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長野県松本市の旧開智学校が国宝に。擬洋風建築の文化史的意義が評価されて近代学校建築で初の国宝指定
文化審議会が国宝・重要文化財(建造物)指定を答申
2019年5月17日 18:31
- 2019年5月17日 発表
文化庁は5月17日、同日行なわれた文化審議会において、1件の建造物を国宝に、8件の建造物を重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申したことを発表した。今後、官報公告がなされ、建造物の国宝・重要文化財は2503件、5083棟(国宝227件、290棟含む)となる見込み。
新たに国宝となるのは、長野県松本市の「旧開智学校校舎」。1876年(明治9年)建設。漆喰塗りの外壁を持つ2階建ての屋根上に八角形の塔を載せたデザインで、洋風を基調としつつ、和風の伝統意匠を織り交ぜた擬洋風建築の特質を濃厚に表わす。内部は級別の教室や広い講堂を備え、学校建築として先駆的な計画性を示しており、近代学校建築として初の国宝指定となる。
重要文化財は真宗本廟東本願寺(京都府)や永平寺(福井県)など6件を新規指定、旧西尾家住宅(大阪府)と福田家住宅(鳥取県)の2件の追加指定を答申している。
2019年5月17日に重要文化財指定を答申された建造物
旧柏倉家住宅: 8棟(主屋、内蔵、仏間、前蔵、北蔵、大工小屋、長屋門、裏門、土地)、山形県東村山郡中山町
旧山崎家別邸: 1棟、埼玉県川越市
永平寺: 19棟(仏殿、法堂、山門、中雀門、僧堂、大庫院、大光明蔵、監院寮、廻廊(5棟)、承陽殿本殿および拝殿、承陽門、経蔵、松平家廟所門、舎利殿および祠堂殿、勅使門、福井県吉田郡永平寺町
早川家住宅: 8棟(主屋、裏座敷、洋館、辰巳庫、下男部屋、辰巳隅職人部屋、飯米庫、西ノ庫、土地)、岐阜県海津市
真宗本廟東本願寺: 6棟(御影堂、阿弥陀堂、御影堂門、阿弥陀堂門、鐘楼、手水屋形)、京都府京都市
根来寺: 6棟(大伝法堂、光明真言殿、大門、不動堂、行者堂、聖天堂)、和歌山県岩出市
旧西尾家住宅: 外塀と内塀、大阪府吹田市 ※指定済みの主屋など7棟に追加指定
福田家住宅 :2棟(上蔵、下蔵、土地)、鳥取県鳥取市 ※指定済みの主屋に追加指定