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JAL、生理や更年期の苦しみ軽減する「フェムテック実証プログラム」。男性社員ともに相互理解を深め“働きやすさ”追求へ

3月8日「国際女性デー」に向けて

2023年3月7日 実施

JALが社内で推進する女性活躍への取り組みを「国際女性デー」に合わせてPR

 JALは3月8日「国際女性デー」に先立ち、JALグループ内で推進する女性活躍への取り組みを報道関係者向けに発表した。

 説明を行なったのは、JAL 人財本部 人財戦略部 D&I推進グループ アシスタントマネジャーで「フェムテック実証プログラム」の事務局を務める島大貴氏。

 フェムテックとは、女性のライフステージにおける生理・妊娠・更年期などのさまざまな課題を解決する考え方(製品やサービス)であり、同社では女性社員の活躍を後押しするための実証プログラムを導入している。

 2022年度よりJALグループは、多くの人々に選ばれ愛されるエアラインを目指すための新たな「Purpose」を掲げているが、これを実現するための要素として「D&I推進」を重視していると島氏は説明。社員たちが成長する機会の提供や不安を解消し、意欲をもって働き続けることができる環境づくりに取り組んでいる。

日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部 D&I推進グループ アシスタントマネジャー 島大貴氏

 全グループ社員を対象にアンケート調査をしたところ、「女性社員は男性社員に比べ、相対的にライフイベント(妊娠・出産など)の影響を受けやすく、月経や更年期症状といった日々の健康課題がキャリアを考える際のハードルになっている」という問題が顕著に見られた。

 特に長時間の立ち仕事を行なう客室乗務員をはじめ、女性従業員が多く携わる航空業界においては、生理痛や精神的コンディションの不調による苦痛や悩みを抱えつつも、解決できずに我慢せざるを得ないという課題が生じやすい。

 そこで「働く女性社員の健康面での課題を少しでも解消し、より前向きにキャリアに向き合う」ための取り組みとして、丸紅および「ルナルナ」を運営するカラダメディカと協業し、専門医によるセミナーを開催したほか婦人科でのオンライン診療を活用し、「オンラインピル外来」「オンライン妊活相談」「オンライン更年期外来」を約6か月にわたり実施した。

 これらの効果として、参加した女性社員からは「我慢する、耐えるの一択だったころとは違い、体調管理の一環という考え方に変わった」「更年期かなと思いつつ病院に行くのが億劫で診察や薬の服用まで至っていなかったのが、オンライン診療でハードルが下がった」という意見を得ることができた。

 一方男性社員からは、「これまで女性の健康面については触れてはいけない話題・タブーという感覚があり避けていたが、決してそうではない」、これをきっかけに正しい知識を身に付け、同じ悩みを持つ自分の配偶者やパートナーに対して「どう接するべきか理解するきっかけとなった」という意見が得られ、男性社員ともに“健康の話題にオープンになれる”社風を生むきっかけになったと島氏は説明。

自身も長年、客室乗務員として働いてきた経歴があり「日々の健康課題に悩む同僚を多く目の当たりにしてきた」という島氏

 また本実証プログラムでは、診察代や医師が必要と判断したピルや漢方薬の処方代も会社が支援することで、個人に毎月かかる経済的負担を軽減。また、働きながらではなかなか困難とされる産婦人科への予約・診断も、オンラインを駆使することで仕事のすきま時間に気軽に受けられるメリットも確認できた。

 参加者の1人であるJALセールス 財務部 財務グループ グループ長の服部幸子氏は、頭痛や手先のしびれ、気持ちの低下といった更年期の諸症状がありつつ、「管理職という立場上、メンバー育成やモチベーションの向上といった業務に支障をきたしてしまうことも苦痛に感じていた。時間的な制約や不安から通院に踏み切れず解決できないまま、もがき苦しんでいた」と体験談を語った。

株式会社JALセールス 財務部 財務グループ グループ長 服部幸子氏

 しかし緩和プログラムを利用することで、「定期的に通院を続けやすく、主治医が付いてくれるという安心感が得られた。自分に合った漢方薬を服用しながら、精神的な苦痛をなくすことができた。働く女性にとっては非常にありがたい」と、心身の健康に着実な変化があったことを説明。

 また「世の中で“女性の活躍”といわれ、自分自身も大きなチャレンジだと思って仕事をしてきた。そのなかで負担となっていた健康面の問題をなくし、パフォーマンスを上げていきたい。あとに続く女性たちの道を開いていきたい」服部氏。ぎっくり腰や老眼と同じように健康に対する相互理解を深め、「みんなで助け合っていこうよ」という風土をオープンに築いていきたいとの想いを語った。

「フェムテック実証プログラム」参加者の1人として体験談を語った服部氏

 最後に島氏は「健康への課題に取り組むことが、働き甲斐につながるという気付きを得るきっかけとなる。女性活躍を後押しするためのフェムテックに、企業として向き合う価値がある」と話し、今後は本プログラムの効果検証の結果を踏まえて検討を続けていくとした。

 なお3月8日「国際女性デー」は大切な女性にミモザの花を贈る習慣にちなみ、「ジョセフ ペリエ」のシャンパンを国際線 羽田空港・成田空港 JALファーストクラスラウンジにて提供する。

ミモザの花と同じブランドカラーを持つ「ジョセフ ペリエ」のプレステージシャンパン