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ANA、第11回「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」グランプリは北京空港のWENWAN QI氏に
世界94空港・8000名からファイナリスト14名が接客スキルを競う
2018年12月3日 20:12
- 2018年11月28日 実施
ANA(全日本空輸)は11月28日、第11回「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」を開催した。「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」は、グランドスタッフの日々の接遇スキルを競い合い、見て学び持ち帰り共有し、自身の接遇レベルの向上につなげ、国内外94空港で旅客ハンドリングに携わるスタッフが一堂に会すことで「Team ANA」としての一体感を深めることを目的にしたコンテストだ。
2018年は全世界約8000名のスタッフから予選で109名のファイナリストを選出。そしてファイナリストのなかでも特に卓越した人材14名が本選に出場し、その技術とスキル、ANAならではの空港ロビーでのおもてなしを披露した。
ANAzingなサービスで感動と満足を学んで持ち帰り、自空港で共有を
コンテストではANA 上席執行役員 空港センター長 服部茂氏が開会宣言。「今回意識してほしいことは“学んで持ち帰る”です。このコンテストで多くを学び、各空港にその学びという宝物を持ち帰り、共有し広めてください。
我々は経営ビジョンとして世界のリーディングエアライングループとなることを掲げています。そして2020年のオリンピック・パラリンピックに向け、世界で一流の航空会社になるというビジョンを掲げ中期経営戦略を進めています。そのなかでもう一度お客さまに提供しているサービスとオペレーションの品質を総点検し2020年に向け準備を進めていこうとしています。
コンテストで、ロビー、ゲートともにどのような手順、ご案内でお客さまが一番喜んでいただけるか、各業務のおけるあるべき姿を学んでください。グローバル、ユニバーサル、心のこもった素晴らしいサービスをどんな場面でも提供できるエアラインになりましょう」と語りかけた。
本選のスタート前には空港ロビーにおける役割を会場にいる全員で共有。2018年度のテーマを「ANAzing Airport Service ~お客さま満足と感動を世界へ~」(ANAzing:ANAとAmazingを組み合わせた造語)とし、世界が驚く・感動するANAブランドを体現し、お客さま視点を強化する観点を強調していることを話した。
出発ロビーでは現在通常の業務とともにオンライン化を進めており、必ずしも利用者全員がカウンターを訪れるわけではない。そのためANAの目指す姿においてロビー対応は、快適に過ごすためにはとても重要な意味を担っていると説明。ロビーサービスとは以下のような意味を持つとした。
1. ANAのブランドイメージを体現
お客さまをお迎えするANAの玄関窓口。表情から感じ取ったイメージがANAのブランドイメージとなる。そのため声をかけやすい待機姿勢、笑顔や自然な気配りが重要。
2. お客さまの要望への対応
ニーズとは問い合わせだけではなく、声に出さない要望も含む。表情から必要な案内や潜在的な気持ちを察し、自ら歩み寄り声がけをする。
3. 快適にお過ごしいただけるロビー作り
視認性が高く分かりやすいサイネージや、清潔で整頓を徹底しストレスやお待たせ感をださないロビー作りを心がける。
今回のコンテストでは、その出発ロビー業務を再現しそれぞれの技術・知識とスキルを披露する。ロビーに訪れる6組対応を約8分間行なう。ニーズに沿った対応、サービスについての問い合わせ対応、希望に添えない場合やイレギュラーな対応などを出題。お客さまがいかに満足したかに重点を置き、驚きや感動を基準に審査する。
ファイナリストがステージに揃ったところで、2017年度審査員特別賞受賞者・清宮ゆきの氏が激励のエール。「皆さんは8000名のなかからファイナリストとして選ばれました。自分に自信を持って本番に挑んでください。BIG SMILEとANAzingな接遇を発揮してください」と話した。その後は全員で緊張をほぐすために「ANAzing!!」と声を出し、いよいよコンテストがスタートした。
国内線は7名が出場。緊張しつつも日頃の対応力を発揮
トップバッターは羽田空港 土産田麗華氏。初めてQRコードで搭乗をする夫婦の年配客がロビー付近で迷っていると、スッと歩み寄り疑問点をすくいあげ解決。基本情報でもある1名につき1コードを分かりやすく説明し、また預け入れ荷物についても最新型の自動預け入れ機のサポートを提案。
続いては搭乗券に記載された「Group3」の文字が気になる利用者。相手への「お気づきいただきありがとうございます」の言葉とともに10月からスタートしたグループ番号順の搭乗を説明し、事前改札、Group1、Group2そしてGroup3と声をかけることを解説した。
2番目は神戸空港 大林美波氏。息子からスマホに送られてきたQRコードを1つ提示し「2名で乗れますか?」との質問に、まずは利用者の名前をチェック。そして1名につき1コードと話し、予約が一緒ならば確認番号が分かるため、もう一人の分も搭乗券をすぐに発行できると安心できる言葉を投げかけた。
続いては、バス停で荷物を取り間違えた男性。出発が30分後だと焦る利用者に15分以内にバス停に行き、荷物を確認後、保安検査場へ向かえば大丈夫と最善の選択をアドバイス。もしも、間に合わない場合でも別の便への振替検討も可能と提案した。
3番目は新千歳空港 西林絹紗氏。「なんとかチェックインを試してみたい!」とQRコードでのチェックインを希望する夫婦にはバーコードが1人ずつ必要なことなどを丁寧に説明。間近の年末にマイルを利用して旅行をしたいと問い合わせをする女性には、公式Webサイトから予約し、決済の際にマイルを選択してくださいと解説。さらにカウンターでも空席状況が見られますと提案し、今すぐにでもチェックしたいユーザーのニーズに対応。
また、機内に基準を超えた荷物を持ち込みたいという利用者に対しては、一緒に荷物を計測し、満席であることと、機内のスペースには限りがあることなどを説明し、納得してもらう場面もあった。
4番目は青森空港 松山志保美氏。青森からやってきた応援団のラッセーラーラッセーラーの応援に笑顔になってスタート。バスで荷物を取り間違えて、頭を抱える利用者には、保安検査場に15分前までに到着すればOKであること。そして荷物を取り違えたバス停まで一緒に行くかどうかも提案していた。
また、機内持ち込み荷物の大きさを手持ちのメジャーで手早く測定し、5cm大きいことを提示。そしてプロペラ機材のためサイズが100cm以下であることを話し利用者に納得してもらう流れがとてもスマートだった。
5番目は長崎空港 濱﨑麻帆氏。荷物を取り違えた男性に対しては、1時間後に出発の便に振り替えの可能性もアドバイス。「荷物がすぐに必要でなければ、搭乗していただき空港に届き次第お渡しする形はいかがでしょう?」とも。
その後はたくさんのお土産が入った段ボールを崩してしまった利用者をすかさずサポート。「チェックインを今すぐしたい」という希望に対しては、自動荷物預け入れ機を案内していた。
6番目は羽田空港 榎木田恵里奈氏。迷っている雰囲気の夫婦には「何かお手伝いできることはありますか?」と率先して声掛け。「ご安心ください」や「大丈夫です」という言葉を多く使い、利用者の安心感を引き出す姿が光っていた。
欠航で楽しみにしていたライブに行けるか不安な利用客に対しては、次の便で天候調査が入っていることや、余裕を持ってライブ会場に向かえること、さらにライブを行なうアーティストの名前を教えてもらうなど心を掴む会話も印象的だった。さらに到着先で急いでいるため荷物を持ち込みたくない利用者へも大切にお預かりし、いちばん早く出てくるようタグをつけますとすべての利用者のニーズに応える対応となっていた。
国内線の7番目、ラストは福岡空港 中村梢氏。荷物を取り間違えたビジネスパーソンには「お呼び出しをします」とアナウンスを提案。そして「まだ30分ありますので!」と時間に少し余裕があると話し安心させていた。また、本選出場者のなかで唯一利用者の荷物が倒れる前にサッとサポートするモニター力の素晴らしさも披露した。
出発ロビー部門(国内線担当)の7名が実技を披露し、社内審査員のANA 執行役員/ANAテレマート 代表取締役社長 梶田恵美子氏が講評。「国内線7名の共通点はANAに出会う最初の顔として、ANAブランドを印象付けようと努力をしていると思いました。第一印象は15秒で決まるといいますが、高いスキル・知識を発揮しながら表情・姿勢・態度など全方向から見られていることを常に意識していると感じます。
全身全霊で10秒で走る短距離選手、あるときは400mのリレーでバトンを受け取り、次につなぐランナーのように。そしていろいろな場面で司令塔的な役割もしていると思います。今日は、一番はじめのシーンで不安を取り除くことでお客さまが快適に過ごせる時間が多くなり、満足度が高くなると改めて実感しました。私たちの仕事にも活かすため、持って帰りたいと思います」と話した。
国際線は多言語を操り、BIG SMILEで。新機体や就航先に対する問い合わせに対応
後半は出発ロビー部門(国際線)。トップバッターは成田国際空港 久保多佳子氏。時間ギリギリに訪れたロザンゼルス行き利用のお客さまには、現在の状況を把握しすでに座席指定やQRコードが手元にあると分かるとすぐさま手荷物を確認し保安検査場へとご案内。
続いて家族旅行を2019年に予定していると話す女性が「FLYING HONU」について質問すると、来年5月から順次3機運航することやファミリー向けに「ANA COUCHii」と呼ばれるカウチシートが利用できるなど快適さをアピール。
続いては厦門高崎国際空港 XIE XIAOHONG氏。「FLYING HONU」について質問する女性には、ファミリーで楽しめる要素があり、就航する東京からぜひ乗ってくださいと、気持ちをワクワクさせる言葉を多く使っていた。
そして成田に行きたいと話す荷物多めの利用者には、持ち込み荷物の個数制限などを解説。フライトが遅れ嘆く利用者に対しては的確なご案内後にドリンクを飲んで落ち着いてとの心配りも忘れなかった。
3番目はパリのシャルル・ド・ゴール空港 NGUYEN THUYHUONG氏。時間ギリギリでかなり焦り早口になっているビジネスパーソンへもテンポのよい言葉選び&現状のスムーズな把握で時間をとらせない姿は圧巻。
荷物が多すぎる利用者に対しては、重要や個数制限について。そしてプラスして運ぶためには追加料金がかかるとも説明。時間を有効に使いながら的確な業務を行なっていた。
4番目は羽田空港 中嶋勇輝氏。とにかく表情が豊かで相手に寄り添う言葉と心にグッと入ってくる対応が印象的。ウィーン直行便への就航を心待ちにしていると話すお見送りの人に対しては、どこに行きたいかを聞き出し、プラハと分かるとANAで新規就航記念プランがあることを告知。羽田から深夜1時55分出発でウィーンに6時到着で仕事終わりに行け、朝から充実した滞在ができると大盛り上がりに。
プラチナ会員の利用者が荷物を絶対に持ち込みたいと言い張るも、タグ付けや座席の変更などを案内し、気持ちよく搭乗できる流れを作るスキルは流石の一言だった。
5番目はデュッセルドルフ空港 RIECK ANNE氏。モニター力と現状把握力がピカイチで、利用者の状態を即理解しご案内につなげスムーズに対応している姿が目立っていた。特に空港にギリギリ到着し焦るビジネスパーソンへも、預け入れ荷物がないと分かると即対応を変え、次のご案内へ。荷物を取り違えパニックを起こすビジネスパーソンにも柔らかな口調で落ち着かせ、インフォメーションデスクへの電話や、どのバス停で降りたかなどの必要な情報を素早く聞き出していた。
6番目は福岡空港 長柄舞氏。40分後のフライトで到着が遅れたと話すビジネスパーソンに対し、パスポートのチェック後にスマホでのQRコードなどを確認し、保安検査場や搭乗ゲートの場所をスムーズにご案内。
福岡からシンガポール航空のボーイング 787-10型機の就航が12月よりスタートすることを質問されると「ありがとうございます!」と即座に感謝の言葉も飛び出す。また、カバンを間違えかなり落ち込む利用者にも「間違えやすいですよね」と寄り添う言葉をかけるなど、会話をじっくり聞きつつ、相手を思う言葉選びが素晴らしかった。
国際線ラストは北京首都国際空港 WENWAN QI氏。搭乗時間ギリギリながらチェックインデスクを探している利用者に対しては、手荷物のみで席も決まっていると知るとスマホをチェックしQRコードを確認後、即、次のご案内へ。ハワイ就航の「FLYING HONU」について質問されるとエアバス A380型機で成田からホノルルへ飛ぶこと。カウチシートがありお子さまも横なってゆっくりくつろげることもプラスしていた。そして北京からの場合NH956便が飛んでいるので乗り換えもスムーズであることも。
荷物を取り間違えた利用者には空港のLOST&FOUNDへの届出がすでに出ている可能性と連絡をしたい旨、そしてバス停まで一緒に行くことなども話し、常に利用者の要望を一歩先に取りに行く姿勢が輝いていた。
出発ロビー部門(国際線担当)7名の実技が終了しANA 上席執行役員 空港センター長の服部茂氏が講評。「3つのシーンでの実技を披露してもらいました、臨機応変に一人一人の経験や知識に基づき対応してもらえうれしく思っています。ANAはとにかくお客さまの心に寄り添い、優しさあふれるサービスを行なえることが一番の強み。そのDNAをしっかりと受け継いだ姿を見ることができました」とコメント。
会場には各空港から応援団も多数訪れており、本選に出場する仲間へのエールと大舞台での緊張をほぐそうと味わい深い応援も繰り広げ、見ものとなっていた。お揃いの法被姿やTシャツ姿で息のあった掛け声は日頃のチームワークのよさを物語っていた。
サービスの問題点を解決するハンドリングマスターがゲートのあるべき姿を伝授
国内線35空港、国際線21空港がエントリーしたゲート部門では、2017年より活動を開始したハンドリングマスターが18名ステージに。活動目的であるAirport Guidelineの浸透や、国内線品質サポートについてを紹介・報告を行なった。サーベイ・空港視察により現状業務の問題点を把握し解決策の提案事例としてカウンター内に全員いるのではなく、外に出てウェルカム感を出すなど、新しい試みやグッドハンドリングを広めていると話した。
施策の浸透を目指すなかで、2018年度は安全性・定時性・快適性が求められるゲートを重点活動項目に。10月1日より国内線でスタートしたグループごとの搭乗、現在国際線で実施中の常時優先搭乗を例に、ご案内や導線確保、アナウンスやボードでの周知の強化に触れた。
「高いプロ意識のもと、お客さまへのおもてなしの心が表現されており統一されたサービスが提供されている状態」をあるべき姿とし、乖離している空港でのハンドリングのバラつき、業務が多くお客さまが見えていない現状、改札機エラーの頻発などの問題点を挙げた。その後、解決策として手順の正しい理解と確実な情報収集、ゲートへの業務集中緩和、ボーディンググループを活用したスムーズな搭乗などを提案。
また国内線35空港、国際線21空港がエントリーしたゲート部門にて選ばれた7空港を紹介。ゲート部門は、空港センターで提出された各空港での取り組みが書かれたエントリーシートの内容やCE/CSI調査の結果から優れた空港を選出している。実際に関西国際空港のゲートハンドリング映像を会場全員で確認。模範的な例として導線の作り方やロビーサービスが積極的に動くことでスムーズな搭乗の流れを生み出している姿を目の当たりにした。
グランプリは北京空港のWENWAN QI氏に。涙を流しながら「大きな自信に」と
4時間半ほどかけて行なわれた第11回「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」。審査基準は冒頭でも記したが“お客さま視点”と“驚きと感動”。「話しかけやすい、聞きやすい雰囲気で接しているか」や「正確な対応」か、そして「お客さまの希望を察し提案や行動をしているか」をはじめさまざまな要素を含んでの審査となる。
まずは、団体での参加、そしてエントリーシートとゲートハンドリング映像で行なわれたゲート部分の表彰から。国内線では関西国際空港。国際線はバンクーバー国際空港が最優秀賞の受賞となった。
続いては、出発ロビー部門の発表。羽田空港 中嶋勇輝氏が審査員特別賞に輝いた。中嶋氏はコンテスト終了後のインタビューで「受賞したときに、羽田空港の応援も加わりさらに賞の重みと意味を感じました。今日はとにかく楽しむことだけを考えて実技に挑みましたが、結果的に自分自身もお客さまとともに時間を楽しめたのではないかと手応えもありました。
人生のなかでの人との出会いは数に限りがありますが、普段の業務では通常業務以外でもお客さまとお勧めエリアなどいろいろなお話ができ自分自身の人生の幅が広がり、豊かになっていると感じています。
今回の出場は自分自身の普段の業務・接客ではできない、自分の姿を見つめるよいきっかけになりました。表情豊かだけれど、落ち着いてスマートに対応することも大事だと先輩や仲間にアドバイスをもらうこともできました。コンテストは終わりましたが、今後も自身の仕事を見つめる機会を定期的に設けて日々の業務の改善をしていきたいと思います」と話してくれた。
続いては準グランプリ2名を選出。1人目はデュッセルドルフ空港 RIECK ANNE氏。RIECK ANNE氏はインタビューで「トロフィーを手にした今も信じられません。ファイナルで選ばれ本選に出場することだけでも驚きですが、まさかアワードもいただけるとは。今回出場できたことでともに働く仲間たちからの信頼を感じとてもうれしく思いました。
日々の業務では、1日1人でも多くのお客さまの笑顔を自分自身の言葉遣いや対応で生み出せるようにと意識しています。今回本選に出たことで、苦手なことも楽しめば問題ないと気付くことができましたので、今後も業務にて活かすことができると思います」とコメントしてくれた。
そして準グランプリ2人目は羽田空港 榎木田恵里奈氏が受賞。榎木田さんは閉会後のインタビューで「知識やスキル面はまだまだな部分がありますが、心で接客する部分は誰にも負けない気持ちで6年間勤務してきましたが、今回賞をいただけたことはとても自信につながりました。
業務ではお礼の気持ちなど直接お客さまに伝えることができる部分が、どのようなシーンでも喜びにつながっています。空港での出会いは一期一会ながら、また次に会えるかもしれないチャンスもあります。そのような場所が空港であり、自分が好きな部分です。
今回出場し改めて感じたことは、お声がけするときの言葉の重要さです。一言でお客さまを安心させることもできますし、不安にしてしまうことも。こうすれば安心を生み出すことができる、そして不安を煽ることになってしまうと一言一言の重みを実感する時間であり、本選であったと思います」と語ってくれた。
そして、グランプリの発表へ。北京空港 WENWAN QI氏の名前が呼ばれると同時に、ファイナリストたち全員から祝福を受けハグする場面も。涙をこぼしながらもしっかりとした口調で「日々の業務で先輩や仲間にいろいろなアドバイスをもらい、ここに立つことができました。チームワークの重要さとありがたさを実感しています。ここで学んだことを北京空港に持ち帰り共有いたします。
熱意を持っておもてなしを提供していますが、日本人ではない私がお客さまにどのように映っているのか、私の対応をどう感じていらっしゃるのかがとても知りたいと思っていました。この賞をいただき、認められたことでこれから大きな自信につながります」とスピーチ。
また、コンテスト後のインタビューでは「まるで夢のようです。海外空港としてグランプリをいただけるとは思っていませんでしたので、賞をいただきとても光栄です。今年入社7年目となり、日々ANAに関係するニュースはチェックし、業務中にお客さまからの問い合わせに対応できるように準備しています。今日もA380型機への質問に答えられてよかったです。
本選では最初の急いでいるお客さまに対し一言搭乗口の係員にも伝えておきますのでご安心くださいと言えなかったことが心残りです。通常業務では安心につながる言葉は忘れないようにと改めで思いました。
一瞬を一生の思い出になるように熱意を込めたおもてなしができるのは私自身もうれしいですし、対応や言葉で笑顔になるお客さまを見られることもうれしいです。これからも北京空港で自信を持って頑張っていきたいと思います」とコメントしてくれた。
表彰式ではゲスト審査員のシンガポール航空 日本支社長 デイヴィッド・ラウ氏が講評。「世界中から集まったカスタマーサービスのベスト中のベストのメンバーのパフォーマンスを拝見でき非常に光栄に感じています。私としてはファイナリスト全員がグランプリです。
ANAスタッフであることは非常に難しいことだと感じています。それは常にトップレベルの業務を行ない、よい役者であり、チアリーダーでもあり、そして複数の言語を操り、さまざまな文化とやり取りするために常に自分自身への自信が必要となるからです。
DNAの話も先ほどでましたが、ANAには研修システムが整っており、素晴らしい技術や対応を次の世代へと伝え、今後のサービスにつなげることができます。働く皆さまとともに、素晴らしいスタッフに恵まれたANAの経営陣の皆さまにもおめでとうと言いたいです」とスピーチした。
続いては同じくゲスト審査員 スターバックスコーヒージャパン 中日本リージョン本部長 営業担当の梅内哲也氏がコメント。「私どももサービスカップは行なっておりますが、今日1日の本選出場者の緊張が伝わりながらも普段どおりの業務を披露する姿を見ることができ、とても感動しました。目の前のお客さまの気持ちを察し、瞬発力を持って提案と対応する難しさをひしひしと感じました。
少しでも皆さまのように、目の前のお客さまに自分ができるベストとは何かを店舗でも考えることのできる環境づくりをさらに推し進めなければと実感しました。ANAもスターバックスもサービスの根底部分は同じですし、プロフェッショナルな対応ができるよう経験値や豊富な知識、情熱で追い求めていくのも同じです。ぜひ2020年に向けて、オールジャパンでともに頑張りたく思っております」と語った。
コンテストのラストにはANA 代表取締役社長 平子裕志氏があいさつ。「毎年のようにレベルが上がっていく様子を見ており、とてもうれしく思っています。2018年度はJCSI(日本版顧客満足度指数)の国際航空部門で1位、国内長距離交通部門で3位となりました。これは偶然ではなく、普段からサービスを鍛錬してきた結果なのではないでしょうか。そして、技術だけでなく、真心、高いレベルでのスキルとおもてなしの伝承がコンテスト開催やハンドリンクマスターの活動によりできているのだと思います。
技術力やおもてなしの心などはコンテストのためのものではなく、ANAを利用されるお客さまにムラなくサービスできるようになるための、一つの手段だということを忘れないでほしいです。目的と手段を見きわめながら、今後のコンテストもさらによくなることを願っています」と話しコンテストを締めくくった。