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沖縄ツーリズム産業団体協議会、首里城火災をうけて緊急会議を開催
2019年11月2日 14:33
- 2019年11月1日 開催
沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)および沖縄県内観光関連業界34団体で構成される沖縄ツーリズム産業団体協議会は、10月31日未明に発生した首里城の火災をうけ、11月1日に臨時会議を開催した。
冒頭でOCVB会長で同協議会会長の下地芳郎氏は、「昨日の首里城火災について大きな衝撃を受けた。国内外からもお見舞いや激励の声をいただいており、我々としても早く首里城復元を目指していきたいと思っている。関係各位と意見を出し合い、情報を共有し合って今後の対策について打ち合わせをしたい」と述べた。
続いて、首里城火災に伴うOCVBの対応が報告された。観光危機管理体制については、モニタリングなどで情報収集を行ない、10月31日10時に観光危機管理対策本部会議を開催(沖縄県庁文化観光スポーツ部長室)。
観光客への情報発信は、Webサイトに会長コメントを掲載したほか、「おきなわ物語」のトップページへのアラート表示、海外向けWebサイトへ休園情報や関連イベント中止の情報を随時掲載。
また、この時期は修学旅行が多く訪れることから、旅行会社へ調査を依頼。11月から2020年3月まで801校、16万9816名の修学旅行予約が入っているが、今のところキャンセルなどは無いという。
しかし、このうち8割以上の学校が行程に首里城見学を組んでいると考えられるため、学校に対しての情報提供、来沖を促す文書の発送を行ない、首里城側へは休館日の開館要請を行なう予定とのこと。
MICEへの影響については、直近では12月4日に開催予定の国内市場意見交換会の会場が首里城北殿だったものについて代替施設を検討中。その後のMICE開催予定のうち、首里城利用を予定していた件数を把握し、代替案の提供を行なう。代替案については、会場に求めらている要素(歴史的建造物なのか、立地条件なのか、収容人数なのかなど)に沿ったものを提示できるよう情報を整理するとしている。
募金活動については、すでに個別に活動が始まっているがOCVBとしては11月2日より開催される「旅フェスタ」で募金箱を設置する。共催の琉球放送へは情報共有済み。同会議後に他の出展者へも情報提供する。
その後、意見交換が行なわれた。
内閣府沖縄総合事務局からは、「今回消失した正殿は、さまざまな方のご協力で平成元年から着手し復元したもの。大変心が痛む。現在はまだ情報収集の段階だが、関係機関と連携して復元に協力していきたい」との気持ちが述べられた。
沖縄県文化観光スポーツ部からは「昨日は朝6時に対策本部を設置し、韓国訪問中だった玉城知事の帰国後に改めて本部を設置し会議を行なった。本日、知事は上京し復元に向けて働きかけている。海外の県人会や空手愛好家からも支援の声が届いている」と県および知事の対応が説明された。
那覇市経済観光部からは、「昨日は早朝から対策本部を設置し、危機管理体制を再確認。OCVBと連絡を取り、市としての役割を確認した。観光地の代替案として、識名園や福州園、公設市場、博物館等が提案できる。何が求められているのかを把握し、調整していく」と那覇市の対応が説明された。
他の会員からの意見、情報提供では、火災のニュースを受けて団体旅行などのキャンセルは出ていないこと、ネガティブな反応は受けていないという意見が多かった。懸念されることとして、首里城に代わる代替地がいくつか候補があるが、人が集中してしまわないか、交通や駐車場の混雑が起こらないか、などの課題が挙げられた。
外国人観光客にも首里城火災のニュースは届いているようで、休園やチケット払い戻しについても理解が得られているとのこと。
また、多くの会員から述べられたのは、今回の火災で自粛ムードになることなく、改めて沖縄の歴史や文化を考える機会にしてもらえるようにアピールしていくべきということ。
正殿はじめ何棟かが焼けてしまったが、首里城公園内には残った施設もあり、模型などもある。首里城の歴史、沖縄の歴史を学んでもらうことは十分にできるといった前向きな意見が多かった。
最後に、事務局より「首里城火災対応に係る基本方針(案)」が提案され、会員に了解を求めた。関連施設の防火・防災体制の再確認、不確かな情報拡散防止のため正確かつ迅速な情報の発信、可能な限りの多言語での情報発信、修学旅行やMICEに対しての代替観光コースの提案など6項目が示された。
1日も早い復元のためにも、自粛ムードにならず前向きに沖縄観光をPRしていくことで心が一つになったようだった。