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イン・アウトバウンドの比率は3対1。JATA新会長の原優二氏、不均衡と地方偏在の是正で双方向交流の再構築目指す
2026年7月9日 06:00
- 2026年7月8日 実施
JATA(日本旅行業協会)は7月8日、霞が関の本部で記者懇談会を開き、新たに就任した原優二会長らが出席、旅行業を取り巻く概況などを説明した。
国の基本計画に初めて「アウトバウンド拡大」明記
3月に閣議決定した「第5次観光立国推進基本計画」において、基本方針の一つに「国内交流・アウトバウンドの拡大」が初めて明記されている。JATA会長の原氏は、「2007年の第1次計画以来、アウトバウンドについて触れられてはきたが、基本方針に明記され、国の観光政策の重要な柱に置かれたのは初めて」と、その位置づけを高く評価した。計画では、2030年の海外渡航者数目標として2008万人超(2019年超え)という数値を政府目標として初めて示している。
直近の実績を見ると、2025年の訪日外国人旅行者は4268万人、消費額は9.5兆円と過去最高を記録し、自動車産業に次ぐ主要な輸出産業に成長している。一方で、日本人の海外旅行(アウトバウンド)は、歴史的な円安や航空運賃の高止まり・燃油の高騰、ロシア・中東情勢など地政学的リスクが重なり、コロナ前の7割程度にとどまっている。その結果、インバウンドとアウトバウンドの比率は3対1と、大きく偏った状態が続いている。
原氏はこうした不均衡が続くことで、「日本の航空ネットワークの維持やインバウンドのさらなる拡大にも支障が出る」と指摘し、双方向交流(ツーウェイツーリズム)の必要性を強調した。
地方分散と平準化、「ラーケーション」推進へ
国内市場では、旅行消費額が26.8兆円と過去最高を記録しているものの、週末や連休に需要が集中する状態は依然として変わらない。また、インバウンドの宿泊比率が10%に満たない県が多数存在するなど、地域的な偏りも明らかになっている。
原氏は「この遍在こそオーバーツーリズムの本質的な問題であり、ゴールデンルート一辺倒から脱却し、新たな広域観光周遊ルートを構築する」必要があることを掲げ、地方空港を活用した双方向交流の拡大に継続して取り組むという。
また、JATAは需要の平準化と休み方改革の具体的な施策として、企業への有休取得促進とともに、保護者と子供が平日に校外学習などを行なう「ラーケーション」の導入を政府・自治体・経済界に働きかけている。
人材確保に向けて労働環境の実態を「数字」で明確化
旅行業界はコロナ禍に多くの人材が流出しており、コロナ後もほとんどが戻ってくることはなかった。原氏は、「この仕事に踏みとどまった人々のなかにも、仕事の意味と価値を見失って、将来への不安を抱いた人が多かった」と振り返る。
一般的な業界への印象として、「生産性が低い」「給料が安い」「長時間労働」といったマイナスイメージが付いていることについて、原氏は「私はそうは思わない。土日も休みが取れて、有給・夏休み・年末年始などの制度も整っている。男女の賃金格差もほとんどなく、退職金制度を備えている会社も多い」と、ほかの産業と比べて遜色のない環境であることを指摘した。
しかし一方で、こうした実態を客観的に示すデータが不足しているため、まずは具体的な数字を明確にして、毎年定期的に公表して経年比較や他産業との比較を行ない、「一歩一歩各社が改善を重ね、この産業に対するマイナスイメージを払拭していく」ことが人材の確保につながると見通しを示した。

























