

 プレスミーティングの最後にはサプライズゲストとして元大関の把瑠都氏が登場。把瑠都氏はエストニア出身で、国の西に広がるバルト海からその四股名が付けられたことでも有名だ。流ちょうな日本語で「エストニア語でしゃべろうか?」と冗談で会場を笑わせながらトークショーが始まった。

 まず最初にエストニアと日本の違いについて聞かれると「家の狭さに一番驚いたかな」とし、「日本は狭くて混むのですが自動販売機があるので1分歩けばジュースが買えるんですよね。エストニアだと1時間かけてお店まで行かないといけない」ことを挙げていた。

 来年が建国100周年にあたることを聞かれると神妙な面持ちで「でも、60年間はソビエトだったからね」と複雑な心境を吐露。それでも「バルト三国にとっておめでたいことには変わりありませんからね。おめでとうと言いたいです!」と祝福した。

 終わりにもっともオススメするデスティネーションを聞かれると「いっぱいありますよ。例えば、うちの実家とか(笑)」と、ラクヴェレで実家が経営するロッジを紹介。ほか、タリンの旧市街や森に出かけるピクニックを挙げた。「森ではベリーやキノコを採ったり、ゆっくりと過ごせるのでオススメですよ」と緑豊かな自然をPRした。

サプライズゲストとして登場した把瑠都氏。元大関で人気者だっただけに会場も盛り上がる
笑顔で質問に答える把瑠都氏。実家はタリンから100kmほど東にあるラクヴェレでロッジを経営しているとのこと