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東京オリンピック聖火が日本に到着。ブルーインパルスが到着式上空を5色スモークで彩り。3月26日から聖火リレースタート
2020年3月20日 20:23
- 2020年3月20日 開催
東京2020組織委員会(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)は3月20日、航空自衛隊 松島基地(宮城県)において、オリンピック聖火の到着式を開催した。
オリンピック聖火は3月19日(現地時間)、ギリシャ・アテネのパナシナイコスタジアムで聖火引き継ぎ式が行なわれ、ギリシャオリンピック委員会から東京2020組織委員会へと引き継がれた。
東京2020組織委員会へと引き継がれた聖火は、3月18日に羽田空港を出発したANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)が共同で運航する聖火特別輸送機「TOKYO 2020号」によって日本へと空輸。出発便のJL1964便に対して、日本到着便はJL2020便として運航された。
この日の松島基地周辺は朝から強風が吹き、到着時刻にはさらに強くなると予想されたことから、予定よりも1時間ほど早い、3月20日の9時36分に航空自衛隊 松島基地に到着。強風のなかの着陸であることを感じないスムーズな着陸を見せ、聖火を日本へと送り届けた。
ギリシャ渡航中止の吉田沙保里さん「どこかで走る機会があればよいな」
その後、11時20分から東京2020オリンピック聖火到着式を開催。3月26日から始まる聖火リレーの最初のセレモニーに位置付けられているもので、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、当初予定されていた宮城県東松島市/石巻市/女川町の子供たちの参加が見送られ、関係者のみでの実施となった。
また、柔道・オリンピック金メダリストで東京2020聖火リレー公式アンバサダーの野村忠宏さんやレスリング・オリンピック金メダリストも吉田沙保里さん、東京2020組織委員会の関係者についてもギリシャでの引継式には参加せず、日本で聖火の到着を待つこととなった。
到着式ではまず、東京2020聖火リレー公式アンバサダーのサンドウィッチマンの伊達みきおさんと富澤たけしさん、石原さとみさん、射撃・パラリンピック元代表の田口亜希さんが登壇。
聖火が到着した気持ちを問われたサンドウィッチマンの伊達さんは「ドキドキです。もう着いてるんですよね? (風が強く早着となったことの紹介があり)風も歓迎してるということですよ」とコメント。富澤さんは「(アテネで行なわれた引継式へのメッセージで)森会長が宮城のことを宮崎と間違えたんでちょっと心配してたんですけど、無事に着いてよかったです」と話し、すかさず伊達さんが「ぶりかえすな!」とツッコミを入れて笑いを誘った。
石原さんはアンバサダーとしての取り組みのなかで印象に残っていることを聞かれ、さまざまな聖火ランナーにインタビューするなかで、それぞれの人が思いを持って取り組んでいたことを紹介し、「聖火リレーは私たち一人一人が主役なんだと、だからどんな状況になっても走るその日まで、自分がどんな自分になって、どんな風に取り組んでいくかで今後の人生が決まってくるのだと個人的に思いました。私自身も走るその日まで、後悔がないよう取り組みたいです」と語った。
田口さんも同様にアンバサダーとしての活動を聞かれ、「アンバサダーになって約1年前ぐらいからこの日をワクワクして待っていましたし、やっとギリシャから火が届きまして、今度は皆さんの思いをつないでいけること、それぞれをうれしく思います」とコメントした。
このあとは、いよいよ聖火の到着。東京2020聖火リレー公式アンバサダーで柔道・オリンピック金メダリストの野村忠宏さんとレスリング・オリンピック金メダリストの吉田沙保里さん、東京2020組織委員会 会長の森喜朗氏、JOC(日本オリンピック協会)会長の山下泰裕氏が登場し、TOKYO 2020号へと歩みを進めた。
そして、野村忠宏さん、吉田沙保里さんがタラップを上がり、アテネから運ばれた聖火の入ったランタンを受け取り、タラップ下で待つ東京2020組織委員会 会長の森喜朗氏へ。その後、森会長が聖火をステージ上へ運び、再び野村忠宏さん、吉田沙保里さんに聖火を手渡した。
あいさつに立った森喜朗氏は、「本来は地元の東松島市、石巻市、女川町の皆さまに盛大に、特に子供たちに盛大にお迎えいただく予定だった。しかし、お子さまたちの安全を第一に考え縮小とさせていただいた。聖火を心待ちにしてくださっていた皆さま、特にお子さまたちの気持ちを考えると、組織委員会としても苦渋の判断だった。ご理解いただくようお願い申し上げる。私も子供さんたちと一緒に『花が咲く』を歌うことを心から願っていた」との思いをコメント。
さらに、自身もギリシャへ向かう予定だったことにも触れ、「実は、私も山下JOC会長も、この飛行機で現地に向かう予定だったが断念した。しかし、ご覧のとおり、この飛行機で無事に、しかもこの風で非常に難しいのではないかと危ぶまれたりもしたが、少し早めて空港に到着することができた」と、松島基地、ANA、JALなど携わった関係者、関係機関に感謝した。
そして、森氏は「いよいよ聖火リレーに向かいます」と力強く述べ、「到着式のあとには復興の火として、宮城県、岩手県、福島県をめぐることで、復興に力を尽くされている被災地の方への励ましとなるように元気や力を届けていく。3月26日からはオリンピックの聖火リレーが全国をまわる。日本中の多くの皆さまの思いを集めて、7月24日に聖火が国立競技場に到着する。56年ぶりに聖火が東京に向かう東京2020聖火リレーが多くの人々にとって、希望の道を照らし出すことを望んでいる」と紹介。
最後に「東京2020オリンピック大会の開催に向けて、IOC、国、東京都と緊密に連携し、またWHOの助言を踏まえて安全安心な大会の準備に全力で取り組んでいく」と述べてあいさつを締めた。
続いて、聖火皿への点火を前に、野村忠宏さん、吉田沙保里さんがコメント。
野村忠宏さんは、「本来であれば吉田さんと一緒にギリシャで引き継ぎ式をやる予定だったんですが、行けなかった残念な気持ちはあります。でも今日、このような形で聖火の種火が入ったランタンを受け取ることができて本当にうれしく思いますし、誇りに思います」との気持ちを述べた。
吉田沙保里さんは、本来はギリシャ国内で聖火ランナーを務める予定だったことを踏まえ、「(聖火リレーが)いよいよ始まりますね。いまこういう状況で大変な時期だが、この聖火リレーで皆さんに元気や希望を届けられるようになればよいなと思います。そしては私たちは幻の聖火ランナーになっているので、どこかで走る機会があればよいなと思っています」と話した。
そして、聖火リレー用のトーチにランタンから火を灯し、司会者の合図で、野村さんと吉田さんがステージ上の聖火皿へ点火。
同時に上空ではブルーインパルスによる、カラースモークを使った五輪を描くディスプレイフライトが行なわれた。この五輪はスモークが風に流され、惜しくもきれいな五輪とはならなかったが、さらに到着式直上をカラースモークで5色のラインを描きながらフライパス。聖火の到着を祝福するフライトに、列席者から歓声が上がった。
聖火は到着式のあと、聖火リレーが始まる3月26日まで「復興の火」として、宮城県、岩手県、福島県で各2日間ずつ展示。その展示に向けて、3月20日の展示場所である石巻市の「石巻南浜津波復興祈念公園」へ聖火を運ぶ役割をサンドウィッチマンの2人が担った。
出発に先立ってコメントを求められ、伊達さんは「幼きころ石巻で育ったので、石巻に聖火を持って行けることで誇りを感じております。大切に持って行きます。途中で消さないように気を付けたいと思います」と冗談を交えながらコメントすると、富澤さんは「この火でタバコを」と言いかけ、伊達さんが「させません。僕が阻止します」とツッコミを入れ、会場を爆笑の渦に。
その後、復興の火へ向かう特別車両に乗り込んで列席者に見送られながら出発し、到着式もお開きとなった。