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ピーチ、CEOも“ビックリする実績”のプロ集団に加わる2015年度入社式

2015年4月1日 実施

 ピーチ(Peach Aviation)は4月1日、同日付けで入社するパイロット訓練生6名を含む31名の社員に対する入社オリエンテーションを実施し、井上慎一CEOが同社社員としての心がけなどを説明した。

 井上CEOは、「今から私が話すことは多少忘れていただいても大丈夫だが、覚えておいていただきたいことがある」とし、「安全運航の堅持」「コストマネージメントの徹底」「プロ集団たれ」の3点について訓示を述べた。

Peach Aviation株式会社の井上慎一CEO

 1つ目の安全運航については、航空会社においては最も優先度が高いことであり、業務に関わらず一人称で安全運航を約束することを求めた。そして、「昨日までよくても、今日失敗すると終わり。社員には“終わりなき旅”と言っている。1度でも(事故を)起こしてしまうと全て終わってしまう。みなさんの先輩は、このような危機感を持って過ごしている。ぜひ最初に共有していただきたい価値観」と重要性を重ねて強調した。

 2つ目のコストマネージメントについては、費用、時間、プロセスの無駄について説明。コストの削減とは、「これだけコストがかかる、これをなくせないかと考えること」であるとし、新聞広告などを使わずにほかの方法があるのではないかと考えて実践してきたことや、資料の紙を無駄の例として排除を求めた。

 時間については、ピーチでは残業は評価せず、報告書も作成時間が無駄なのでA4用紙1枚でOKとした。そして、「ずっと働き詰めでピーチが発展するのは望んでいない。ピーチも発展、みなさんもハッピー」といった世界を目指しているという。

 プロセスについては、ピーチの社風について触れ、「ピーチはフラットで、グレードも5段階しかない。そして、一番下のグレードの社員が、私のところによく来る。それでいい。いちいちスタンプラリーをする時代ではないとピーチは認識している。判子を押している時間があったら、とっととやってしまえ」と、無駄なプロセスを排除することでスピード感を高めるよう説いた。

 一方、「必要なものを切れとはいわない」ともし、「例えば機体のペイント。あれはANAより高い。フーシャピンクという色がなく、ラメも入れているから。お客様に接するところなど、使うべきところには使っている。それを削れとは言わない、安全も削れとは言わない」と、それぞれが無駄なものかどうかを考え、無駄であると思ったら排除できないか考えていくという方向性であるという。

 3つ目の「プロ集団たれ」については、現在のピーチ社員、すなわち新入社員にとっての先輩は「自立したプロ集団」であるとし、「これまで私もビックリするぐらいの実績を上げてきた。それが業績に繋がっている」と紹介。

 同社社員はプロセスに口を出すと、結果を出すから任せてくれと反発するというが、井上CEOは「それでいい。みなさんもそうなってほしい。もちろん自由と放縦は違う。規律ある自由がプロである」とし、「自分で自分の能力を高めながら、それによって会社のパフォーマンスを上げていくというムーブメントができている。それに加わってほしい」と説明した。

 その後、企業戦略やブランド戦略など同社の取り組み、実績などを紹介。内容は下記のスライドにまとめるが、2015年度の位置付けについて井上CEOは、「利益は出せているが、まだ累積損失が残っているので健全な会社とは思っていない。2015年度はこの累積損失を一掃するのが目標。そして来年、2016年度の今日には、晴れて一人前の会社としてスタートする」と説明し、新入社員にも奮起を促した。

入社オリエンでのスライド
ピーチの戦略は設立当初に決められたもの。独自の日本のLCCを作る、セーフティ、エブリディロープライス、日本クオリティの提供などを定めている。ライアンエアーでLCCビジネスを成功に導いたパトリック・マーフィー氏をアドバイザーとして雇っているが本人に対しても「30年後にはライアンを抜きたい」と言っているという
“はっきりとしたブランド戦略”として「Cute&Cool」をキーワードに展開
GirlsAwardへの参加、kawaii文化の元祖と言われる内藤ルネさんとのコラボ、南海・ラピートのラッピングトレインなどブランドが発展していることを紹介
日本初のLCCターミナルである関空(関西国際空港)第2ターミナルをメインベースに据える
ピーチでは「ベース空港から片道4時間」を路線開設の基準にしており、関空に続き那覇空港をベースとすることでアジア地域をカバー。さらには成田空港、仙台空港を第3、第4のベースとして考えている。現在国内12路線、国際7路線を運航
ラストミニッツ、つまり直前に購入した場合のフルサービスエアラインとピーチの航空券価格の差
2013年の運航実績。就航率99.6%という高い実績のほか、ロードファクター(有償座席利用率)は直近で9割を超えているという
2013年の会計実績。目標を大きく上回り1040万ドルの純利益を出した。2015年度は累積損失の一掃を図る
日本のLCCのビジネスモデルを構築するために掲げる4つの差別化ポイント
乗客自身のデバイスを使って楽しむ機内エンターテインメントシステム「High」の提供
電車の改札を目指して作られた自動チェックインシステム
l「機内に置くと重くなって燃費が悪くなる」ため機外で配布している冊子「Peaching」。スポンサーが付き、これ自身でビジネスができているという
ピーチでおなじみの言葉「おおきに」

(編集部:多和田新也)