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阪神高速、3月29日に全線開通する6号大和川線を報道公開。関西初採用のすべり台式非常口など長大トンネル内部を紹介
2020年3月18日 19:54
- 2020年3月17日 公開
- 2020年3月29日 16時開通
阪神高速道路は、6号大和川線のうち、未成区間だった7.7kmを3月29日16時に開通する。これにより、松原市域と堺市域で既存の阪神高速道路と接続し、大阪都心部における新たな環状道路「大阪都市再生環状道路」の一部が形成される。開業に先立つ3月17日には、新規開通区間の防災対策や緊急時の避難方法などを報道陣に公開した。
阪神高速 6号大和川線は、松原市と堺市を東西に結ぶ路線。延長約9.7kmのうち、三宝JCT(ジャンクション)~鉄砲出入口の約1.4kmと三宅西出入口~三宅JCTの約0.6kmはすでに開通しており、今回の開通は鉄砲出入口~14号松原線三宅出入口までの約7.7kmである。
出入口は、鉄砲(国道26号と接続)、常磐(府道28号大阪高石線)、天美(府道26号大阪狭山線)に新設する。
この大和川線が完成すると、4号湾岸線と14号松原線がほぼ直線で接続され、堺浜から松原JCT(ジャンクション)間の所要時間は現在の約45分から約16分と、30分程度縮まることになる。また、大阪都心部を迂回するルートの完成で、都心部の交通渋滞の緩和も期待できる。
【お詫びと訂正】初出時、距離や道路名などに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
換気所
長大トンネルには、換気のための設備は不可欠。6号大和川線には5か所に換気施設がある。そのうち「遠里小野換気所」を取材した。
トンネル内の空気には、自動車から排出されるガスや粉塵などが含まれており、視界の悪化などを招くおそれもある。そこで排風機を使用してトンネル内の空気を強制的に排出するのが換気所の役割だ。
ファンによってトンネル内の空気は換気所に流れ、集塵機によって粉塵を取り除き、消音装置によってファンの運転音を大幅に下げたうえで、換気所から上空に吹き上げられる仕組みである。
トンネルの構造
6号大和川線の大半の区間が地下トンネルで、断面が四角形の開削トンネルと、円形のシールドトンネルの2種類のトンネルでできている。
「開削トンネル」は地上から地盤を掘り下げ、そのなかに鉄筋コンクリートでトンネルを作り、最後に開削部に土をかぶせて埋め戻す工法で、地表付近の浅いトンネルや、トンネルの幅が変わる出入口付近の工事に向いている。
また、「シールドトンネル」は円筒状のシールドマシンと呼ばれる機械で地盤を直接堀り進め、同時に鉄筋コンクリートのセグメントと呼ばれるものを組み合わせて真円のトンネルを作る工法。こちらは地下深いところや、地上への振動などの影響を抑えたい場合に向いている。
真円の断面となるため道路の下に空間が生まれ、避難通路なども設置しやすい。大和川線では全体の約4割がこのシールドトンネルとなっている。また、トンネル内3か所の地盤の弱い部分などに、大規模地震の発生時に適切に破壊されることで全体の崩壊を防ぐ「損傷制御型鋼製セグメント」を採用している。
なお、大和川線の常磐出口(東行き)には「矩形シールドトンネル」が採用されている。地下空間に余裕がない場合に有効な工法で、四角に掘り進められる矩形シールドマシンを使用する。この工法でつくられた道路トンネルはこの大和川線の常磐出口のみ。
防災設備と避難方法
トンネル内には50mごとに消火器と消火栓を設置している。また非常電話は100mごと。初期消火にはこれらの設備が使用できる。また、水噴霧装置(スプリンクラー)は5mごとに設置してあり、火災時にはトンネル内にまんべんなく放水が可能。これによって火勢を抑制する。
火災などの非常時には、トンネル内の電光掲示板や放送により避難指示が出る。その指示に従ってクルマを左側に寄せて停め、サイドブレーキをかけ、エンジンを切り、キーは付けたまま、徒歩で非常口に向かう。
非常口からの避難方法は、開削トンネルとシールドトンネルにより異なる。地表に近い開削トンネルは、非常口から地表に上る階段があるので、そのまま登って避難する。
シールドトンネルの場合は、道路の真下に避難通路があり、すべり台を使用して降りる。避難通路を進むと非常階段があり、そこから地上へ避難する。いったん火災現場より地下深いところに降りることに心理的な抵抗感があるかもしれないが、避難通路は道路よりも気圧が高く保たれており、煙が進入してくることはない。緊急時には落ち着きが大切なので、慌てず行動したい。