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ドンキの「格安スーツケース」を海外旅行で検証してみた! つなぎで買ったはずが想像以上によかった話
情熱価格「拡張ジッパーキャリーケース」
2025年11月11日 06:00
- 2025年11月 時点
長年連れ添ってきたサムソナイトのスーツケースが、ついに壊れた。キャスターが潰れかけ、走行はガタガタ。しかもボディーに亀裂が入り、あと1回でも衝撃を食らったら中身が飛び出しそうという状態。旅行や出張で酷使し続けたのでやむを得ないが、ずっと旅を共にした相棒の最期はあっけない。
スーツケースの寿命は一般的に10年と言われ、そろそろ買い替え時。とはいえ同じ10万円台のモデルを買うならちゃんとブランドや性能を吟味したい。しかし、次の出発がすぐ迫っていたため、そんな時間はない……。そこで目を付けたのが、近くのドン・キホーテに積まれていた「拡張ジッパーキャリーケース」だ。
価格とスペック
価格は、6~7泊向けサイズ(最大69L)で税込み1万4299円。ポップには、“情熱価格!シリーズ100万台突破!ドンキで一番売れてるキャリーケース”とある。見た目は意外とわるくないし、「とりあえず、これで行ってみるか」と勢いでレジへ運んでみた。格安でも、ちゃんと使えるのか確かめてみようじゃないか!
素材はABS樹脂+ポリカーボネート、TSAロック付き(鍵付属)、4輪(双輪)キャスター仕様。コインロッカー対応から10泊以上まで全6サイズ展開で、カラバリも豊富。スペックだけ見れば、ごく一般的なスーツケース(キャリーケース)レベル。
別の機会に話を聞いたドン・キホーテの製品開発担当によれば、このスーツケースは発売から何度かのリニューアルを繰り返しているそうで、最大のウリ“お土産5箱分の容量拡張機能”はそのままに、2025年現在の最新モデルでは以下のような改良が加えられている。
・後輪を大きくすることで、2輪走行時の安定性と耐久性をアップ(コインロッカーサイズ除く)
・キャリーハンドルは15mm刻みでベスポジ調整可能に
・階段や棚上げ時に便利なグリップマスター&ボトムハンドル搭載
・電車内でも勝手に動かないキャスターストッパーは足でON/OFFしやすい形状に
・長時間握っても手が痛くなりにくい柔らかいシリコングリップ
・開け閉めの滑らかさをアップしたYKKのメインファスナー
いざ海外旅行へ! 使い心地は?
さて、4泊6日の海外出張。出発前の時点でまず感じたのは、双輪と新品ならではの「走行時の安定感」。スイスイ転がせるので気持ちがいい。今回購入した62L(拡張して最大69L)の中身は、主に着替えやアメニティー、仕事用のガジェットなど70%ほどの荷物を入れた状態だが、自宅~空港間の駅の階段の上り下りやちょっとした段差でもなんなく持ち上げることができた。
これは、丈夫ながら軽量なABS樹脂+ポリカーボネート素材を使っているのに加えて、「上部の持ち手部分(グリップマスター)が端にある」ため。バッグなどの手荷物をキャリーオンしたままでも、スーツケースを持ち上げられる構造になっている。
一番よかった点は、やはり「キャスターストッパー」。空港に向かう電車内で、ストッパーをONにしておけば、勝手に動く心配がない。高級ブランドでも意外とコレが付いていないスーツケースも多いのでなおさら評価ポイントに思う。
選ぶカラーによってはやや安っぽいテカリがあるが、遠目にはほとんど分からない。気になる人は、記者が購入した「マットカラーVer.」がオススメだ。いよいよ預け入れカウンターで、頼むぞ。と祈るようにベルトコンベアに送り出した。
到着地のターンテーブルで再会したスーツケースは、意外にもピンピンしていた。角にたくさんの擦り傷はあるが(これは避けられないのでスルー)、全体は無傷。海外の街中では、石畳の道や無舗装の道を延々とゴロゴロ転がしたが、キャスターの動きもスムーズだった。でも音はちょっと大きい。これがもし日本の夜の住宅街なら少し気になるが、ギリ許容範囲。
また、安いスーツケースのハンドルはよくグラつくものだが、フルで伸ばした状態でも安定感があった。
ついに悲劇……! 致命傷ではないものの、気を付けたいこと
しかし、3日目にしてついに悲劇。スーツケースの四隅のうち1か所が、べコっと凹んでいたのだ。というのも、今回の出張では滞在中6回のフライト(日本→海外→海外の国内線に数回→日本)があり、預けたマイスーツケースはそのたびに飛行機に積み下ろしされた。
よく聞く“海外だと荷物の取り扱いが雑あるある”なのか、当たり所がわるかったのか、もしくは運がわるかったのかもしれない。
それでも割れそうな気配はなく、旅玄人の方なら共感してくれると思うが、キズは勲章という名の許容範囲。何より、価格1万4299円なので精神的なダメージが少ない! 安物スーツケースにありがちな「キャスターがすぐ割れる」「ジッパーが弱く勝手に開いていた」「空港で一撃粉砕」みたいなうわさも正直頭をよぎったが、そこはセーフ。
旅の後半、お土産と資料でパンパンになったところで、ついに「拡張ジッパー」の出番がきた。サブファスナーをぐるりと一周することで、容量は62Lから69Lへ。思っていたよりもマチが広がる。縫製もしっかりしていて、帰国まで無事に持ち堪えてくれた。
あと1つ言及するならば、TSAロックがダイヤル式ではなく「鍵タイプ」という点。毎回鍵を使って開けるのも面倒ではあるが、安全には十分配慮して、別売りのダイヤルロックやスーツケースベルトを併用したいところだ。
結論。安いが、十分使えるし、侮れない
結論「ドンキの格安スーツケースは十分使えた」。安いが、見た目以上にタフで、侮れない。たしかに大手ブランドに比べれば、転がすときの静かさや高級感はないけれど、使い心地に不便はなく、必要最低限の機能が備わっていた。壊れやすいシーンをいくつもくぐり抜けて、最後まで中身を守ってくれた。
年末年始の海外旅行や、急遽大容量サイズが必要になった時など、年に数回の旅なら文句なしのコスパだと思う。
ちなみに製造工場は中国で、メーカーは「シフレ」という日本のかばん専門店。ドンキの開発担当も新製品を作る際には、実際に海外などで使い心地を繰り返し検証するという。
ドンキのPB商品なので、大手メーカーのような修理サービスは付帯していないが、最近では駅ナカやショッピングセンターに修理専門店が拡充しているので万が一の際にはそれらを活用するのがいいだろう。Enjoy your trip!
















































