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「飛行機が遠い存在になってしまわないだろうか」。ANAパイロットが動画コンテンツに込めた気持ち

2020年5月5日 コンテンツ公開

こどもの日に公開された#ANAグループのココロのつばさ to STAY HOME」に取り組むパイロットに、企画の動機などを聞いた

 ANA(全日本空輸)グループは、5月5日のこどもの日に合わせて、自宅で楽しめるコンテンツ「#ANAグループのココロのつばさ to STAY HOME」を公開。第1弾としてパイロットによる「青いつばさの世界(おうちで航空教室) 機体の外部点検編」が視聴できるようになっている(関連記事「ANA、『ANAグループのココロのつばさ to STAY HOME』公開。第1弾はパイロットの航空教室動画」)。このコンテンツを企画したパイロットに話を聞いた。

 このコンテンツは、ボーイング 777のパイロット機長の安藤氏、副操縦士の森氏、伊藤氏ら4名で取り組みを進めているという。「新型コロナウイルスの影響で旅行や帰省も制限され、展望デッキからも子供たちの姿が見えなくなりました。飛行機が遠い存在になってしまわないだろうか」との思いからスタート。「自宅で過ごす今だからこそ、自宅で見られる航空教室を届けたい。飛行機に興味を持ってほしい。コロナの渦中でも子供たちの夢や希望の一助になればとの想いで企画しました」と話す。

 そして、「自粛で不要不急の外出を控え過ごしている皆さまに届けたいですが、なかでも休校中で授業を受けられず、お友達にも会えずに、自宅にこもっている子供達に楽しんでもらえたら」との思いもあるという。「おうちで航空教室」というサブタイトルや、こどもの日の公開となったことからも、そのことは伝わってくる。

 第1弾として公開された「青いつばさの世界(おうちで航空教室) 機体の外部点検編」は飛行機の出発前にパイロットが行なう機体を外部点検作業を紹介しつつ、パックインレットやアウトフローバルブなど普段の航空教室でフォーカスされることが少ない機内の空気循環に関わる部位などにも言及。途中から雨が降り出すなど、リアルな雰囲気も感じられる内容だ。

「#ANAグループのココロのつばさ to STAY HOME」の第1弾コンテンツ「青いつばさの世界(おうちで航空教室) 機体の外部点検編」。クイズを織り交ぜるなどして紹介した

 制作するうえでは、「パイロットならではの視点を意識してパイロットの操作についても言及したり、例え話などで少しでもイメージしやすい表現がないかなど工夫しました」という。また、飛行機に詳しい人から子供まで幅広い層を想定した工夫も。「飛行機に詳しい方もご覧になると思ったので、おそらくあまりご存じではないであろうことを極力盛り込んだつもりです。一方、マニアックになりすぎて、少し難しく感じたお子さまもいらっしゃるかもしれません。第1弾では、クイズなどで楽しんでもらう工夫もしてみましたが評価が気になっています」と笑う。

 5月14日には第2弾として、パイロットのかばんの中を紹介する「フライトバック編」が公開された。「第3弾はまだ検討中ですが、(第1弾公開時に募集した)アンケートでいくつかご質問もいただいており、そのなかから、なにかご紹介できないかなど考えています」とさらなるコンテンツも検討されている。

 ちなみに「#ANAグループのココロのつばさ to STAY HOME」では、こどもの日にパイロットによる航空教室の第1弾が公開されたあと、ANAの航空教室「ANA Blue Academy ミライつく~る」を体験できる教材のコンテンツや、成田空港勤務者を中心としたグループ社員によるブラスバンド「ANA NARITA Sky Band☆」が遠隔でセッションした動画などが追加されており、パイロットだけではなくさまざまなスタッフがコンテンツを提供していく予定となっている。

 一方、パイロットの本業としては、「国内線、国際線のほとんどが減便になっていて、乗務機会が限られています。そういった状況のなかでも、私たちパイロットはシミュレーターなどで技能維持や資格維持をしています」とのことで、「事態が収まったあと、皆さまをお乗せする準備をしてお待ちしておりますのでご安心ください」と、再び多くの旅客を乗せて飛ぶ日に向けて準備している。

撮影風景
第2弾コンテンツではパイロットのフライトバッグの中身を紹介。「#ANAグループのココロのつばさ to STAY HOME」はANAグループWebサイトのコーポレートページで公開されている