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改正道交法に対応したLUUPの電動キックボードが登場。歩道も走行できる最高速度表示灯搭載車も「歩道走行はあくまで危険回避に」

2023年6月29日 発表

LUUPが改正道交法に対応した電動キックボードを投入する

 電動キックボードと電動アシスト自転車のシェアリングサービス「LUUP」を提供するLuupは、7月1日の改正道交法の施行を前に、新ルールの適用などについて説明した。

 同社は2020年5月にサービスイン、2021年4月には電動キックボードの提供も始めている。LUUPの電動キックボードについては、現行法では特例措置下の「小型特殊自動車」という扱いになっており、免許が必要(普通免許など。原付免許ではない)で、制限速度は15km/h、ヘルメットの着用は任意、右折は小回り右折となっている。

 これが7月1日以降の改正道交法では、「特定小型原動機付自転車」に扱いが変わる。16歳以上なら免許不要、最高速度は20km/h、ヘルメット着用は努力義務、右折は二段階右折などとなる。また、最高速度表示灯を装着した車両に限り、走行可能な箇所に路側帯と歩道が追加され、特に歩道では制限速度を6km/hに抑えることで走行が可能になる。

改正道交法に対応したLUUPの新型電動キックボード

歩道の走行は「あくまで危険回避時」に

 この聞き慣れない「最高速度表示灯」だが、一言で言えば、時速20km/hと6km/hのどちらで走行しているかを表わす状態表示だ。

 7月1日以降に投入するLUUPの新型電動キックボードはハンドルの両端(既存車両でウインカーのある部分)がグリーンのライトになっており、ハンドルに速度モードの切り替えボタンを搭載している。ライトは20km/hモードでは点灯、6km/hモードでは点滅になる。

 そのため、例えば点灯状態で歩道を走行していると、誰の目からも違反状態であることが分かるというわけだ。また、6km/hモードなら歩道を走行できるとはいえ、同社は「道路上に駐車車両があるときなど、あくまで危険回避のための手段」と位置付けており、「基本は車道を走行するもの」という立場を取る。

 さらに同社は新しい交通ルールに則るため、7月1日以降のLUUPの電動キックボード利用は「交通ルールテストの全問正解・連続正解」と「年齢確認書類の提出」を必須にしている。

 ただ、テストとはいえ利用者をふるいにかけようという意図ではなく、法律用語ではなく平易な表現でイラストを交えたものになっており、アプリ内には新しい交通ルールを学べる学習コンテンツも用意している。このテストは5月16日からすでに受験可能になっている。

 年齢確認書類はマイナンバーカード、運転免許証、在留カード、パスポート(海外パスポート含む)をアプリで読み込み・アップロードする仕組み。ただしこれはあくまで電動キックボードを利用する前の制限で、電動アシスト自転車しか使わないのであれば書類の提出は必要ない。

ハンドル両端のライトが最高速度表示灯
アクセルレバーの隣にあるのが速度切り換えスイッチ
改正道交法で新設される10cm角の小型ナンバープレート
株式会社Luup 代表取締役社長兼CEO 岡井大輝氏

 新しい交通ルールなどの解説を行なったLuup 代表取締役社長兼CEOの岡井大輝氏は、今回は特に「電動マイクロモビリティ群」のための法改正の側面を強調した。現在のLUUPの車両は電動アシスト自転車とキックボードだけだが、貸出/返却ポートの高密度化と今後現われるマイクロモビリティ群を通して、同社は「町中を駅前化にするインフラを作る」ことをミッションに掲げている。

 そのため、これまでの実証実験で特例措置にあった状態から改正道交法にしっかり準拠した車両・サービスを提供することは同社の目指す未来と合致している。

 なお、今後の課題としては、LUUPユーザー以外に新しい交通ルールを周知していくこと、シェアリングサービスではなく販売車両が市場に流通し始めたときのルール周知不足を挙げている。

 例えば、改正道交法下では、既存の電動キックボードは最高速度表示灯を装着するまで歩道は走行できないことになるが、利用者の無知などによって非対応の既存車両で歩道を走行してしまうことも懸念される。既存車両の改装については、岡井氏は「2024年12月までの猶予期間を待つのではなく、なるべく早く実施したい」と述べている。

 なお、同社は7月1日(東京・大阪)と2日(神戸)に電動キックボードの安全講習会を予定している。利用してみたいが乗り方や交通ルールがよく分からない、というかたは参加を検討してはいかがだろうか。