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ANA、第10回「空港カスタマースキルコンテスト」グランプリは神戸空港の中村加奈子氏

国内/海外94空港8000名の頂点。「グランドスタッフ業務は相当に奥深いものだと再認識」と平子社長

2017年12月5日 開催

第10回「空港カスタマースキルコンテスト」の「旅客部門 ロビー審査」でグランプリに輝いた神戸空港 国内線の中村加奈子氏

 ANA(全日本空輸)は12月5日、大田区民プラザにおいて第10回「空港カスタマースキルコンテスト」を開催した。

 これは各空港で働くグランドスタッフを対象としたもので、日頃の接遇(顧客対応)スキルを競い合うことで磨き上げ、また出場者からスキルを学び、各自の職場へ持ち帰り共有することで、接遇レベルの向上を図っている。

 コンテストは「旅客部門 ロビー審査」「旅客部門 ゲート審査」「保安部門」からなる。「旅客部門 ゲート審査」は各空港で撮影したゲート業務の映像を審査、「保安部門」はすでに本選が行なわれており、上位3社が会場に招待されている。本稿ではチェックインカウンターなどで活躍するグランドスタッフの接遇スキルを舞台上で競った「旅客部門 ロビー審査」をメインにレポートする。

「旅客部門 ロビー審査」本選出場メンバー
「旅客部門 ロビー審査」本選出場メンバー(登場順)

・羽田空港 国内線 豊浦彩乃氏
・フランクフルト空港 国際線 Lenka Arai氏
・鹿児島空港 国内線 奥平理沙子氏
・マニラ空港 国際線 Santiago Rozziel氏
・神戸空港 国内線 中村加奈子氏
・岡山空港 国内線 池川知里氏
・成田空港 国際線 清宮(せいみや)ゆきの氏
・大館能代空港 国内線 阿部遥氏
・ムンバイ空港 国際線 Alveera Peter氏
・新千歳空港 国内線 間野夏未氏
・デリー空港 国際線 Deepika Rawat氏
・羽田空港 国内線 田中侑衣(ゆい)氏
・サンノゼ空港 国際線 Thanh Ngan Hoang氏
・沖縄空港 国内線 祝嶺(しゅくみね)沙絵氏
・伊丹空港 国内線 藤本彩也月(さやか)氏

「旅客部門 ロビー審査」は、第9回では国内/海外合わせて52空港、約4000名のスタッフから本選出場メンバーが絞られたが、第10回は国内/海外94空港に規模を拡大。約8000名から選出された131名が、10月に行なわれた予選に参加。その予選を勝ち抜いた15名がこの日の舞台に立った。

 2017年度第10回「空港カスタマーサービススキルコンテスト」のテーマは「WE ARE ONE~ダントツ品質の実現を目指して~」。過去のコンテストはANAグループの研修施設「SPECIA」で行なわれてきたが、10回という節目を記念し、多くのANAグループのスタッフに見学してもらうために500名収容のホールにした。

500人収容の大田区民プラザ 大ホールには、出場者を応援するANAグループのスタッフが集まった

「旅客部門 ロビー審査」は、出発ロビーを想定。ホールの舞台にはチェックインカウンターなどが描かれた長大な書き割りを背景に、自動チェックイン機、「ANA Baggage Drop」(自動手荷物預け機)のモックアップなどを設置。

 ANAグループのスタッフが利用客に扮して舞台に登場し、出場者は2組の利用客へ対応する。利用客の2組は、「イレギュラー」「グローバルカスタマー」「プレミアムカスタマー」「ユニバーサルサービス」の4種から、2種が出題される。

 審査基準は「印象」と「知識」。「印象」では「1.お出迎え」「2.笑顔」「3.コミュニケーション」「4.総合印象」が、「知識」では、質問に対して正確に回答できたか、利用客を待たせることなくスムーズに答えられたか、適切な介助ができたかといったことが審査される。

「印象」はANA 取締役・執行役員の伊東裕氏と山本ひとみ氏が、「知識」は空港センターのスタッフが審査。また、ゲスト審査員として、星野リゾート オペレーション統括 おもてなし科学 ユニットディレクターの菊池昌枝氏と、ピーチ(Peach Aviation) CEOの井上慎一氏が招かれている。

「お客さまの心に寄り添う心を皆で統一できれば」

全日本空輸株式会社 空港センター センター長 服部茂氏

 コンテストの冒頭では、ANA 空港センター センター長の服部茂氏が主催者を代表して挨拶。第10回を迎えたことで国内50空港、海外44空港と規模を拡大し、初めての試みとしてANAの海外スタッフや業務委託先も対象にしたグローバル感のあるものになったと紹介し、「ぜひANAグループとしての一体感、全世界の我々の仲間、スタッフとの一体感を今日この場で感じてください。ANAブランドに心を結集して、お客さまの心に寄り添う心を皆で統一できれば」と語った。

 そして、「我々は世界のリーディングエアライングループになることをビジョンにしています。グローバル、ユニバーサルのサービスをしっかり提供して、2020年には世界で一流の航空会社になることを達成したいと思います」と話し、開会を宣言した。

「旅客部門 ロビー審査」の接遇の実技がスタート

「旅客部門 ロビー審査」は出場者が1人ずつ2組の利用客に対応する。出場者が舞台に登場するとまず、勤務先での様子や、仲間の応援メッセージが動画で紹介される。そして舞台に設けられた出発ロビーのセットを利用客に扮したANAスタッフが往来し、接遇の実技が始まる。

出場者を紹介する動画
勤務先の仲間からの応援メッセージ
客席からも熱い応援
舞台に設けられた出発ロビーのセットで接遇の実技が始まり、1人あたり2組の利用客に対応する

1.羽田空港 国内線 豊浦彩乃氏

羽田空港 国内線 豊浦彩乃氏

 1組目は孫とはぐれたという車椅子に乗った高齢の男性客。老人会の仲間に自分が貯めたマイレージのポイントを使えないかと質問され、2親等以内の家族なら特典を利用できるので、「お孫さんになら使えますよ」と回答。搭乗ゲートまでの付き添いを提案した。

 2組目は熊本行きの搭乗時刻15分前で慌てている男性客。チケットと手荷物の内容を確認して、自動手荷物預け機へ誘導。マイレージカードを忘れたが貯まらないのかという質問に、6カ月以内ならWebサイトか電話で可能と伝えた。

1組目は車椅子に乗った高齢の男性客、2組目は搭乗時刻ぎりぎりで慌てる男性客に対応

2.フランクフルト空港 国際線 Lenka Arai氏

フランクフルト空港 国際線 Lenka Arai氏

 1組目は「『オンラインチェックイン』で事前に搭乗手続きを済ませたんだという、日本を訪れるのは初めての男性客。日本食が好きという男性客に、機内食で提供されるメニューや、エコノミークラスでもドリンクメニューに日本酒があることなどを紹介した。

 2組目はルフトハンザグループのステータス会員だという男性客。ANAではどんなサービスを受けられるのだと尋ねられ、ANAは同じスターアライアンスメンバーなのでフランクフルト空港のいつものラウンジを利用できると案内した。

1組目は日本を初めて訪れる男性客、2組目はANAのサービスを尋ねる男性客に対応した

3.鹿児島空港 国内線 奥平理沙子氏

鹿児島空港 国内線 奥平理沙子氏

 1組目は後方の席になってしまい、前方に空席があったら変えてくれないかという男性客。「プラチナサービス」メンバーになったばかりなので探してキープをしてくれないかという要望に、空席の確約はできないが、なるべく前方で手配できるようにしてみるので、搭乗口かラウンジでの確認をと促した。

 2組目は出張の男性客2人。航空券を往復で予約していたが、欠航なので往復まとめて払い戻しは可能かという質問に、全額払い戻しはもちろん、90日間以内であれば別のチケットに変更できることも提案した。

1組目は席の変更を依頼する男性客、2組目は欠航した往復航空券について尋ねる男性客2人に対応した

4.マニラ空港 国際線 Santiago Rozziel氏

マニラ空港 国際線 Santiago Rozziel氏

 1組目は予約していた飛行機に乗り遅れてしまった女性客。日本での用事があり急いでいるとのことで、そのほかの日本方面の路線を提案した。

 2組目は特別機内食(スペシャルミール)について尋ねてきた女性客。フライトの24時間前までであればANAのWebサイトから、アレルゲンや宗教に対応したもの、ベジタリアン向けなどを用意できることを紹介した。

1組目は予約していた飛行機に乗り遅れてしまった女性客、2組目は機内食の変更方法を尋ねる女性客に対応した

5.神戸空港 国内線 中村加奈子氏

神戸空港 国内線 中村加奈子氏

 1組目は犬を飼っているという男性客。ANAの「ペットパスポートアプリ」をすでに利用していて、猫も飼っているが同じアカウントに登録できるかと質問。同じアカウントに犬も猫も登録でき、別々のゲージに入れた状態であれば1区間で2ポイント貯まる、乗り継ぎでも各区間でカウントされることを案内。ペットの預け入れがあることを事前登録すれば、カウンターでの手続きもスムーズだと合わせて伝えた。

 2組目は母と娘の2人連れで、娘が1人で搭乗するので、隣の席が男性だったら席を変えてほしいという相談。対応可能であり、CA(客室乗務員)の目が届きやすい席に変更すると提案。機内で提供するジュースやアメを子供に紹介した。本来は祖母や息子も一緒の予定だったが、息子が病気のため祖母も残ることになった事情があり、診断書があれば息子と合わせて祖母の航空券の振り替えも可能かという質問があり、原則は診断書がある乗客のみだが、息子が4歳ということもあり対応できるかもしれないと答えた。

1組目はペットの預け入れについて尋ねる男性客、2組目は娘の席の変更や、病気での航空券の振り替えの相談をする親子連れに対応した

6.岡山空港 国内線 池川知里氏

岡山空港 国内線 池川知里氏

 1組目は最近「ダイヤモンドサービス」メンバーになったという男性客。プラチナのときにはマイルの有効期限3年の案内があったのに連絡がこなくなったという質問に、ダイヤモンドでは生涯マイルが貯まると回答。

 2組目は目が不自由な女性客。空港に到着したところだが、待ち合わせをしている友人と連絡がとれないという。まずは近くのベンチへと、自分の所属と姓名を名乗り、右と左どちらに立つとよいか尋ね、丁寧に誘導した。

1組目は最近「ダイヤモンドサービス」メンバーになったという男性客、2組目は目が不自由な女性客に対応した

7.成田空港 国際線 清宮ゆきの氏

成田空港 国際線 清宮ゆきの氏

 1組目はアトランタに向かう男性客。直行便が満席のためシカゴでユナイテッド航空に乗り継ぐが、乗り継ぎ時間が1時間30分しかなく不安を訴える。「最低お乗り継ぎ時間」というものがあり、それが満たされた状況での予約のため問題はないが、シカゴ空港のスタッフへ申し送りをし、万一の遅延などにもバックアップすると回答した。

 2組目はビジネスクラスを初めて利用して、ホノルルに行くという男女2人の客。ビジネスクラスのカウンターの場所を伝え、ホノルル路線は新しい機材であり、フルフラットシートであること、路線限定の機内食などが用意されていることを案内した。

1組目は乗り継ぎ時間を気にする男性客、2組目は初めてビジネスクラスを利用する男女2人に対応した

8.大館能代空港 国内線 阿部遥氏

大館能代空港 国内線 阿部遥氏

 1組目は保安検査場を通ろうとしたらチケットがエラーになったという男性客。株主優待を利用していたが登録がまだであることがエラーの原因として、有人カウンターや自動チェックイン機での手続きが可能だと誘導。

 2組目は幼児連れで機内で泣いてしまわないかを心配する女性客。なるべく迷惑にならない前方の席を案内したほか、「荷物が多くて」という言葉に、ANAは宅空便という空港から指定された場所まで1000円で届ける配送サービスがあることを紹介した。

1組目はチケットがエラーになってしまったという男性客、2組目は幼児連れの女性客に対応した

9.ムンバイ空港 国際線 Alveera Peter氏

ムンバイ空港 国際線 Alveera Peter氏

 1組目は日本に向かう男性客。機内食で日本食を選びたいという話に確約できないことを詫びたあとに、ANAマイレージクラブ会員なら、ビジネスクラスの機内食予約がフライトの24時間前までであれば、Webサイトか電話で可能だと案内した。

 2組目の男性客は、来週のフライトで「ANA JET クロノグラフウォッチ」を機内で確実に買いたいとのことで、ANAマイレージクラブ会員であれば機内免税品のプリオーダーサービスを利用して予約できることを紹介した。

1組目は機内食で日本食を選びたいという男性客、2組目は機内販売で買いたいものがあるという男性客に対応した

10.新千歳空港 国内線 間野夏未氏

新千歳空港 国内線 間野夏未氏

 1組目は東京で乗り継いで新千歳空港に到着した男性客。北海道は初めてとのことで、彼女へのお土産に何がよいかと尋ねられ「きのとやのチーズタルト」を勧めた。また、もしランチがまだであれば、北海道の有名ラーメン店が集まった空港内の「北海道ラーメン道場」がよいと紹介した。

 2組目は以前の搭乗で機内に忘れ物をしたという男性客。忘れたものをラウンジに届けてほしいという。「ダイヤモンドサービス」のメンバーとのことで、リニューアルした新千歳空港の「ANA SUITE LOUNGE」は、夕日もきれいでコンシェルジュもいるので、ラウンジで待っていてほしいと説明した。

1組目は北海道は初めてという海外からの男性客、2組目は以前の搭乗で機内に忘れ物をしたという男性客に対応した

11.デリー空港 国際線 Deepika Rawat氏

デリー空港 国際線 Deepika Rawat氏

 1組目は東京へ向かう男性客。来月母親がデリーへ自分を訪ねてくるが、高齢なので飛行機や空港の利用などを心配しているという。ANAグループが国際線を定期運航している全空港において、65歳以上の高齢者などを対象に、チェックインカウンターから搭乗ゲートまで、降機から到着ロビーまで案内するサービスを提供しており、72時間前までに申し込めば利用可能であることを説明した。

 2組目は日本に向かう夫婦と幼児の3人家族。2回目の誕生日を日本で迎えるとのことで、大人1人に対して幼児1名は膝の上で無償になるが、同行する大人の無料手荷物許容量(1人あたり2個)に加えて、この場合もう1個手荷物を無料で預け入れできることを紹介した。

1組目は高齢の母親がデリーに自分を訪ねてくることが心配という男性客、2組目は日本に向かう夫婦と幼児の3人家族に対応した

12.羽田空港 国内線 田中侑衣氏

羽田空港 国内線 田中侑衣氏

 1組目の男性客は株主優待は片道分しかないが、往復航空券の購入に充てることができるかと質問し、自動チェックイン機でもWebサイトからでも可能だと回答。次回のフライトは子供連れでの旅とのことで、国内線南ウイングにあるANA LOUNGE内に「スター・ウォーズ ANAキッズラウンジ」が夏にできたので、「プラチナサービス」会員と同伴の子供とでキッズラウンジを利用できると紹介した。

 2組目は「初日の出フライト」に乗ってみたいという男性客。2018年元旦分は完売してしまっているが、初日の出と富士山、日本独自のおせち料理の機内食を楽しめると紹介した。男性客の妻のマイルが貯まったが遠くに行けるほどではないんだと言うと、フライト以外にもANAのECサイトでの買い物にマイルが使えると説明した。

1組目は株主優待券を往復航空券の購入に使えるかと尋ねる男性客、2組目は「初日の出フライト」に乗ってみたいという男性客に対応した

13.サンノゼ空港 国際線 Thanh Ngan Hoang氏

サンノゼ空港 国際線 Thanh Ngan Hoang氏

 1組目はTSA事前審査プログラムについて尋ねてきた女性客。米国を出国する際、スムーズに保安検査を通過できるようになる「TSA Pre✔」というものがあり、5年間で85ドルの費用を支払うことで発行される「KTN(Known Traveler Number)」を、ANAのWebサイトやチェックインカウンターで申告することで利用できると説明した。

 2組目はパスポートを家に忘れたという男性客。取りに帰ると2時間かかるためフライトに間に合わない状況で、明日の便に振り替えられないかと要求。対応が難しいことを伝えると、他社運航便に振り替えはできないか、払い戻しはできないかなど要求するが対応は難しいと対応した。

1組目はTSA事前審査プログラムについて尋ねてきた女性客、2組目はパスポートを家に忘れたという男性客に対応した

14.沖縄空港 国内線 祝嶺沙絵氏

沖縄空港 国内線 祝嶺沙絵氏

 1組目はスマートフォンのカメラ機能で写真を撮ってくれないかと話しかけてきた男女2人。東京に向かうということで、プレミアムクラスなので「ANA SUITE LOUNGE」を利用できると紹介。Wi-Fiが使えることなどを付け加えた。

 2組目は関西国際空港行きが天候理由で欠航になったという男性客。以降の便は満席のため明日に振り替えたいが、自動チェックイン機で手続き可能かと質問。欠航が理由であればどの種類の航空券でも30日間以内であれば変更可能だと伝えた。また、関西方面なら伊丹空港や神戸空港行きもあることを付け加えた。

1組目はプレミアムクラスで東京に向かう男女2人、2組目は関空行きが天候理由で欠航になったという男性客に対応した

15.伊丹空港 国内線 藤本彩也月氏

伊丹空港 国内線 藤本彩也月氏

 1組目は伊丹空港から羽田で乗り継ぎニューヨークに向かうという男性客。「ANA SUITE LOUNGE」の場所が分からないというので、南ターミナルの2階にあることを伝え、羽田での乗り継ぎの際に「ANA&LEXUS CONNECTION」というレクサス車による国内線第2ターミナルと国際線ターミナルをつなぐサービスがあることを紹介した。

 2組目は高齢の女性客。初めて飛行機に乗って新千歳空港まで向かうという。プレミアムクラスを利用とのことで、ラウンジで休むことを勧めた。富士山を窓から見てみたいとのことで、E席であることを確認し、「窓側のお席で、今日は天気がいいので富士山をご覧いただける席だと思います」と答え、初日の出フライトも紹介した。

1組目は伊丹空港から羽田で乗り継ぎニューヨークに向かうという男性客、2組目は高齢の女性客に対応した

「保安部門」と「旅客部門 ゲート審査」の入賞者を発表

 15名のパフォーマンスが終わり、すでに10月に優勝者が決定している「保安部門」について紹介があった。保安部門のスキルコンテストでは、保安検査場入口で検査への協力を利用客に依頼する「案内」と、金属探知機に反応した利用客への検査を行なう「接触」が評価の対象になる。会場では実技試験の様子が動画で公開された。

保安検査場での仕事を紹介
スキルコンテストの評価の対象
「保安部門」のスキルコンテストの様子が動画で紹介された
「保安部門」スキルコンテスト上位入賞者

エクセレントセキュリティ賞(優勝):関西国際空港 株式会社全日警(眞次洋亘氏、葉狩美加氏)
準優勝:熊本空港 熊本空港警備株式会社(丸岡裕美氏、島本雄斗氏)
3位:鹿児島空港 鹿児島綜合警備保障株式会社(横山秀美氏、柳奈々子氏)

「旅客部門 ゲート審査」は事前に録画したゲート業務の様子を映像で審査。安全性、アナウンスやサイネージなどの情報提供、列の整理から改札業務、空港独自の工夫を評価。国内線の空港は旅客数や空港規模に応じて、AからDの4つのカテゴリーに分けられて審査する。

ゲート業務の様子を映像で審査
「旅客部門 ゲート審査」スキルコンテスト審査結果

海外空港 最優秀賞:マニラ空港
カテゴリーA 最優秀賞:鹿児島空港
カテゴリーB 最優秀賞:高知空港
カテゴリーC 最優秀賞:神戸空港
カテゴリーD 最優秀賞:徳島空港

「旅客部門 ロビー審査」は神戸空港の中村加奈子氏がグランプリに

「旅客部門 ロビー審査」の結果発表

「保安部門」「旅客部門 ゲート審査」の発表が終わり、いよいよ「旅客部門 ロビー審査」の結果発表へ。審査員特別賞は成田空港の清宮ゆきの氏に、準グランプリの2名はマニラ空港のSantiago Rozziel氏と羽田空港の田中侑衣氏に、そしてグランプリは神戸空港の中村加奈子氏に決まった。

「旅客部門 ロビー審査」スキルコンテスト審査結果

グランプリ:神戸空港 国内線 中村加奈子氏
準グランプリ:マニラ空港 国際線 Santiago Rozziel氏
準グランプリ:羽田空港 国内線 田中侑衣氏
審査員特別賞:成田空港 国際線 清宮ゆきの氏

審査員特別賞を受賞した成田空港の清宮ゆきの氏
準グランプリを受賞したマニラ空港のSantiago Rozziel氏
準グランプリを受賞した羽田空港の田中侑衣氏
グランプリが自分だと発表されて驚く神戸空港の中村加奈子氏

「神戸空港に持って帰ってみんなで喜びを共有したい」

 グランプリの中村加奈子氏は、「審査が終わってほかの方々の接遇を見ていて本当にすごいと思うところがたくさんありましたし、楽しそうに接遇されていて、学ぶところがたくさんありました。神戸空港は規模の小さい空港ではありますが、このような賞をいただけて、神戸空港に持って帰ってみんなで喜びを共有したいと思います。今日は本当にありがとうございます」と、涙をこぼしながら受賞の挨拶をした。

神戸空港のみんなで喜びを共有したいと話す中村加奈子氏

「経験を職場へ持ち帰り、伝道師として活躍を」

全日本空輸株式会社 取締役・執行役員 伊東裕氏

 閉会にあたり社内審査員からANA 取締役・執行役員の伊東裕氏が挨拶した。まず出場者と運営スタッフの労をねぎらい、「それぞれすばらしく、ジャパンクオリティを立派に体現されていると感じました」と感想を述べた。また、海外5空港が参加したことには、「いわゆる日本のおもてなしを体現されていて、おもてなしは日本の専売特許ではもうないのだと思いました」と語った。そして「経験を職場へ持ち帰り、伝道師として活躍していただきたいと思います」と締めくくった。

「一緒にこれからのANAグループのブランドを作り上げて、お客さまに届けていきたい」

全日本空輸株式会社 取締役・執行役員 山本ひとみ氏

 続いて登壇したANA 取締役・執行役員 山本ひとみ氏は、自身がこれまで数回審査員を務めているが「毎年レベルが上がっていることを感じています。参加された皆さんがグランプリ」と評価。

「旅客部門 ゲート審査」スキルコンテストで海外空港の最優秀賞を受賞したマニラ空港は、開設当初、社内報でマニラ空港のスタッフが丁寧なお辞儀を統一して行なっている写真を見て、「非常に日本らしい、お客さまから見たときにきちんとしている印象、それが安心感、信頼につながると思ったことを覚えています。その気持ちを今でもきちんとお客さまに向けてらっしゃることが、今回の受賞につながったと思っています」と語った。

 山本氏は客室担当だが、利用客の第一印象を決めるのは空港のスタッフであり、「ぜひ地上も客室も、お互いにANAらしいジャパンクオリティを創造していかなければならないと思っています。一緒にこれからのANAグループのブランドを作り上げて、お客さまに届けていきたいと感じました」と挨拶を終えた。

「これぞANA流ジャパンクオリティの神髄」

Peach Aviation株式会社 CEO 井上慎一氏

 ゲスト審査員のピーチ CEOの井上慎一氏は、「これぞANA流ジャパンクオリティの神髄を拝見させていただいて、感動いたしました」と挨拶。

 空港のハンドリングで忘れられない出来事として、1989年6月の天安門事件の際、井上氏が別の会社に所属して北京に駐在し、日本への帰国方法を探していたときのエピソードを披露。とある航空会社に電話したところ、「チケットがなければ乗れません」と断られたという。ところがANAの北京支店に電話したところ、街が危険だから支店には来ないで、十分に気を付けて空港へ行くように。チケットがなくてもパスポートか写真ページのコピーがあれば、後払いで結構。先着順に搭乗を受け付ける、という対応があり、非常に感銘を受けたと紹介。今日のコンテストを見ていて「その伝統は間違いなく生きていると思いました。このサービスは危機管理のときにもチームワークとして発揮されると思います」と話した。

「星野リゾートも全国大会をやりたい」

星野リゾート オペレーション統括 おもてなし科学 ユニットディレクター 菊池昌枝氏

 同じくゲスト審査員の星野リゾート オペレーション統括 おもてなし科学 ユニットディレクターの菊池昌枝氏は、「皆さまの応援する側、出場する側の一体感を見て、ホスピタリティは一体感なんだと思いました。お客さまによいおもてなしをするのは、仲間のチームの一体感なくしてできないことなんだと。ANAグループのチーム、一体感の作り方に感動しました。応援団も日本だけではなくて海外からも来ている。こんなことって星野リゾートであるのか! 今度まねしようと思いました。星野代表に、うちも全国大会をやろうと言いたいです」と感想を述べた。

 特に学びたいと思ったところが2つあるとし、1つ目に「知性のアウトプット」を挙げた。「皆さまの知性、知っている、賢いだけではなく、お客さまをよく見てらっしゃって、知覚、五感を使ってお客さまが今何を求めてらっしゃるのか把握したうえで、お客さまより先にそれをアウトプットしている」と評価。2つ目に「たたずまい」を挙げ、「言葉遣い、姿勢、挨拶、全部が美しいなと。たたずまいの美しさを感じまして、これも星野グループでまねさせていただこうと思いました」と語った。

「褒める言葉しかない」と前置きしつつ、星野リゾートとしても気を付けていることとして、「よろしければ病」を紹介。クッション言葉に「よろしければ」をただ使うのではなく、「おさしつかえなければ」「ごめんどうでなければ」とバリエーションを増やすと、「より皆さんが輝かれるかと」と挨拶を結んだ。

「グランドスタッフ業務は相当に奥深いものだと再認識」

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 平子裕志氏

 最後にANA 代表取締役社長の平子裕志氏が登壇し、大切な社内コンテストとしてこのグランドスタッフ、テレマート、客室の3つがあるが、それを平子氏は東京空港支店の旅客部長時代、それぞれスポーツに例えたことがあると振り返った。

 利用客との最初の接点になるグランドスタッフは、立ち会いが大事な相撲に例えたそうだが、コンテストの実技を見ていて「相撲に例えるのはやめようと思いました。立ち会いの第一印象だけではないです。サービスを拝見していると、グランドスタッフ業務は相当に奥深いものだと再認識させられました」と感想を述べた。

 これから迎える2020年を一つの節目として、国内空港、海外空港は「今とは違う事態におそらくなっている」とし、海外空港のスタッフがコンテストに参加し、実技でも外国人旅客が国内線を利用する場面が多くあり、体が不自由な人、ペットを連れて行きたい人が登場するなど、「この第10回がそのシミュレーションでもあったのでは」と語った。

 最後に「今日の皆さんのパフォーマンスを見て自信を深めました。ただ、反省すべき点はあるのかもしれません。それを持ち帰って明日からそれを反映していっていただきたいと思います。これから先、いろいろなことが待ち受ける航空業界ですから、自分のやるべきことを行ない、よりよいANAグループを作っていきましょう」と話し挨拶を終えた。

記念撮影を行ない、コンテストは閉会した

「グランプリの名に恥じないように、毎日一人一人のお客さまにしっかり向き合っていきたい」

 コンテスト閉会後、「旅客部門 ロビー審査」スキルコンテスト上位入賞者に感想を聞いた。審査員特別賞を受賞した成田空港の清宮ゆきの氏は、「10周年の年に成田空港の国際線代表として出場できたことを誇りに思います。今日のコンテストを通じて海外ステーションも含めてさまざまな空港の接遇を間近で感じることができたので、よいところをまねて、改善すべき発見は次に活かして、自分のスキル向上だけではなく、成田空港全体でも、みんなでスキルの向上に努めていけたらと考えています」とコメント。

 準グランプリを受賞したマニラ空港のSantiago Rozziel氏は、「私にとって初となるこのコンテストは、とてもチャレンジングなことでした。私たちがサービスを提供する際には、あらゆる部門において起きている情報を把握している必要があります。何が乗客のためになるのかに備えるためです。さらにサービスのレベルアップをして、ANAへの貢献度を上げていきたいです」とコメント。

 同じく準グランプリを受賞した羽田空港の田中侑衣氏は、「本日受賞できたことを本当にうれしく思います。そして羽田空港の代表として参加したので、受賞できたことは羽田のみんなの力だと思います。職場に帰ってからも日々、仲間とお客さまへの対応を日々向上できるようにがんばりたいと思います」とコメント。

左から羽田空港 国内線 田中侑衣氏、神戸空港 国内線 中村加奈子氏、マニラ空港 国際線 Santiago Rozziel氏、成田空港 国際線 清宮ゆきの氏

 グランプリを受賞した神戸空港の中村加奈子氏は、「受賞した瞬間は『信じられない』の一言でした。皆さんすばらしい接遇をされていたので、まさか自分がという気持ちでいっぱいでした。思っている以上に手が震えなくてよかったな、といった感想はあったのですが、『皆さんすごいなぁ』と思って見ていたので、受賞に驚きました。

 受賞した瞬間は、神戸空港の皆さんの顔が浮かんで。すごく応援してくださって、本選出場が決まったときにはとても喜んでくださって、練習に付き合ってくださっていたので、皆さんの顔が浮かび、挨拶の最中に涙が出てしまいました。

 みんなで獲得できたグランプリだと思うので、神戸空港がもっともっと今後も接遇を伸ばしていけるように、みんなで力を合わせてがんばりたいなと思います」と感想を述べた。

 また、実技の際に子供役が、胸に着けている20周年バッジがほしいと言ったときに「『どうしよう』と一瞬思ってしまい、不安な顔をしてしまっいました。お客さまがおっしゃることを一定の表情で伺いたかったのですが、『あっ』という動揺の顔が一瞬出てしまったのが反省です」と振り返った。

 今後に向けては「賞をいただいたのは人生においても本当にすごく喜ばしいことで、これを神戸空港に持ち帰って、今後もグランプリの名に恥じないように、毎日一人一人のお客さまにしっかり向き合っていきたいです」と結んだ。