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青森県、第二みちのく有料道路の料金徴収期間10年延長で提言取りまとめへ

2021年2月15日 実施

第二みちのく有料道路は料金徴収期間を10年延長で提言を取りまとめる方針が示された

 青森県は3月3日、2月15日に行なわれた第二みちのく有料道路のあり方検討委員会の第3回会議の議事要旨などをWebサイトで公開した。同委員会は、「第二みちのく有料道路」の料金徴収期間満了後のあり方を検討するもの。

 第二みちのく有料道路は青森~八戸エリアを結ぶ高規格幹線道路の一部で、北は国土交通省が管理する上北自動車道(E4A)、南はNEXCO東日本(東日本高速道路)が管理する百石道路/八戸自動車道(E4A)に接続。八戸JCT(ジャンクション)経由で2021年内に3県にまたがる延長約359km全線が開通する三陸沿岸道路(E45)にもつながる。

 この第二みちのく有料道路は2022年3月29日で料金徴収期間が満了となるが、2002年の東北新幹線 盛岡~八戸間開業に伴って三沢空港の利用者が減少したことや、ガソリン価格の高騰、青森県の人口減少などで2003年以降利用者が減少。当初の計画交通量を大きく下まわる実績で推移している。

 そのため、料金徴収期間満了時点においても借入金、出資金合わせて40億円弱という多額の債務が残る。そのため、とり得る方策として「有料道路事業許可期間満了をもっての無料開放」「料金徴収期間を延長」の2つの方策が検討されていた。

交通量の推移
対応案

 無料開放の場合、10年間で約93億円の便益が見込まれる一方、第二みちのく有料道路を管理する青森県道路公社が残債務を返済することは制度上不可能で、青森県が出資金や損失補填分の返還を放棄し、かつ市中銀行などからの借入金約20億円の債務を負担すると、約68億円相当の道路事業実施が困難となり、県内で約104億円の経済効果と950人の雇用が損失すると推計。

 また、第二みちのく有料道路はNEXCO東日本、国土交通省が管理する高規格道路に挟まれることから、前後区間一帯となって高いサービス、管理水準を維持する必要があり、無料開放後に県管理へ移管した際、その費用の捻出も課題になるとされている。

財務分析。徴収期間を10年延長することで債務がゼロとなる見込み
無料開放時の交通量推計
無料開放時のサービス・管理の課題

 一方、前後区間の道路ネットワーク接続により近年は交通量が計画に近似しつつあることから、料金徴収期間を10年延長した場合、県からの出資金や損失補填分を県が放棄することで、市中銀行などからの借入金については最終年度の債務はゼロとなると見込んでいる。

 ただし、そのためには利用者の理解を得るための方策も必要となることから、料金所における渋滞解消を目的とした下田本線料金所へのETC整備や、70km/hへの最高速度引き上げ、事故防止のためのワイヤーロープ設置などを行なうことを検討している。

 2月15日に行なわれた第3回検討委員会では、各委員から料金徴収期間を延長する案への同意が示され、第4回検討委員会で青森県知事へ提出する提言原書の内容について検討、取りまとめを行なう方針となった。

料金徴収期間延長時のサービス向上策
下田本線料金所へのETC整備
最高速度引き上げ
ワイヤーロープの設置