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三菱重工、2019年度事業戦略説明会。スペースジェットはTC試験向けに10号機、7号機、11号機を組み立て中

10号機はまもなく完成

2019年7月12日 実施

三菱重工業株式会社 シニアフェロー MRJ事業部長 髙口宙之氏

 三菱重工業は7月12日、都内で2019年度事業戦略説明会を実施し、そのうち「航空・防衛・宇宙ドメイン」の説明で、子会社の三菱航空機が開発を進める国産ジェット機「三菱スペースジェット」について言及した。

 MRJ事業はシニアフェロー MRJ事業部長の髙口宙之氏が説明を担当し、「TC(型式証明)の取得、顧客への納入が第一」であり、それが「事業全体を大きくジャンプアップさせるファクターになる」として、2020年半ばにローンチカスタマーのANA(全日本空輸)へ初号機を納入する目標に向けて、引き続きTC取得に注力していることを説明した。ANAに納入するにあたってカスタマーサポート体制の構築も進んでおり、その一環として6月末にはフライトシミュレータを羽田で納品したという。

 また、髙口氏は2018年度について、「ファンボロー国際航空ショーでのデモ飛行の成功によって、GTF(ギヤード・ターボファン)エンジンが非常に静かで燃費性能のよいことを顧客に確認してもらうことができた」と振り返り、同年末に国交省からTIA(飛行試験開始確認書)を受領、2019年年明けから4機の試験機を使ってTC飛行試験を始めていることなどを改めて紹介。

 2019年度の取り組みとしては、「追加の飛行試験機の投入でTC試験を加速」するとして、小牧の最終組立工場で3機の機体(10号機、7号機、11号機)を製造しており、なかでも10号機は最終段階にあるという。現在は内部の配線やインテリアの取り付けを行なっているそうで、完成が近いとのこと。10号機は一旦名古屋で飛ばしてからモーゼスレイクへ持ち込み、TC試験に参加させる。

 また、先日のパリ航空ショーでMRJから改称した「三菱スペースジェット M90」を展示、新コンセプトの「同 M100」を紹介したことにも言及した。

運営体制
2018年度と2019年度の取り組み

 スペースジェットへの改称の背景には、M90(旧称MRJ90)をベースに商品性、機能、シートアレンジ性などを大幅に改善してリリースするM100(旧称MRJ70)の存在があり、「Regional(地域)という市場名ではなく製品価値を前面に出したい。そのために広い機内と高い積載能力を意味する“スペース”を冠した」と説明。また、新しいハウスカラーについては、「レッドは三菱、ブルーはローンチカスタマーのANA、ゴールドはオリジナルのMRJから残した色」であると解説した。

 なお、スライドには100席クラスの派生機「三菱スペースジェット M200」の姿もあり、北米ではスコープクローズ(パイロットの職域が侵されないようリージョナル機の総重量や座席数を制限する労使協定)によってM100が主力になるが、ヨーロッパやアジアでは100席クラスの需要も見込めるため、「M90でTCを取得、M100で商品性を高めて、ストレッチしたM200へ」という展開を考えていると説明した。そのうえで髙口氏は、「M200はあくまで100席まで。110席、120席という規模は考えていない」という(関連記事「【パリ航空ショー 2019】三菱航空機、スペースジェット M100のキャビンモックアップ公開。スライドには派生型M200の姿も」)。

三菱スペースジェット M90/M100/M200について

 そのM100については、「最大の市場である米国などグローバル市場に完全にマッチした機体。3クラス(ビジネス/プレエコ/エコノミー)仕様でもスコープクローズに準拠できる点が強みで、今後もしスコープクローズが緩和されれば、同じ機体で最大88席へのシートアレンジも可能」と特徴を紹介。

 また、同社がボンバルディアから取得したCRJ事業については、カスタマーサポート、マーケティング、販売、型式証明を継承したが、製造は引き継いでおらず、受注残をボンバルディアに委託する形を採っており、開発も引き継いでいないと説明した。髙口氏は「最も大きいのはバージニアとアリゾナのサービスセンターを得たことで、スペースジェットの開発、製造、販売、カスタマーサポートの機能を補完できる」という。

スペースジェットファミリー