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廃止のKK線が歩行者中心の空間に生まれ変わる。60~90年代の名車がずらりと揃ったパレードを見てきた
2025年4月21日 11:11
- 2025年4月18日 実施
東京都と東京高速道路は、4月5日20時で廃止となった東京高速道路(KK線)を歩行者中心の公共的空間へ再生する取り組みに向けた交代式「KK線リボーンセレモニー」を開催した。
KK線は1966年に約2kmの全線が供用開始され、首都高 八重洲線(Y)とともに首都高 環状線(C1)を補完する存在として多くのドライバーに利用されてきた。その一方で大型車の通行ができないことに加え、日本橋区間の地下化事業に伴い環状線と八重洲線を地下で結ぶ新京橋連結路の整備が決定。その役割が大きく低下することから東銀座出口を除く部分を廃止し、「歩行者中心の公共的空間」に生まれ変わることになった。なお、八重洲線においても2035年まで長期通行止めとなっている。
セレモニーでは、主催者を代表して東京高速道路 取締役社長の加藤浩氏が登壇し、KK線廃止発表後には「多くの皆さまから、利用者の方々、関係者の皆さまから廃止を惜しみ、そしてこのKK線に感謝する声というものをたくさん頂戴いたしました」と述べ、利用者や関係者に感謝の意を表した。
KK線については「私ども東京高速道路株式会社は、戦後の復興には自動車道が必要だという当時の財界人の有志23名の方により1951年に会社が設立」され、1966年に全線が開通。それ以来、建設費や維持管理費などを道路下にあるテナントからの不動産賃貸収入によってまかなうことで無料で共用してきたと説明。
今後は「上部の空間を歩行者中心の公共的空間に、東京都さんのご支援をいただきながら進めていく」とし、「古くなったものを壊すのではなく、再生して使っていくという、そして自動車道を歩行者道に変えていくという大きなところに、クルマから人へという流れのなかで、今まで例のないこの事業に取り組んでいく」と決意を新たにした。
「最終的には世界から注目される観光拠点、これを目指して作っていきたいという風に考えております」と展望を語った。
続いて、戦後の復興期から現在までの日本を象徴するクルマおよび歩行者のパレードを実施。貴重なクルマの紹介を行なったあと、参加者やクルマを前に道路施設担当からプロジェクト担当へフラッグを引き渡す「ハンドオーバーセレモニー」が行なわれた。
フラッグを受け取った東京高速道路 常務取締役 プロジェクト推進室長の花木万里子氏は、「数年の準備期間を経て本日を迎えられてスタートラインに立てたこと、また節目となるセレモニーにおいて、皆さまの前でプロジェクトの名称を発表できること、大変がありがたく存じております」と前置きし、プロジェクトの名称を「Roof Park Project」と命名したと発表。
この名称には「上部空間に限定されないものにしたい、そんな発想をもとに、下に空間、営みがあることを示す“屋根”“ルーフ”という言葉に、私たちが大切にしたい思いを込めました」とのこと。また、「屋根に登り、いつもと違う開けた景色を目にしたときのわくわく感を訪れるたびに感じていただけるよう、皆さまに愛される楽しい空間」を目指していくという。
プロジェクトのコンセプトについては「みんなでゆっくり作る未来」と定めた。これは「60年以上の長い歴史を積み重ねるKK線の既存施設を再生する」にあたり、「さまざまな人と関わり、会話を重ね、解像度の高い計画、デザイン、実行というプロセスを踏みながら丁寧に進めて」いくとともに、供用開始後も愛着を持って進化し続けるという街づくりの理想を込めたものだという。
その特徴は「都市スケールの既存インフラを再生し新しい価値を提供する」「民間と東京都の公民連携によって事業を推進する」「計画から整備段階、この段階から多様な人々と関わり共創する」「プロジェクトに関する発信、会話を常に行ない“ゆっくり作る”を実装する」という4つで、これをもとに「クルマが走る速さから人が歩く速さへ。私たちがコンセプトに込めた思い。まちづくりの実現に向けて、ヒューマンスケールで丁寧に街づくりを行なってまいります」と締めくくった。
セレモニーの最後に小池百合子東京都知事が登壇。KK線について「民間の活力によって自動車専用の道路を無料で一般に共用するという、これ日本で初めての画期的なビジネスモデルだったんですね。そして、1966年に開通をいたしまして以来、約60年の長きにわたりまして東京の成長、発展を支えてこられました」と振り返り、「これからKK線は、クルマのための場所から人がワクワクする」場所へと生まれ変わり、「東京のウォーカブルなまちづくりの象徴となる」と紹介。
「東京都と東京高速道路、これからも連携をいたしましてKK線の再生に取り組んでまいります」とし、「地域の皆さまをはじめとして、多くの方々とともに」「自由にこれからいろんなアイデアを出し合いながら、その可能性をは開かせていけたらいいな」と展望を語った。最後に「東京に来たらまずKK線に行ってみようと国内外の皆さま方が考える、そしてまた世界から注目される観光の拠点といたしまして、みんなで盛り上げてまいりましょう」と締めくくった。