【イベントレポート】

【ツーリズムEXPO 2017】“先輩社員大いに語る”日本旅行業協会が学生向け「旅行業研究セミナー」を開催

旅行会社の若手社員や採用担当者がディスカッション

2017年9月21日~24日 開催

旅行業界を目指す、多くの学生が参加した「旅行業研究セミナー」

先輩社員が語る旅行業界の仕事

 JATA(日本旅行業協会)は、ツーリズムEXPOジャパン2017において「旅行業研究セミナー」を実施した。これは旅行業に就職を希望する大学1~3年生を対象としたセミナーで、そのプログラムの1つとして、旅行会社の若手社員や採用担当者が登壇して語るディスカッションが行なわれた。

司会を務めた、一般社団法人日本旅行業協会 広報室長 矢嶋敏朗氏

 最初のディスカッションは「先輩社員大いに語る『旅行業はこんな所』」で、各旅行会社に就職して2~6年目という5人が登壇し、実際の業務内容や苦労したこと、うれしかったことなどについて語った。

 JTB ワールドバケーションズ アメリカ・オセアニア部 アメリカ・オセアニア営業第一チームの市川翔子さんは、海外パック商品のホテルや観光プラン、オプショナルツアー、レストランなどの地上手配を担当しているとのこと。一番思い出深かった出来事として「私の担当していたコースでオーストラリア旅行をされていたお客さまに、旅行の途中でご親族にご不幸があり、一刻も早く日本に帰りたいという申し出があった」ときのことを挙げた。

株式会社ジェイティービー ワールドバケーションズ アメリカ・オセアニア部 アメリカ・オセアニア営業第一チームの市川翔子さん

 その際、航空担当が航空会社と交渉、市川さんはホテルの手配、そして現地スタッフはお客さまのフォローと、チームで力を合わせて対応し、もっとも早い便での帰国を実現できたという。「このとき、お客さまに『今度はゆっくりオーストラリアに来ます』というお言葉をいただきました。みんなの力を合わせたことで、そういったお言葉をいただくことができたのだと思い、すごく印象に残っています」と語った。

 日本旅行 新宿法人営業部 法人三部 営業五課に所属する米山幸輝さんは、志望動機について、訪日外国人を増やしたいという思いがあったからだと話した。

株式会社日本旅行 新宿法人営業部 法人三部 営業五課 米山幸輝さん

「大学は観光系学科で、その授業のなかで世界の観光先進国と日本の旅行客数について学んだのですが、当時の1位がフランスで約7000万人ほど、そのときの日本は1000万人を切っている状況でした。日本にも素晴らしいものがたくさんあるのに、なぜ来てもらえないのかと疑問を持ち、それだったら世界のお客さまを日本に誘致する仕事に携わりたいという強い思いから、旅行会社や航空会社をメインに就職活動を行ないました」とのこと。

 横山瞬さんは、エヌオーイー 東京営業本部 メディア・広告営業部 営業二課に所属している。現状の仕事について「テレビ番組やスポーツ中継、CM撮影などに向かわれるお客さまの航空券などの手配を行なっています。また航空券以外にも、ホテルや列車、レンタカー、送迎車、海外旅行保険などの手配を依頼されることもあります。規模はお一人さまの出張から100人を超える規模の撮影隊までさまざまで、やはり人数が増えると大変です」と説明した。

株式会社エヌオーイー 東京営業本部 メディア・広告営業部 営業二課 横山瞬さん

 東武トップツアーズ 東京支社東京国際事業部 第五営業部 主任の兼田純さんの業務は、海外客船で日本に寄港した旅行者への対応だ。具体的な仕事内容の1つとして挙げられたのは、海外客船に乗船している人たちに販売しているオフィシャルツアーのオペレーションや現場での業務で、「那覇から小樽まで、いろんな港でのツアーを企画、提案し、港に直接行ってその日のオペレーションを行ないます」と述べる。さらに乗船および下船時のオペレーションも担っていると話し、「客船が港に着き、乗船したお客さまが下船する際のイミグレーション業務などを税関の人たちとともに対応します」と説明した。

東武トップツアーズ株式会社 東京支社東京国際事業部 第五営業部 主任 兼田純さん

 小田急トラベル 店舗営業部 はこね旅市場に所属しているのが小野崎幸恵さんだ。箱根旅行専門店であるはこね旅市場において、小野崎さんは店頭スタッフとしての業務を担う。その業務における苦労として、限られた時間のなかで要望を引き出すことを挙げた。

株式会社小田急トラベル 店舗営業部 はこね旅市場 小野崎幸恵さん

「カウンター業務を行なっていると、さまざまな目的のお客さまが来店します。そういったお客さまに向けて、ニーズに合わせたプランを手配するのが仕事ですが、限られた時間のなかでご要望を聞き出すのは難しいと感じています。ただ、お客さまの時間をいただいているという認識を常に忘れず、笑顔でカウンターに立っています。旅行手配後のお客さまから『ありがとうございました。旅行が楽しみです』と言われると本当にうれしいです」と話した。

旅行会社の採用担当者が本音を語る

 「採用担当者大いに語る『これからの旅行業向きの学生とは』」と題した2つ目のディスカッションでは、JTB グループ本社 人事部 人事チーム 求人担当の大田仁美氏、エヌオーイー 管理本部 人事総務部 課長の三井伸介氏、そして東武トップツアーズ 執行役員 人事総務部長の城戸尚志氏の3名が登壇した。

株式会社ジェイティービー グループ本社 人事部 人事チーム 求人担当 大田仁美氏
株式会社エヌオーイー 管理本部 人事・総務部 課長 三井伸介氏
東武トップツアーズ株式会社 執行役員 人事総務部長 城戸尚志氏

 どんな学生を採用したいかというテーマに対し、大田氏は「旅行業界はモノがあるわけではなく、何を売ったら利益はいくらだというように、決まった商売ができることは少ないんです。ですから、お客さまのことを自分で考えて行動ができること、JTBグループでは自立創造型社員と呼んでいますが、そういう人にJTBを選んでいただきたいですし、一緒に頑張っていきたいなと思います」と語った。

 エヌオーイーの三井氏は、採用したい学生として「旅行会社で働きたい、そのなかでもエヌオーイーで働きたいという熱い想いを持っている人」と話す。さらに「その人がどういう人で、どういう考えの持ち主で、将来会社として投資すべきか。そういう観点で見ることが多い」と言い、「(就職のために)何かを用意するというよりも、自分自身の素直な気持ちを出すのがよいと思います」と参加者にアドバイスした。

 城戸氏は「当社に入社を希望される方というのは旅行好きな人が多いのですが、それに加えて人間が好きな人。人間が嫌いな人は旅行業に向かない。人間に興味を持っている人が人間を楽しませることができるのかなと思います」と話す。そして「大学時代にしかできないことを精一杯やってほしい。そして就活では、会社のことを徹底的に調べる。もし分からないことがあれば、企業説明会に出かけて質問し、納得して会社に入ってほしい」とメッセージを送った。