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JAL、航空需要の回復で第3四半期も黒字推移。純利益250億円見込み、期末に1株あたり20円の配当予定

2023年2月2日 発表

JALが2023年3月期 第3四半期決算を発表

 JALは2月2日、2023年度3月期の第3四半期のグループ連結決算を発表した。説明したのは、代表取締役専務執行役員 財務・経理本部長の菊山英樹氏と常務執行役員 総務本部長の青木紀将氏。

日本航空株式会社 代表取締役専務執行役員 財務・経理本部長 菊山英樹氏
日本航空株式会社 常務執行役員 総務本部長 青木紀将氏

 売上を事業別に見ると、国際線は各国の入国規制緩和や撤廃による旅行需要の回復、日本企業のビジネス渡航需要が徐々に回復しているのに加え、2022年10月の入国規制の大幅緩和によりインバウンド需要が急速に回復に転じた。

 国内線は新型コロナウイルス第8波の影響はあったものの、行動制限や移動自粛がなかったことや政府の需要喚起策である「全国旅行支援」の追い風もあって着実に回復を見せた。その結果、フルサービスキャリアの国際線旅客収入は前年同期比で509.7%増(2400億円増)の2871億円。国内線旅客収入は、同92.7%増(1614億円増)の3355億円を計上した。

 コロナ禍においても好調な貨物事業は、海上輸送が正常化に向かいつつある。また北米の景気後退による影響などもあって総需要は前年より減少しているものの、利益率は高い水準を維持していることから、前年同期比で13.9%増(224億円増)の1834億円を計上。コロナ禍前よりも高い数字で推移している。

 このほか、LCC事業(ZIPAIR、スプリング・ジャパン)については、中長距離路線を担うZIPAIRは成田~サンノゼ線を新規就航させるなど路線網を拡大しており、7月以降は継続して黒字で推移している。

 一方、スプリング・ジャパンについては、中国路線の増便が厳しい状況で苦戦が続いている。その結果、LCC事業の収入は201億円となっている。マイル・ライフ・インフラなどの事業は前年同期比で51.4%増(569億円増)の1677億円を計上している。

 以上から、売上高は前年同期比で101.7%増(5071億円増)の1兆55億円となり、航空需要の着実な回復を背景に数字はコロナ禍前の水準に近づきつつある。

 前期、プラスに転じたEBIT(利払前税引前利益。以前の指標でいう営業利益)は347億円を計上。純損益は163億円で、前年同期からは1446億円改善している。第3四半期単独ではEBITは344億円、純利益は184億円となり、2019年度第3四半期以来の四半期ベースで黒字となった前期に引き続き、着実に業績は回復しているという。

連結経営成績

 営業費用の主要項目については、市況の高騰と急激な円安の影響から燃油費は大幅に上昇しているとし、2416億円(前年同期比137.3%)を計上している。一方、運航規模や旅客数などによる変動的要素や事業構造改革に伴う一時的な費用を除いた実質固定費は通期で5000億円という規模に収まるようコストマネジメントに努めた結果、3671億円にとどめている。

主要営業費用項目

 グループの連結財政状況は、有利子負債が8921億円、うち1年以内の返済額は1003億円で、総資産は2兆4396億円。自己資本比率は32.3%(ハイブリッドファイナンスを加味した格付け上の数字は39.5%)となっている。また、航空需要が回復基調で推移していることから、フリーキャッシュフローは1173億円になっている。

連結財政状態・キャッシュフロー

 2023年3月期通期の連結業績予想については、前回発表の数字から下方修正された。売上高は1兆3580億円(前回予想は1兆4040億円)、EBITは500億円(同800億円)、純利益は250億円(同450億円)と発表。

 修正の要因としては、国内旅客収入が想定より伸び悩んだことと(260億円減)、貨物収入が想定単価に届かなかったこと(110億円減)を理由として上げた。配当については、航空需要が未だ回復途上で先行きにも不透明感が残るものの、今期の黒字化と今後の見通しにある程度目途がついたことから、期末に1株あたり20円の配当実施を予定している。

2023年3月期 通期連結業績予想・旅客需要