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東京メトロ、日比谷線・新駅「虎ノ門ヒルズ駅」建設現場公開。オリンピック前の開業を目指す

2019年8月28日 公開

2020年 開業予定

東京2020大会前の開業を目指して工事が進められている「虎ノ門ヒルズ駅」のホーム

 UR都市機構(都市再生機構)と東京メトロ(東京地下鉄)は8月28日、街づくりと一体となった新駅の整備「地下鉄日比谷線新駅整備事業」(虎ノ門ヒルズ駅)の建設現場を報道陣に公開した。

 虎ノ門ヒルズ駅は日比谷線の霞ケ関駅~神谷町駅間に建設される新しい駅で、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会前の供用開始を目指して工事が進められている。役割分担はUR都市機構が事業主体、東京メトロが設計及び工事の受託となっている。なお、供用開始は2020年を目指しているが、すべてが完成するのは2022年度の予定だ。

地下で駅の新設工事が進められている虎ノ門二丁目交差点付近。正面に見える虎ノ門ヒルズの横にはバスターミナルも整備される計画であり、虎ノ門駅も含め、地下通路を通じてアクセス可能になる予定だ

 虎ノ門ヒルズ駅は既設のトンネル・線路を利用しつつ、周囲を掘削してコンクリートを流し込みながら造成される。具体的には、まず最初に駅の大枠となる「土留壁」を設置する。次に日比谷線は国道1号の地下を通っているため、掘削しても道路が崩落しないように「覆工板」と呼ばれる鉄製のパネルで覆ってから工事が進められる。

 掘削が完了した部分は杭を打設したり、鉄筋を組み立ててコンクリートを流し込んだりして、構造物が新設される。現在はホームの設置作業がされており、既設のトンネルの側壁を取り壊す作業がメインに行なわれている。

土留壁を設置(写真提供:東京メトロ)
覆工板の架設(写真提供:東京メトロ)
掘削(写真提供:東京メトロ)
鉄筋を組み立てる(写真提供:東京メトロ)
従来のトンネルの側壁はある程度の大きさにカットされて運び出される
運び出された側壁の一部
側壁の内側には鉄製のパネルを設置することにより電車の安全を確保している
見学中もひっきりなしに日比谷線の走行する音が響き渡る

 虎ノ門ヒルズ駅は最終的には地下2階構造の駅になる予定だが、開業時期が工期に対して早いため、地下1階を建設してから地下2階を造成する難度の高い工事手法になっている。

 そのため、供用開始時は仮の改札が同じ地下1階に設置される。地下2階部分は現在も掘削が進められているが、既設構造物への影響を抑えるため、小さなトンネルを掘りながら進める「トレンチ掘削」という手法が使われている。また、地下1階の構造物を下支えする杭と、重さを均等に分散させる油圧ジャッキを用いて沈下を防ぎ、営業中の電車に影響が出ないよう安全面に配慮しながら工事が進められている。

地下2階は掘削を進めている段階なので、地肌が露出している。駅を含め、周辺の施設が完成したあかつきには地下2階に改札口が設置され、再開発ビルと地下通路で接続される
頭上は地下1階のコンクリート製の構造物
土は薬剤を注入して強度を確保してから掘削をする
掘削はバックホー(ショベルカー)と人力で細心の注意を払いながら行なわれる
工事は昼夜問わず行なわれており、昼は約90人、夜は約110人が携わっている

 囲み取材に対応した東京メトロの藤野覚氏は工事について、「安全第一に進めています。例えば、切り出した側壁のブロックを運び出す際は深夜1時から4時までの営業時間外に行なっています」と、細心の注意を払いながら進めていることをアピール。

 また、走行中の日比谷線の車内から新駅が見えるようになるのかという質問に対しては、「9月半ばから10月半ばにかけて鉄製パネルも取り除かれる予定なので、もしかしたら何かしら見える可能性はあります。ただし、昼間はホームの照明を付けていないので厳しいとは思います」と答えていた。

東京地下鉄株式会社 改良建設部第四建築工事所 技術課長 藤野覚氏