ニュース

【パリ航空ショー 2019】三菱航空機、水谷社長が笑顔で報告。北米企業と15機のスペースジェット M100商談で覚書

「パリでM100のコンセプトを紹介できてよかった」

2019年6月19日(現地時間)実施

笑顔でMOU締結を報告する三菱航空機株式会社 取締役社長 水谷久和氏

 フランス ル・ブルジェ空港で6月17日~23日(現地時間)、世界最大級の航空展示会「パリ航空ショー(International Paris Air Show)2019」が開催されている。

 三菱航空機は6月19日(現地時間)、北米企業と15機のスペースジェット M100の売買について協議を始めるMOU(了解覚書)を締結した。納入開始は2024年以降という。

 スペースジェット M100は、スペースジェット(旧称MRJ)ファミリーのなかでも70席仕様の短胴派生型。北米にはスコープクローズ(Scope clause:航空会社とパイロットの労使協定。大手航空会社のパイロットの職域が侵されないよう、リージョナル機の総重量や座席数を制限するもの)があり、90席仕様のスペースジェット M90(MRJ90)は抵触するが、スペースジェット M100(MRJ70)なら適合する。なお、MOU締結のリリース中では「スペースジェット M100(3クラス仕様65~76席)」という表現が使われており、「最大76席」というスコープクローズの制限を意識したものとみられる。

三菱スペースジェット

 同日、会場内で開かれた会見で取締役社長の水谷久和氏は、「今日のアジェンダは分かっているが、大きなニュースがある」と前置きして、前述のニュースを笑顔で報告した。

 北米のどの企業なのかといったMOUの詳細自体は開示できないとしつつ、水谷氏は「三菱航空機としては、早くTC(型式証明)を取って2020年半ばに初号機を納入するということが第一義。この基本姿勢はぶれていない。受注活動もさることながら、TCを取ることに専念しつつ、並行して世界中の顧客とコミュニケーションをとり続けてきた。

 そのなかで従来のMRJ70に興味を持つ顧客がいて、何年来も話をしてきたが、ここにきてM100のコンセプトを発表できる場があり、その顧客が実際にここ(同社のパビリオン)に来て、シートモックアップを見て気に入ってもらえたようだ。まさかこのタイミングで販売の協議に入るMOUを結べるとは思っていなかった。

 パリに来る前にMOU締結を意図していたということはまったくなく、そうなればよいなという期待はあったが、サプライズ的にこんな日を迎えることができた。MOUまで結べるというのは大変ありがたいこと。事業に弾みが付くし、スペースジェットファミリーをもう一度世界にアピールしていこうという第一歩を心強く応援していただける、そんなMOUになったと感謝している。

 今日は会期3日目で、私自身さまざま顧客と直接会って、大変心強い感触を聞くこともできた。これだけでも十分、パリの成果として皆さま(報道陣)に報告できると思っていたが、それに加えて、北米のある企業からMOUと結びたいと話を受けた。本当にパリに来てよかった。パリでM100のコンセプトを紹介できてよかった」と話し、MOU締結にいたった背景を説明した。

水谷氏の笑顔が印象的な会見となった