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ソラシドエアが地上旅客スタッフのスキルコンテストを初開催。就航10空港から選抜されたスタッフが出場

2019年2月21日 開催

ソラシドエア初の地上旅客スタッフのスキルコンテスト「第1回ソラシドエアサービススキルコンテスト『Seed Smile Contest』」開催

 ソラシドエアは2月22日、同社初となる空港地上旅客スタッフのスキルコンテスト「第1回ソラシドエアサービススキルコンテスト『Seed Smile Contest』」を開催した。

 開会宣言を行なったソラシドエア 代表取締役社長の髙橋宏輔氏は、まず同社のブランドコンセプト「空から笑顔の種をまく」について触れ、「このブランドコンセプトをいかに実現するかで、常日頃からいろんな議論をしている。空から笑顔の種をまくというのは噛めば噛むほど味が出る言葉で、笑顔で接客しようということではなく、笑顔の種をまこうというところがミソ。お客さまの心に笑顔の種をまいて、育てて、花が咲くとお客さまも笑顔になるだろうし、そのまわりの方々も笑顔になればよいな、ということを表わしていると私は解釈している」とコメント。

 この日のコンテストについて、「そういった心と心がつながるサービス、お客さまの心に響くような空港での接客サービスとはどのようなものかというのは、今日集まった21名のスペシャリストがこれから表わしてくれると思うので、私も楽しみにしている。そういったことをこれからも社内全体で目指していきたいと思うし、コンテストが意識の向上につながるきっかけになれば」と述べるとともに、「コンテストという形式ではあるが、ほかの空港の方のサービスが見られるので、今日出場者の皆さん、応援に来られた皆さんも、お互いに学びや気付きを1つでも持って帰って、自分の空港でのサービスに活かしていただければ」と期待の言葉を述べ、コンテストの開会を宣言した。

株式会社ソラシドエア 代表取締役社長 髙橋宏輔氏

 ソラシドエアは現在37往復74便を運航し、10空港(羽田、セントレア/中部、神戸、宮崎、熊本、長崎、鹿児島、大分、那覇、石垣)に就航。このうち自社で地上旅客業務を行なっているのは羽田空港のみで、ほか9空港は外部に委託している。今回のコンテストでは、委託先からも含め、全10空港から選抜されたスタッフ21名が参加した。

 ソラシドエアの自社スタッフである羽田空港(東京空港支店)からは、野邊ちさと氏、瀬尾槙人氏、市川玲奈氏、竹内ひとみ氏の4名が参加。地上旅客関連業務に従事する約60名から自薦・他薦によって10名のスタッフを選出。その10名による予選会が行なわれ、4名の代表を決定したという。

 また、今回のコンテストは東京で開かれたこともあり、東京空港支店からは多くのスタッフが応援、観戦に訪れ、同支店の出場者はもちろん、他空港から参加のスタッフにも大きな声援を送った。

コンテストを盛り上げたソラシドエア 東京空港支店のスタッフ
羽田空港からコンテストに参加した4名
全出場者に声援を送って雰囲気を盛り上げた東京空港支店スタッフ

 ソラシドエアにとって地上旅客スタッフのスキルコンテストは初めての実施。サービス品質の評価と向上に主軸を置き、「ソラシドエアが目指す空港サービス」の実現や、それを理解して共感すること、競い磨き合うことでサービスをよりよりものに高めていくことを目的とする。その第1回目は「笑顔の種を咲かせよう~全てはお客様の満足の為に」をテーマにしており、司会者から「お客さまをよく見て、察して、なにが必要かを見極め、行動することをモットーにしている。花を育てるように、必要なことはなにかを感じる心を大切にしている」と説明があった。

 コンテストでは、実際の接客を想定してロールプレイを行なう「印象審査」と、空港アナウンスを行なう「アナウンス審査」の2種目を実施。

 印象審査は、旅客が求める要望や伝えたい内容を察知して安心感ある対応やプラスアルファの対応で、旅客を笑顔にできているか(満足感を持たれているか)を審査。表情や立ち振る舞い、旅客に合わせた対応、観察力など5項目の評価軸それぞれで5段階評価する。

 アナウンス審査は、状況を伝えるのはもちろん、心を込めて1つ1つの言葉をていねいに発信できているか、声のトーン、姿勢などを総合的に5段階評価する。

 審査員は、同社 取締役副社長 兼 運送本部長の峯尾隆史氏のほか、松井サービスコンサルティング 代表の松井拓己氏、ひこうき雲 代表取締役の古賀恵美子氏、翻訳コンシェルジュ 代表の松崎由起子氏の4名が務めた。

審査員を務めた4名。手前から株式会社ソラシドエア 取締役副社長 兼 運送本部長 峯尾隆史氏、松井サービスコンサルティング 代表 松井拓己氏、株式会社ひこうき雲 代表取締役 古賀恵美子氏、翻訳コンシェルジュ 代表 松崎由起子氏

 印象審査は、マタニティ、高齢者、車いすが必要な人、子供連れ、外国語(英語)話者といったさまざまな旅客の対応や、整備や台風による出発遅延とその到着地での対応についての案内など、21名それぞれが異なるシチュエーションで対応。途中、スーツケースの取っ手が壊れるというリアルなイレギュラーもあったが、緊張した表情を見せつついずれのスタッフもスムーズに対応していた。

 羽田空港スタッフは、野邊氏がマタニティ旅客、瀬尾氏がアシスタント希望旅客、市川氏が車いすが必要な旅客、竹内氏が英語対応と、こちらもすべて異なるシチュエーションが充てられた。

野邊ちさと氏
瀬尾槙人氏
市川玲奈氏
竹内ひとみ氏

 続いて行なわれたアナウンス審査は、「事前改札開始」「呼び出し」「最終出発準備中」の3種類から出場者が選んで、日本語と英語でのアナウンスを行なうもの。出発地や便名などは異なるが、内容は似通っており、各出場者の個性がより濃く出る実技となった。

野邊ちさと氏
瀬尾槙人氏
市川玲奈氏
竹内ひとみ氏

 コンテストは途中に休憩をはさみつつ3時間半にわたって行なわれた。結果、グランプリは羽田空港の瀬尾槙人氏が獲得。発表の瞬間、戸惑いと喜びがない交ぜになったような表情を見せた瀬尾氏に、ともに出場した羽田空港のほかのスタッフも祝福。松井サービスコンサルティングの松井拓己氏から賞状、クリスタルトロフィー、ピンバッジのほか、「琉球時代から継承されるおもてなしの心と、そのブランドの伝統的なサービスを肌で感じていただき、サービス品質のさらなる向上に役立ててもらいたい」との狙いで、副賞としてザ・リッツ・カールトン沖縄のペア宿泊券が贈られた。

グランプリを獲得した羽田空港の瀬尾槙人氏。同じ羽田空港からの出場者も祝福

 その後、審査員の松井氏が講評。「ずっとソラシドエアらしさとはなにかという議論をさせていただいていた。答は見えかけているがはっきりしていない。でも瀬尾さんのご対応を見ていたら“これか!”と。言葉で説明できないが“これなんだ!”と、なんとなく確信を得られたと思う。皆さんにとってのソラシドエアらしさとはなにかを、皆さんで作っていただくよい機会になったのではないかと思う」と、瀬尾氏の対応を評価した。

 また、サービスの専門家として、「サービス」についての考えを紹介。「サービスの価値は、なにをやるかではなく、どういう事前期待に応えるかで決まると定義している。今回出場された皆さんから学べることはたくさんあると思うが、私はぜひ、皆さんがなにをやったかではなく、どういう事前期待を捉えたかを紐解いていただきたい。その期待を捉えられれば、あとは皆さんの経験値で存分に応えられると思う」と話し、「ソラシドエアらしさとは、どのような事前期待に応えるものなのか」と問いかけた。

 さらに、サービスについて深掘りし、「サービスはお客さまと一緒に作るものという極めて重要な特徴がある。こちらが勝手に作って提供しても、期待を捉えていなければサービスとは呼ばれない。お客さまと一緒に作るというスタンスで、ソラシドエアらしいサービスをこれからも磨いていただければ。ソラシドエアは、空から笑顔の種をまくという素敵なメッセージがある。第1回目のコンテストは、皆さんにとってなんらかの種になったのではないか。仕事をしている場所(空港)は違えど、同じソラシドエアの仲間として、第1回目のコンテストでまかれた種を皆さんらしい花として育てる、そんなきっかけにしていただけばと思うので、さらに第2回、第3回といろんな花を咲かせていただければと思う」と、ソラシドエアのサービス向上への期待の言葉を送った。

講評を述べる松井サービスコンサルティング 代表 松井拓己氏
喜びの言葉を語る瀬尾槙人氏

 一方の瀬尾氏は、「本当に素晴らしいスキルを持った方々が集まったなかで、このような賞をいただけて本当に光栄。厳しい戦いになることが予想されていたので、東京空港支店の皆さんに貴重な時間を割いてもらって、オール東京空港支店、オール羽田で臨んだ。第1回目に東京空港支店から1人でも賞を取れればと思っているなかで、まさか自分がグランプリを取れるとは思っていなかったので、ほっとしていると同時にびっくりしているが、この賞を励みにまた頑張っていきたい」と喜びの言葉を述べた。

グランプリの瀬尾さんに贈られたクリスタルトロフィー
入賞者に贈られた「Seed Smile KD」の認定を示すピンバッチ
グランプリの瀬尾槙人氏(中央)と、株式会社ソラシドエア 代表取締役社長 髙橋宏輔氏(左)、グランプリのプレゼンターを務めた松井サービスコンサルティング 代表 松井拓己氏(右)

 最後に、審査員も務めた同社 取締役副社長 兼 運送本部長の峯尾隆史氏が閉会のあいさつを行なった。「一番うれしかったのは全空港が参加したこと。全空港から集まれるとは思っていなかった。そのなかで名誉ある初代グランプリはまさか羽田空港から選ばれるとは思わなかった。本当に瀬尾さんがあのようなサービスをしているか、今度一度見に行く」と笑わせ、「審査員は本当に苦しんだが、グランプリは満場一致で決まった。そのほかの出場者も、こんな緊張する場のなかで、いろいろなシチュエーション、へんてこなお客さん役に惑わされずに、日ごろからの対応がよく分かった」と評価。加えて「難しいシチュエーション、イレギュラーやトラブル対応は、実はベテランの方にあえてそのようなシーンを充てた。本当にこうやってイレギュラー、トラブルに対応していただいているということを本当に感謝するとともに、日ごろ絶対イレギュラー、トラブルを起こしてはいけないと責任者として感じた」と評した。

 そして、コンテストを通じて「“空から笑顔の種をまくってなんだろう”ということをいま考えている。お客さまの心につながることには無限の可能性がある。生涯ずっとつながっていける無限の可能性がある。日ごろからお客さまの心に触れることを誇りに思って、ソラシドエアとしてお客さまに感じていただけるようなサービスをしていきたい」との考えを出場者や来場者に示して、コンテストの幕を閉めた。

株式会社ソラシドエア 取締役副社長 兼 運送本部長 峯尾隆史氏

 今回、グランプリスタッフを輩出することになった東京空港支店長のパティ明美氏は、「レベルが高くてびっくりした」と出場者を評価し、「本当に第1回目でみんながすごく練習していた。出場者以外も協力して、いろいろなシチュエーションを練習した。彼も言っていたが、オール羽田で臨んだので喜びもひとしお」とのコメント。

 瀬尾氏は2017年入社と、4名のスタッフのなかでもっとも経験が短いスタッフとなるが、「自分からチャレンジしたいと名乗り出た」と明かし、「これまでの(東京空港支店スタッフの)苦労を知っているので誰が取ってもうれしかったが、まさか彼がグランプリを取るとは(笑)。彼が一番伸びしろがあったということ。今回のコンテストで急成長したと思う」と喜びを表わした。

 また、中期経営計画で示されている国際線定期便運航に向けてチャーター便運航などを重ねる同社だが、そのための取り組みについて「チャーター便が運航される際には必ずスタッフに体験させている。コンテストで英語対応した竹内にはチャーター便を体験してもらったが、スタッフには必ず現地に行ってもらっている。最近は訪日のお客さまも多いので、語学力向上のために毎日みんなでワンフレーズ覚えようと勉強したり、竹内が月に1回、語学勉強のための動画を配信したりして、まずは全員が英語をきっちり話せるようになろうとしており、語学力は向上してきている」と紹介した。

自らも「HND」のうちわを掲げて出場者に声援を送った、株式会社ソラシドエア 運送本部 運送企画部 東京空港支店長 パティ明美氏(中央)

 瀬尾氏はコンテスト後にインタビューに応じ、「各空港から接客のプロが集まるなかで、このような勝をいただけたことは本当に光栄でうれしい」と改めて喜びを語り、「ロールプレイに向けて、それぞれ現場の仕事があるなか、業務終了後や業務の合間にお客さま役になってもらって練習した。今日の応援もすごかった。(グランプリを取れたのは)みんなのおかげだと思っている」と、東京空港支店スタッフへの感謝を示した。

 また、ほかの出場者から学べたことや見習いたいと思った点を尋ねると、「丁寧に優しく接客するということを心がけているが、イレギュラー対応のロールプレイを見ると、持ち込み禁止品や締め切り時刻など、駄目なことは駄目としっかり伝えるのは、空港の地上係員として必要なこと。自分はそのようなテーマではなかったが、(イレギュラーなどに)しっかり対応しているのを見ると、そうした点をちゃんと伝えないと飛行機の定時出発率は上がっていかないと感じた」との感想を話し、「定刻で飛行機を出発させることを目標にしているが、それだけではお客さまに寄り添った対応ができず、機械的な対応になってしまう。時間どおりの出発という基本的な意識のなかで、できるだけお客さまに寄り添った対応をしていくことを意識している」と話した。