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ドイツ観光局、力強い回復みせる2023年訪独市場。世界遺産・自然・食の国家ブランド活かしたキャンペーンで日本人誘客へ

2023年5月24日 開催

ドイツ観光局がプレス発表会を開催し、2023年の取り組みなどを紹介

 ドイツ観光局は5月24日、都内でプレス発表会を開催した。ドイツ観光局 アジア地区統括局長の西山晃氏が登壇し、ドイツの旅行・観光市場を取り巻く現状や海外旅行再開に伴う今後の回復予測について説明を行なった。

 西山氏によると、海外からのドイツ訪問旅客数は昨年力強い回復をみせ、今年2023年1月~2月にはコロナ禍前の2019年同期比83%の水準となった。「ドイツは世界全体の流れに沿って順調に回復している」という。

ドイツ観光局 アジア地区統括局長 西山晃氏

 ドイツを訪れる外国人旅客トップ20か国を見ると、昨年は上位6か国で全体の約50%、上位15か国で全体の約75%を占めている(ちなみに日本の場合は上位3~4か国で80%以上)。このことから「ドイツはいろんなところからお客さんが満遍なく訪れる健全なデスティネーションであると自負している」と西山氏は言う。

 コロナ禍でヨーロッパからの訪独客は減少していたものの、ポーランド、ルーマニア、スロバキアといった国からは2022年の段階で2019年を上回る観光客が訪れた。

 一方でアジア・太平洋地域からの渡航は、2019年同期比で47%ほどの回復率。今年1月の統計では約60%まで回復している。特に日本や中国市場の回復で遅れが目立つ結果となった。

 2022年1月~2023年3月における日本人の海外渡航者数はゆるやかに増加しており、これに伴い日本からドイツへの渡航者数も伸びている。また昨秋にはドイツ産業見本市による業務渡航の需要が増加。2023年は1月以降、40%前後の回復率で推移しているという。

 続いて西山氏は、日本とドイツを結ぶ直行便の状況について説明。2023年の夏ダイヤは1週間の総数43便(東京~フランクフルト間で28便、東京~ミュンヘン間で12便、大阪~ミュンヘン間で3便)となっている。なかでも東京~フランクフルト間の重要な路線は、すでにコロナ前と同じ100%の便数にまで回復している。

 しかし日本人のドイツ宿泊者数は「世界基準で見てみると出遅れ感が否めない」と指摘。この要因として「ロシアのウクライナ侵攻」「為替の円安」「高騰する航空運賃」「平均収入の停滞」などを挙げ、結果的に「海外旅行における日本人の購買意欲の低下につながっているのでは」と西山氏は話す。

 また、ドイツ旅行への大きなモチベーションは歴史・文化への関心であり、時間とお金にある程度余裕のある層がターゲットになる。旅行費用の高騰が続く状況が緩和されるまで、「我々の短期的な戦略は、富裕層や高所得層に訴求する旅行会社を通じたマーケティングに取り組む昨年からの方針」を継続するという。

 しかし2023年1月、観光庁が全国のZ世代400名を対象に実施した「海外旅行に関する意識調査」(コロナ後に行ってみたい旅行先)で、ドイツは若い世代に高い人気を集めた。女性では6位、男性でも9位と、男女ともトップ10にランクイン。

「これは我々にとって将来を非常に明るくしてくれるような結果」と西山氏は言い、「今すぐには難しくても、状況がよくなれば戻ってくる。従来のシニア層に加えて20代前半の若い人が関心を持ってくれることは心強い」と期待感を示した。

特に日本人旅行者に対しては宮殿やお城、グルメなどが重要キーワード

 そして今年ドイツ観光局では「リカバリー予測を2019年比の50%」と見込み、6月~7月には「ユネスコ世界遺産クロスメディアキャンペーン」、9月~10月には「Feel Good キャンペーン」、11月には「クリスマス クロスメディアキャンペーン」など多数展開。

 強みである歴史的建造物や豊かな緑、活気ある都市の街観光やグルメを活かし、日本人旅行者と旅行事業者にサステナブルなドイツ観光をアピールするとした。

2023年のドイツ観光リカバリー予測は2019年比の50%
ユネスコ世界遺産クロスメディアキャンペーン
Embrace German Nature クロスメディアキャンペーン
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