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JAL国内線PCR検査サービスを体験してみた。プラス2000円で自宅で唾液採取
正式導入のタッチレスチェックイン機も
2021年3月24日 14:00
- 2021年3月8日 受付開始
JAL(日本航空)は、3月8日に国内線搭乗予定の利用者が事前にPCR検査を受けられる「JAL国内線PCR検査サービス」をスタートした。
対象はJMB(JALマイレージバンク)日本地区会員で、航空券やツアーの予約・購入を完了していることが条件。価格は2000円、または2500マイルでの支払い。搭乗7日前までの申し込みが必要だ。
検査自体はにしたんクリニックが実施。厚生労働省病原体検査指針に準拠した検査を受けることができる。JALは2020年10月からダイナミックパッケージ購入者などに向けてPCR検査サービスを提供しているが、今回新たにJMB日本地区会員向け特別価格での提供をスタートしている。
今回は、事前のPCR検査を含む国内線搭乗の流れを体験することができた。
<準備編1>JAL専用サイトで申し込み。検査キット送付用のチケットコードとURLを入手
検査の流れをまとめると以下4つの工程となる。(1)チケットまたはツアーを購入、(2)JAL専用ページで検査申し込み用コードとURL入手の手続き、(3)連携クリニックのサイトでPCR検査キット申し込み、(4)PCR検査キット受け取り&採取した唾液の返送だ。
(1)チケットの購入は今回すでに取材用に手配済みの状態。そのため続く(2)JAL専用ページで検査申し込み用番号とURL入手の手続きへ。まずは、「JAL国内線PCR検査サービス」のトップページに進み、「PCR検査のお申し込みはこちらから」で注意事項を確認後、「PCR検査の申し込みに進む」をタップ。続いてJMBお得意様番号でログインし、クレジットカードを新規登録しよう。
続いて、名前や住所、メールアドレスなどを入力。「クレジットカード2000円」または「マイル 2500マイル」のどちらか支払い方法を選択。さらに出発日と自身が予約した搭乗区間をプルダウンで選択し搭乗便名も入力する。入力内容確認を経て「送信」ボタンをクリック。送信後に表示されるページに表示された赤い「PCR検査に申し込む」をタップすれば検査申し込み用のチケットコードとURLが24時間以内にメールで送信される。
<準備編2>クリニックのサイトで検査キット送付を申し込もう
検査申し込み用サイトのURLとチケットコードの連絡を受けたら、前述の(3)検査キット送付の申し込みへ。送られてきたURLをクリックすると、にしたんクリニックのサイトへとつながりスムーズに手続きができる。コースは「PCR検査の申し込み」画面のトップにある「PCR検査」(1万5000円、チケット使用可)を選択。こちらは自宅で唾液を採取し、検査結果をメールで通知してくれる内容だ。
コース選択後は支払い方法へ。事前に特別価格のチケットコードを入手しているので「チケット」をチェックしコードを枠内に入力しよう。配送方法は追加料金なしの「郵便」とプラス600円(税別)かかる「ヤマト宅急便」の2種類。今回は日程に余裕があるため「郵便」を選んだ。前者は日祝の配達はないが、後者は16時まで(土日祝は15時30分まで)の申し込みで当日発送、土日祝も配送可能になる。
「申込者情報」と「検査希望者情報」を入力後、記入情報と注意事項をしっかり確認後に「同意して申込」をタップ。「PCR検査申込完了」と表示され申し込み番号が発行される。なお、完了後すぐにメールでの案内が送信される。あとはキットの到着を待つだけだ。申し込み作業に関してはさくっと5分程度で完了することができた。
<PCR検査編1>ついにキットが到着。早速開封の儀
金曜の午後申し込みで到着したのは次の月曜の午前中。ポスト投函ではなく、手渡しでの受け取り。早速(4)PCR検査キット受け取り&採取した唾液の返送作業へと移った。封筒のなかには、PCR検査唾液採取用キットと説明書、重要事項などが記載された書類が入っていた。
詳しい検査キットの中身は「唾液保存容器セット(唾液保存容器&漏斗)」「本人確認用バーコードシール」「吸水シート+緩衝材(エアパッキン)」「密封袋」「返送用BOX、封止めテープ」「返信用宛名シール」。
書類は全部で4枚。「新型コロナウイルスPCR検査 唾液採取用キット送付のご案内」「採取方法のご案内・返送方法のご案内」「重要・プライバシーポリシー」。そして陰性証明書発行者向けの案内となっている。
<PCR検査編2>早速唾液を採取開始
セットがすべて揃っていることを確認し、唾液の採取作業へ。と、そのまえに、採取前に気を付けないといけないことが1つ。採取前30分程度は飲食や歯磨き、うがい薬の使用がNGとのこと。そして採取前は軽く口を水でゆすぎ、清潔な場所での手洗いも忘れずに行なおう。
準備ができたら「唾液保存容器セット(唾液保存容器&漏斗)」をケースから取り出し、輸送液をこぼさないように注意し容器に漏斗を取り付け。採取前に軽く喉元をマッサージしておくとよい。
途中で梅干し画像を見つめるなどして唾液の分泌を促進。5分ほどかけて採取。2.5mL以上と規定の量があることを確認後、しっかりフタをねじ込みながら閉めて梱包作業へと移った。なお、立てたままで10分ほど放置すれば容器内の泡がなくなり落ち着くと書類にあった。続いて、バーコードシールを添付。ザラザラの面を内側にして吸水シートで包み、緩衝材も巻いてシールで留めよう。
梱包作業が完了後、透明の密封袋に入れればオーケー。そのまま返送用BOXを組み立てAエリア(関東など)の返送用宛名シールをペタリ。封止めテープで封をし、別途購入した220円分の切手を貼って自分の住所と名前を記入。そのまま普通郵便扱いでポストへ投函して全作業が終了となる。なお、速達希望の場合は郵便局の窓口への直接持ち込み、または510円分の切手を貼り赤字で速達の文字と赤線をBOXの表面左に入れ返送を。
実際にやってみた感想としては、思ったよりもサクサクと進むという印象。シンプルな手順で間違えにくいと感じた。ポイントとしては、唾液の採取をスタートしたら、最後まで脇目も振らずに一気にやり終えることが大事。容器自体の安定感はあまりないため、口内の調子を整えようと一瞬置いたりすると倒れる可能性も。また、2.5mLから3mLの間に唾液の量の調整も必要なので、逐次メモリを見ながらの採取がお勧め。
さらに、採取前30分間程度は食事やうがいなどがNG、直前に口をすすぐなどの用意もあるので、時間に少し余裕を持たせておいた方がよい。
<PCR検査編3>PCR検査の結果は陰性。受領から結果報告までのスピード感に驚く
ポスト投函の翌日午前中にクリニックからメールで「PCR検査検体受領のお知らせ」が到着。24時間以内に結果をお知らせとのことだったが、同日午後には「PCR検査結果のお知らせ」メールも。地域や検査数にもよると思うが、検体到着から約4時間ほどで結果報告が完了し、その早さに驚いた。
メールの文面に結果は記載されておらず、添付PDFのチェックが必要。PDFを開くと「陰性」の文字。採取した唾液の返送到着が出発2日前と比較的直前でも可能なのは、このスピード感ゆえと納得できた。
<空港チェックイン編>タッチレスセンサー搭載のチェックイン機と自動手荷物預け機を体験
事前のPCR検査体験に続き、3月22日に実施した搭乗取材では、同日運用をスタートしたタッチレスセンサー搭載の自動チェックイン機、自動手荷物預け機を体験できた。同社はすでに自動チェックイン機でトライアルを2020年8月24日から9月15日の間に実施しており、今回正式導入となった。
タッチレスセンサー搭載の自動チェックイン機には日本エアロスペースのセンサーを搭載。画面への直接接触なしで2.5cm程度離れた空中で指を動かせば、センサーから出る赤外線が感知して操作できる。取材時点では4台での運用だが、3月中に羽田空港国内線の84台に設置予定。また、4月以降に新千歳(札幌)、伊丹、福岡、那覇(沖縄)空港に順次展開する。
担当の空港企画部旅客・制度企画グループのカムチャイパイ クンラウィッチ氏は「タッチレス化によりお客さまが主に触れるであろう画面は網羅できると考えています。アルコール消毒に抗ウイルス・抗菌コーティング、今回のタッチレス化で二重・三重で安心と安全をお届けできます」とメリットを説明。
2.5cmというタッチレスの画面距離については、「お客さまの指の動きのクセ、ネイルの有無などを考慮したうえで2cmから4cmまでの0.5cm間隔で検証し、一番操作しやすい距離となっています。なお、ニューノーマルのなかでタッチレスはさまざまな場所で身近になってきており、一気に本格展開することでより安心安全をお届けしていきたいです」と語ってくれた。
さらに、同日より自動手荷物預け機もタッチレスセンサーを導入。チェックイン機と同様のセンサーを採用し、こちらは4cmの距離からサクサクと入力が可能となっている。羽田空港内の38台に3月中に導入予定だ。
事前体験した「JAL国内線PCR検査サービス」については、商品・サービス企画本部 業務部業務グループの藤井智之氏が説明。「旅行に行かれる方も、受け入れる方も両方、そして旅行全体の安心を提供したいとサービスを開始しました。サービス提供から2週間で約4000名の利用がありました。ビジネスユースが多い印象ですが、春休みGWと続きますので今後観光目的の利用が多くなると想定しています。
今回のサービス提供については1~2か月前から検査サービスの提供の話が出まして、商品化の際は1~2週間で動いていました。価格に関しても受けてみようかなと考えていただける2000円の設定としました」とのこと。また検体が唾液なのは、入国の際も唾液を採取し検査を行なっているため、厚生労働省のガイドライン順守や日本国内で比較的スタンダードな検査法のため、と話してくれた。
<搭乗編>マスク着用のなか、ホスピタリティもしっかり
今回搭乗体験で利用したのは、羽田空港9時30分発~新千歳空港11時5分着のJL509便。機内に入るとカウンター付近で除菌シートを配布。CA(客室乗務員)はマスクと手袋を常に着用。マスクで表情は見えにくくなるがにこやかな対応をしており、ホスピタリティを感じる瞬間が多くあった。機内の空気は機外からの空気が取り入れられ、常に換気している状態のため約2~3分ほどで入れ替わる仕組みなので安心。
ドリンク提供はマスクとセフティーグラス、手袋を着用。通常どおりのペーパーカップでの提供に戻っており、12月に新しいフレーバーとして登場した「スカイタイム ももとぶどう」やスープなどを用意していた。なお、ブランケットと枕の貸し出しは引き続き中止。体温調整のために羽織りものの自主的な用意を推奨している。
食事を提供するファーストクラスの場合は、容器にフタを被せたまま、個別包装された状態での提供。ドリンクは使い捨てカップを使用している。
フライト中のラバトリー清掃も見学。ドアノブや蛇口付近など利用者の手が触れる部分から内部の飛沫が多く飛ぶエリアをはじめ全体を適宜清掃している。外から内側、上から下へとしっかりと全エリアを網羅しながらしっかり拭きあげる様子を確認できた。なお、ラバトリーには手指消毒スプレーを常備している。
到着時には感染拡大防止のための「降機方法のお願い」をモニターに表示。アナウンスとともに密を避けてスムーズに降りるための工夫もされていた。
新型コロナウイルス感染症の流行後、個人的に初の搭乗体験であったが、フライト前後ともに安心して過ごすことができた。また、対策をしている企業に対して利用者がどう応えていくかも大事であると感じた。
しっかりとPCR検査を受け自分とともに周囲にも安心と安全を届けることや、出発ロビー前では密を避けるために時間に余裕を保ちつつ、我先に整列しない、足元の表示を意識するなど。降機の際も案内までは席を立ち通路に出ずにアナウンスを待つなどちょっとした気配りと、双方の協力し合いで対策がさらに活きると感じた。