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日本橋区間地下化の本格工事直前、八重洲トンネルの内部を見てきた。3つの非開削工法とは?
2025年4月25日 13:37
- 2025年4月25日 公開
首都高は4月25日、本格工事着手直前の日本橋区間地下化事業のうち、八重洲トンネル内部を公開した。
同社は本事業にあたり、八重洲線 神田橋JCT~西銀座JCTの10年間の長期通行止めを4月5日に開始したばかり。今回公開した八重洲トンネルは、上部に常盤橋が架かり、周辺には国指定の史跡「常盤橋門跡」を含む常盤橋公園や、一部が中央区の有形文化財建造物になっている一石橋、そして日本橋川が存在する。
自治体や地元からも「できるだけ今の形のまま残したい」という要望があることから、本事業では「交通を止めない」「日本橋川の歴史を止めない」「日本橋川を止めない」という“3つの止めない”を掲げて工事を行なうという。特に日本橋川周辺では、周辺の史跡・構造物に影響が出ないよう、基本的に地上を非開削で工事していく。
そこで用意したのが3つの工法で、まず日本橋川の流れを止めずに作業を行なうため、川底に鉄の床(鉄樋:てっぴ)を作り、その鉄樋を支える受け抗と既設の八重洲線部分に設ける受け抗によって、日本橋川直下の掘削作業を可能にする「鉄樋工法」。
鉄樋は1枚あたり13×8mで、およそ2500m2の川床の事業範囲に対して、約70枚ほどを敷設するという。鉄樋が川底でフタのような役割を果たすことで止水性を確保し、日本橋川に影響をおよぼすことなく、また地下部分に浸水させることなく作業を進めることができる。
また、常盤橋の橋台をそのまま残して地下掘削をするため、川底に土留壁や受け杭を設置して、仮受けジャッキで橋台を支えて、その下に新設躯体の頂版を打設。さらにその下を掘削してトンネルの構造を仕上げたのち、仮受けジャッキごと埋め戻す「アンダーピニング工法」。
さらに、大きなシールドマシンを使うことができないため、新設トンネル部の両側に小さな縦坑を設けて、そこに小型掘削機を投入。既存の八重洲線に沿って両側を掘削し、その2つの穴を横断するように穴を開けて、新設躯体の頂版を設置、トンネルを構築していく。この小型掘削機の断面がハーモニカの吹き口のように見えることから、この工法は「ハーモニカ工法」と呼ばれている。
なお、事業後の神田橋JCTから東に向かうルートは、地下化区間を経て6号向島線へつながり、同時に江戸橋JCTの都心環状線への連結路は廃止。竹橋・神田橋から都心環状へは八重洲線南行きの先に新たに設ける「新京橋連結路」によって新京橋JCT(仮称)へと流れ、箱崎JCT方面へ向かう車両と明確にルートを分けることで、最大渋滞長を3kmから1.5kmへ減少できる見込みになっている。