【イベントレポート】ファンボロー国際航空ショー2016

ボーイング、「ボーイング 737 MAX 7」型機を12席増の仕様変更

ボーイング 787-10型機の開発はパーツ輸送を前倒しするなど順調

2016年7月11日~17日(現地時間)開催

 英国・ファンボロー空港で7月11日~17日(現地時間)に開催されている、「ファンボロー国際航空ショー(Farnborough International Airshow)2016」で、ボーイング(Boeing)は、同社の次期航空機「ボーイング 737 MAX」「ボーイング 787-10」「ボーイング 777X(-8/-9)」の開発の状況などについて紹介した。

ボーイング商用機部門の航空機開発担当ヴァイス・プレジデント マイク・デラニー氏

 ボーイング 737 MAXシリーズは、現行のボーイング 737 NGシリーズ(-700/-800/900)の後継となるモデルで、エンジンにCFM製ターボファンエンジン「LEAP-1B」を採用。競合のエアバス A320neoシリーズに対して、燃料効率が6~8%優れ、航続距離も長いことをアピール。ボーイング 787型機などに採用されている「ボーイング・スカイ・インテリア」を標準仕様として導入する。

 先に行なわれた市場予測のプレスカンファレンスでも言及があったとおり、ボーイング 737 MAX 7はボーイング 737-700型機から席数を2列/12席増加させることが発表になったほか、この仕様変更のために胴体の延長し、翼長(ウィングスパン)もボーイング 737 MAX 8と同じサイズに変更することを紹介。合わせて、最大離陸重量が15万5000lbから17万7000lbへ、最大着陸重量が12万8000lbから14万5600lbへ引き上げられる。

 航続距離についても改善を図り、2021年を目途にパフォーマンスの向上させる見込みであるとする。具体的には、同サイズの競合機に対してより長い航続距離を実現するとともに、エアバス A321LRの3タンク時と同等以上の航続距離を、2タンクのボーイング 737 MAX 9で実現するという計画になっている。

 開発の進捗は、最初の納入機となるボーイング 737 MAX 8は2016年1月29日に初飛行を実施、予定どおり2017年半ばには納入、航空会社による運航が開始される見込み。次いでMAX 9のファーストフライトを2017年半ばに実施し、2018年に納入。2019年にMAX7、MAX200を納入する計画となっている。

【お詫びと訂正】初出時、LEAP-1Bの説明に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

ボーイング 737 MAXシリーズの概要
2021年までに実現を見込むパフォーマンス向上後の航続距離比較
ボーイング 737 MAXシリーズの開発進捗
ボーイング 737 MAXシリーズを発注している航空会社
ボーイング 737 MAX 7型機の概要
-700型機からの仕様変更が決まったボーイング 737 MAX 7型機
高高度での燃費に優れる
MAXシリーズ各機種別に示した、エアバス A320neoシリーズとの効率比較

 ボーイング 787-10型機は、ボーイング 787-10型機の胴体延長型で、300席級の機体となる。シートあたりの燃料効率が、エアバス A330neoに対して25%、A350-900に対して10%優れることをアピール。航続距離が伸びることにより、現在ワイドボディ機で運航している路線の90%以上をカバーできるとする。

 日本ではANA(全日本空輸)が発注済み。ボーイング 787-8/-9の開発経験もあり、設計を約2週間前倒しで終了。最初の部品は2カ月早く輸送されるなど、2017年の初飛行、2018年の初号機納入に向けて順調であることを示した。

ボーイング 787-10型機の概要
ボーイング 787-10型機の開発進捗
ボーイング 787-10型機を発注している航空会社

 ボーイング 777X型機は、現在のボーイング 777-300/-300ER型機の後継となるモデルで、主翼にCFRP(炭素繊維複合素材)を採用。ANAが20機発注済みで、製造・開発にあたっては、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業、新明和工業、日本飛行機の5社が参画し、主要構造部位の約21%を請け負っている。

 初号機の納入は2020年を予定。現在は設計を進める一方で、複合材主翼センターをオープン済み。2017年に製造を開始し、2019年の初飛行に向けて開発を進めるとした。

 このほか、新ラインアップでウィークポイントとなっているのが、200~300席級かつ4000~5500nmの航続距離を持つ“Middle of the Market”の機体。ボーイング 757型機や767型機の後継となるが、このセグメントについてはボーイング 737 MAX 9の拡張、ボーイング 787型機の縮小といったアプローチが考えられるとしつつも、最終的な判断は明らかにしなかった。

ボーイング 777X型機の概要
ボーイング 777X型機の開発進捗
ボーイング 777X型機を発注している航空会社
ボーイング 757/767の後継となる“Middle of the Market”のセグメントについては今後方針が決められる
エンブラエルと共同で開発した、環境性能向上を目指した新技術を搭載する「ecoDemonstorator 2016」のフライトテストを夏に実施