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ANA、6月12日より運航する成田~ヒューストン線の就航セレモニーを盛大に実施

初便は予約で満席、乗り継ぎやビジネス客に高いニーズ

2015年6月12日 就航

成田~ヒューストン線が就航し、初便が成田空港を出発した

 ANA(全日本空輸)は6月12日、成田(成田国際空港)~ヒューストン(ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル・ヒューストン空港)を結ぶ直行便の運航を開始。成田空港の初便搭乗ゲートにおいて就航セレモニーを実施した。

 今回の就航は、2014年12月に発表された2015年夏ダイヤの計画で発表されていたもの。ジョンソン宇宙センターやテキサス医療センターといった名所、シェル石油やコノコフィリップスなどのエネルギー関連企業の本社が立地する都市で、主にビジネス客や、アジア圏からの乗り継ぎ需要を狙う。

 また、ヒューストン空港は、同じスターアライアンス加盟航空会社で、ANAのパートナーでもあるユナイテッド航空がハブ空港としており、この以遠ネットワークを使って米国南部や中南米への渡航客に対しても利便性をアピールしている。

 使用機材はボーイング777-300ERで、ファーストクラス8席、ビジネスクラス52席、プレミアムエコノミー24席、エコノミークラス166席の計250席を備える。初便は予約は満席で、実際の搭乗者は244名となった。

 ちなみに、今回の就航セレモニーにはANAの篠辺修 代表取締役社長の姿がないが、篠辺氏はヒューストンで行なわれるセレモニーに出席後、復路の初便に乗って帰国の予定だという。往路は当便が予約で満席だったため、別の便でヒューストン入りすることになり、この場に同席することができなかったそうだ。

 便名は、日本発便がNH174便(成田11時15分発~ヒューストン09時30分着)、米国発便がNH173便(ヒューストン11時20分発~成田15時20分+翌日着)で、毎日運航。

 ちなみに、ANAは成田を午前中に出発する便を就航させたが、ヒューストンへはユナイテッド航空が成田を午後に出発する、UA6便(成田16時35分発~ヒューストン14時50分着、米国発便はヒューストン11時05分発~成田14時30分+翌日着のUA7便)を運航している。

成田~ヒューストン線、NH174の初便は51番ゲートを使用
51番ゲート付近ではJAXAがブースを展開
国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の模型
ロシアの船内宇宙服
「ソユーズ」の模型
元ANAパイロットで、2016年に宇宙に旅立つ大西卓哉飛行士からのビデオメッセージを上映
ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏

 セレモニーの冒頭で挨拶した、ANAホールディングス 代表取締役社長の片野坂真哉氏は「今日、待望のヒューストン線が就航する。ヒューストンは人口が220万人で、アメリカ第4の都市。ヒューストンというとアメリカの航空宇宙局、NASAのジョンソン宇宙センターがあり、1969年にアポロ11号が人類で初めて月面に降り立った時の中継で、同時通訳の西山千さんが『こちらヒューストン、こちらヒューストン、すべて順調』とアナウンスされていたのを思い出す。また、最近では大西卓哉さんが来年2016年に、国際宇宙ステーションに半年間滞在するというニュースがある。この大西さんはANAの元パイロット。我々も数年前に激励して送り出したことを思い出し、応援している」とヒューストンについての印象をコメント。

 さらに「ヒューストンには約290の日系企業が進出しており、シェールガスを始めとするエネルギー産業があり、日米双方のビジネス需要が多いに期待できる。また、私たちのジョイントベンチャーのパートナーであるユナイテッド航空の拠点でもある。彼らのヒューストンからの以遠ネットワークを使って、アメリカ南部を始め、中南米に渡航する場合にも非常に便利であると考えている。ヒューストンは、同地を本拠地にする企業も多い。これらの企業は、アジアや中国にも拠点がある。従って、アジアや中国から、この成田を経由してヒューストンに行き来する方々にとって、本当に便利になっていただけると思っている」とし、成田~ヒューストン線の有用性を紹介した。

 このほか、「ANAは2015年度を『ANA成田イヤー、成田の年』と位置付けている。このヒューストンを皮切りに、秋にはマレーシアのクアラルンプール(9月1日より)、欧州ベルギーのブリュッセルに新路線として就航を計画している。また、先日はシンガポールを増便し、このあとバンコク、ホノルルも増便する。今秋を終えると、成田から31路線、週280便という状態になるが、ますます充実させたいと思っている」と成田空港を活用したネットワーク形成にさらなる意欲を見せた。

 最後に「成田~ヒューストン線の出発時間が近づいてきた。『こちらヒューストン、すべて順調』と、私どものオペレーションもこうありたいと願っており、従業員一同全力で努力してまいります」と挨拶を締めた。

国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長 木村茂夫氏

 続いて挨拶した、国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長の木村茂夫氏は、「成田空港は3月29日の夏ダイヤから年間発着容量が30万回に拡大し、4月8日には第3ターミナルの供用を開始した。2020年、5年後に迫った東京オリンピック/パラリンピックの開催などを視野にいれながら、空港機能のさらなる拡充に向け、関係者と鋭意取り組んでいるところである。そのなかで、成田~ヒューストン線の新規就航をお祝いできることは、成田空港の一層の活性化に繋がるものとして、空港関係者として大きな喜びとするところ」と、同路線の就航を歓迎。

 「ヒューストンはアメリカ南部テキサス州にあり、同州最大、全米4位の都市。アメリカの石油・エネルギー産業の拠点ということで、世界的な石油会社の本社や関連会社が多数立地している。また、エネルギー関連企業を中心に、日本企業も300社近くが進出している地域。また、私もヒューストンと聞いて思い出すのは、宇宙船(アポロ11号)との交信シーン。日本の宇宙開発はJAXAが中心になって行なっているが、JAXAは筑波研究学園都市、筑波も成田からは大変近いですし、先日の高速道路(圏央道 神崎IC~大栄JCT間)の開通によって、アクセスもさらによくなっている。さらに、千葉市はヒューストンと姉妹都市ということで、今後の交流活動を行なううえでも、今回の就航による利便性向上は大変意義深いものではないかと思っている」とヒューストンの印象を述べたほか、「ヒューストン空港はアメリカ南部のハブということで、今回の就航で乗り継ぎの利便性が向上し、これらの地域とのネットワークが強化される。交流が活発化して、これらの地域からの訪日旅客増加を期待している」と、経済や文化、学術、観光といったさまざまな分野での交流促進に期待を寄せた。

成田市長 小泉一成氏

 続いて挨拶した成田市長の小泉一成氏は「片野坂社長や木村空港長の挨拶のなかで、アポロ11号の話が出てきた。私も実は、ヒューストンという街を知ったのが、中学2年生の時で、アポロ11号が月面着陸の時は、先生が授業をやめて、TVを見ようということになった。その時の、西山千さんの『こちらヒューストン』という言葉をいまだに鮮明に覚えている。ヒューストンという街がぐっと近くなったし、ヒューストンという都市があるんだなということを知ったきっかけでもあった。そのヒューストンと成田が結ばれるというは、私どもにとっても大変うれしい限りで、就航式典にお招きいただいたことも大変ありがたく思っている」と感慨深げに思い出を語った。

 そして、「成田空港も3月からはノンストップゲート化、4月には第3ターミナルのオープンと利便性が向上しており、そうした追い風に乗って、本日の就航式典がある。4月の訪日外国人旅行者は、1カ月間としては過去最高の176万人を超え、アメリカからの旅行者も4月としては過去最高の9万6000人で、前年同月比で12%伸びているそうだ。このヒューストン線就航で、ANAの成田空港から北米への直行便は9路線となり、成田空港から北米へ就航している航空会社の直行便としては最多。ビジネスが観光が一層便利になり、アメリカを中心に国際線ネットワークが強まるのは、成田市としても千載一遇のチャンスと捉えて、発展に結び付けていきたい」とした。

 加えて、「本日、さらにありがたいことがある。成田市の女性職員が『成田ソラガール』というグループを作り、外国人にも食べていただける新しい日本のスイーツということで『ソラあんぱん』を開発した。“夢は機内食”ということだが、本日のヒューストン線初便の記念品として、2種類のソラあんぱんを提供していただける」と、この点にもANAへ感謝の意を示していた。

在日アメリカ合衆国大使館商務担当公使 アンドリュー・ワイレガラ氏

 来賓として最後に挨拶にたった、在日アメリカ合衆国大使館商務担当公使のアンドリュー・ワイレガラ氏は、テキサスのイメージに合うカウボーイハットを被って登場。「テキサスの人は、『Everything's bigger in texas』、テキサスでは、すべてがさらに大きいと言う。言葉通り、テキサスはいろんな魅力をさらにビッグに楽しめる。ヒューストンはアメリカ第4の都市で、ジョンソン宇宙センターやテキサス医療センター、エネルギー産業に強いビジネス都市である一方、スポーツ、エンターテインメント、アートなどのビジュアルも楽しめる。さらに98カ国が領事館を置く国際都市でもある」とテキサス州やヒューストンを紹介。

 それに基づいて、「テキサスは日本の皆さんをお迎えする準備をしている。カウボーイの教え通り、誠実に真面目、互いを思いやる気持ちを大切にしながらお待ちしている。ANAの直行便により、日米のさらに強い結び付きができたことをうれしく思う。さらに多くの日本の皆さんが、この新しい直行便に乗ってヒューストンに来てくれることを願っている」と呼びかけた。

 主催者、来賓各位の挨拶が終わったあと、突然音楽がなりだし、カウボーイ風スタイルの女性がダンスを開始。徐々に人が集まり、最後にはANA職員も参加してのダンスパフォーマンスが披露された。

 これは、「カントリーラインダンス」と呼ばれるもので、ダンスに参加した日本カントリー&ラインダンススポーツ連盟のBecky Kikuchiさんは「Anybody can do it。誰でもできるダンス、楽しくできるダンス」と紹介。大勢が集まって楽しそうに踊る姿に、セレモニーを見ていた乗客らも盛り上がっていた。

カントリーラインダンスのパフォーマンス。日本カントリー&ラインダンススポーツ連盟のBecky Kikuchiさんによるソロから、徐々に人が集まって一緒に踊る
最後はANA職員も一緒になって、楽しそうな表情で軽快なダンスを披露した

 セレモニーは、最後にテープカットと記念撮影を行なって閉会。乗客の搭乗が開始された。ここでは、セレモニーでの小泉 成田市長の話にもあった初便の記念品を乗客に配布。

 搭乗はスムーズに進み、使用機材となった登録記号「JA733A」のボーイング777-300ER型機は定刻ぴったりの11時15分にプッシュバックを開始。ターミナル、ランプそれぞれからANAスタッフに見送られ、ヒューストンへ向けて出発した。

テープカット。左から、全日本空輸株式会社 執行役員 成田空港支店長 南日隆男氏、成田国際空港株式会社 代表取締役社長 夏目誠氏、成田市長 小泉一成氏、国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長 木村茂夫氏、在日アメリカ合衆国大使館商務担当公使 アンドリュー・ワイレガラ氏、公益財団法人 千葉市国際交流協会 副理事長 弓削田和行氏、ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏
2名のCA(客室乗務員)も参加して記念撮影
乗客が搭乗を開始。ゲート通過後に記念品が手渡された
記念品はノート、ボールペン(フリクションボールスリム)、ポストイット、ソラあんぱん2個(和三盆こしあんぱん、クリームスイカ)が、オリジナルトートバッグに入れられている
出発を待つボーイング777-300ER(JA733A)
ランプエリアの整備などのスタッフはもちろん、ターミナル内からも地上係員が手を振って乗客を見送った

【お詫びと訂正】初出時、就航日を誤って記載しておりました。お詫びして訂正いたします。

編集部:多和田新也