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「世界遺産の価値に与える影響は軽微」。文化庁が首里城火災をユネスコに報告。2019年度内に復元工程表策定を目指す

2020年1月31日 発表

文化庁が首里城火災についてユネスコ世界遺産センターへ状況を報告

 文化庁は1月31日、ユネスコからの要請に応じ、首里城跡で発生した火災の被害状況についてユネスコ世界遺産センターへ報告したこと、ならびにその報告内容の概要を発表した。

 火災については、首里城正殿を含む9棟が全焼したほか、露出遺構2か所の被災や石材表面の劣化が確認されており、損傷状況については詳細調査を実施しているとした。

 首里城跡の遺構は「世界遺産の顕著な普遍的価値を持つ要素」であるが、その価値に与える影響については、損傷した正殿の露出遺構の面積は史跡範囲に対し約0.05%と一部に限られること、焼損した復元建造物も前回の復元に関する資料が残っており復元が可能であることの2点から、「世界遺産の顕著な普遍的価値に与える影響は軽微と考えられる」としている。

 首里城正殿の復旧については、1712年に再建され、1925年に国宝指定された前回復元時の基本的な考えを踏襲。ただし、前回復元後に確認された資料や材料調達の状況の変化などを反映するとともに、防火対策の強化を行なう。

 資材調達には政府一丸となって取り組むほか、沖縄独特の赤瓦の製造や施工などについては伝統技術を活用するための支援を実施。技術検討の場を内閣府沖縄総合事務局に設け、沖縄県民の意見を十分に反映できるよう沖縄県の参画を得て検討を進める。そして、2019年度内をめどに、首里城正殿などの復元に向けた工程表策定を目指すとしている。