イベントレポート
1月に初飛行に成功した「ボーイング 737 MAX 8」型機のテスト機内外を紹介
グローバル・イーグルの機内Wi-Fiデモも
2016年7月19日 14:04
- 2016年7月11日~17日(現地時間)開催
英国・ファンボロー空港で7月11日~17日(現地時間)に開催された「ファンボロー国際航空ショー(Farnborough International Airshow)2016」で注目された機体の一つが、2016年1月29日(米国西海岸時間)に初飛行に成功した「ボーイング 737 MAX 8」型機のテスト機。会期中には地上展示や飛行展示のほか、機内の紹介や、搭載されている機内Wi-Fiシステムのデモが実施された。
今回のファンボロー国際航空ショーで展示されたボーイング 737 MAX 8型機は、登録記号「N8704Q」の機体で1月に初飛行を行なった「N8701Q」とは別の機体となるが、外見上の特徴はほぼ同じだ。
エンジンはCFM Internationalの「LEAP-1B」を搭載。カウルはボーイング 787型機やボーイング 747-8型機で用いられている、後方をギザギザに加工したもの。カウル全体の形状は、現行までの737型機同様に正円に近いものではなく、扁平な円となっている。ただし、エンジンのファン径が大きくなったことで必要な地上高を確保するため、ノーズギアを最大8inch高くしている。
外見上のもう一つの大きな特徴が主翼端のウィングレットで、上下に分かれた独特の形状をしている。これは現行の737 NGシリーズでも採用している航空会社があるが、MAXシリーズでは標準デザインとなる。
【お詫びと訂正】初出時、LEAP-1Bの説明に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
併せて、このテスト機には機内Wi-Fiサービスも搭載しており、上部にアンテナのドームがあることが分かる。これはグローバル・イーグル(GEE:Global Eagle Entertainment)のシステムを利用したもので、会期中には同社の担当者も訪れ、デモンストレーションを実施する機会が設けられた。
デモンストレーションは地上で行なわれたが、実際に機体に搭載したアンテナを使用して衛星と通信を確立しているという。担当者は「当社のシステムはゲートからゲートまでサービスを提供する」とアピールしており、例えば1万フィート以上の上空でないと有効にならないシステムなどについては「それは航空会社が判断すること」としている。アンテナは衛星の位置に合わせて稼働するタイプのもの。帯域はKuバンドを利用している。
機内Wi-Fiサービスといえば、登場初期は飛行機内からインターネットへ接続できることが重視されていたが、昨今はシートモニターを持たない飛行機であっても乗客自身が持っているスマートフォンやタブレット、PCで機内エンタテイメントを楽しめることに主体を置くケースが増えている。今回のデモも同様で、「BBCやCNNなどのライブTV視聴ができるし、動画、音楽、ゲームを楽しめる。そしてもちろんインターネットにも接続できる」という説明の仕方だった。
機内には6TBのストレージを持つサーバーも搭載されているそうで、動画や音楽、ゲームなどは、サーバーからの配信も可能。一方、当然ながらライブTVは衛星を介してのストリーミング配信となる。
このほか、運航状況を示すマップから、到着地の天候や観光の見どころなどの情報を提供するといった画面も紹介があった。あくまでサービスプロバイダによるデモのため、ポータルサイトや、インターネット接続のサービス内容などは航空会社が決めるものとなるが、ボーイング 737型機のように近/中距離路線が対象でシートモニターを搭載しないことの方が多い飛行機だけに、機内エンタテイメントを楽しめる環境が用意されることの意義は大きいだろう。
このボーイング 737 MAX 8型機のテスト機内は、客室を完備したもの。3-3の6アブレストで、エコノミークラスのみのモノクラス仕様。ボーイング 787型機などでも採用されている、機内照明システム「Boeing Sky Interior」を標準仕様とし、客室前方の制御パネルからライティングをカスタマイズすることができる。
オーバーヘッドコンパートメントも最新仕様で、押しても引いてもロックを外せ、曲線を活かすことで頭上スペースを広くしたデザインとなっている。