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NEXCO東日本、後志自動車道 余市IC~小樽JCTがついに開通! 「観光振興や海の幸、山の幸の輸送品質の向上に期待」と小畠社長

2018年12月8日 開通

後志自動車道 余市IC~小樽JCT間が12月8日15時に開通した

 NEXCO東日本(東日本高速道路)北海道支社は、後志自動車道(E5A)余市IC(インターチェンジ)~小樽JCT(ジャンクション)間を12月8日15時に開通した。

 今回開通した区間は23.3kmの暫定2車線の高速道路で、小樽JCTが札樽自動車道の朝里ICから札幌方向へ約1.6kmの位置で接続しており、今まで札幌中心部から余市町までの所要時間が約74分かかっていたところが約55分と、約19分短縮できるようになった。その現場の様子は以前本誌でもお伝えしたとおり(関連記事「NEXCO東日本、開通前の『後志自動車道』を報道公開。札幌~小樽~余市が高速道路で接続」)。

余市町中央公民館で開催された開通式典

 開通日の午前中には、関係者を招いて式典を開催した。開通式に登壇したNEXCO東日本 代表取締役社長の小畠徹氏は、「後志自動車道、余市ICから小樽JCT間の23.3kmが平成23年度の工事着手以来、地元の皆さまのご期待に応えるべく、工事を鋭意進めて参りまして、本日無事開通を迎える運びとなりました」とあいさつ。

「本日の開通はさらなる観光の振興や沿線地域から出荷される山の幸、海の幸の輸送品質の向上などにより、地域経済の発展に大いに寄与できるものではないかと考えております。また、今回の開通区間は、国道5号線の代替路としての機能や津波災害時の広域避難路や緊急輸送路としての機能、さらには有珠山や樽前山の噴火災害時における道央圏と道南圏を結ぶ広域的な代替路や、避難路としての機能が期待されます。

 ほかにも開通に伴い、緊急輸送時間の短縮が図られることにより、地域医療体制が強化され、地域の安全安心な暮らしに大きく貢献することができると考えております」として、待望の開通であることをアピールした。

東日本高速道路株式会社 代表取締役社長 小畠徹氏

 来賓の祝辞では、北海道知事の高橋はるみ氏が壇上に立ち、「今日は私たちの待ちに待った小樽JCTから余市ICまでの開通です。それぞれの町、市が持っている観光資源をさらに活用して、この道路の開通によって私たちの観光振興がさらに進むことを大いに期待をするところでございます」とコメントしたのち、北海道が9月6日に起きた胆振東部地震を経験したことを挙げ、「そういったときにこの道路が災害時における代替道としての役割を期待される」と述べた。

北海道知事 高橋はるみ氏

 このほか、衆議院議員の中村裕之氏、佐藤英道氏、本多平直氏らが次々に登壇。最後に、出席を予定していた国土交通大臣 石井啓一氏の代理として、国土交通省 道路局高速道路課長 山本巧氏が大臣から預かったメッセージを代読。

「同地域において本日の高速道路の開通が地域の経済活動を活発にし、皆さまの生活により一層豊かさをもたらすものと確信しております。倶知安ICから共和IC間につきましては去る11月23日に着工式を行なったところであり、共和ICから余市ICの間と合わせて地域のご協力もいただきながら、早期開通に向けて取り組んでまいります」と、今後の余市ICからの延伸について言及した。

 5名の祝辞は、いずれも今回の開通により海産物・農産物の輸送効率化、観光活性化の可能性、そして「命の道」として救急搬送の時間が短縮されたことを喜ばしく思うとするものだった。

衆議院議員 中村裕之氏は、今回開通した後志自動車道を「平成の次の新しい時代に後志地域、自治体、産業が発展するための大きな“ツール”」と表現
衆議院議員 佐藤英道氏は「後志はなんといっても来年は観光大臣会合が行なわれる地域で、今まさに北海道のなかでも最も注目されている地域の一つ」とあいさつ
衆議院議員 本多平直氏は「高速道路は命の道」として、「本当にいざというとき、自分の家族が小樽や札幌の病院に1秒でも1分でも早く運んでもらえる」と述べた
国土交通省 道路局高速道路課長 山本巧氏

 来賓紹介などののち、今回開通した余市IC~小樽JCT間の事業報告がスライドで紹介され、式典の最後には鋏入れ式とくす玉開披を実施。関係者や来賓に加えて、小樽や余市の地元小学生4名らも参加。テープカットとともにくす玉が開き、「祝 開通」と書かれた垂れ幕が登場し、会場からは拍手が湧いた。

スライドでの事業報告
代表的な工事としては区間内最長となる天狗山が2016年に貫通
開通により期待される効果としては多くの観光地を有する後志地域において新千歳空港や札幌都心からのアクセス向上が期待
救急救命医療を担う3次医療施設への搬送時間が短縮され、周辺市町村のおよそ6000人が60分圏内に加わる
ウニなど鮮度が重要な水産品やブドウなど新鮮な農産品の輸送において迅速性や定時制が向上し安定的な輸送に期待が寄せられている
鋏入れ式ではテープカットとともにくす玉開披が行なわれた

雪の舞うなかついに開通。マスコットキャラクターが車列を見送る

 11時58分からは、営業開始前の余市本線料金所から小樽塩谷ICまでを北海道警察本部交通部 高速道路交通警察隊のパトカーを先頭に、余市の企業の車両4台と余市消防署の消防車、開通式典参列者の乗る乗用車やバスなど約30台が「通り初め」を実施した。

 雪の降るなか、NEXCO東日本マナーキャラクター「マナーティ」、小樽市のマスコットキャラクター「おたる運がっぱ」、余市町の「ソーラン武士」とともに、NEXCO東日本関係者が小樽塩谷へ向かう車列を手を振って見送った。

通り初め会場となった余市本線料金所
先頭を走るのは北海道警察本部交通部 高速道路交通警察隊のパトカー
地元、有限会社柿崎商店の水産物輸送トラック
丸一輸送株式会社のワイン醸造用ぶどうなど農産品輸送トラック
株式会社余市自動車工業の観光バス
余市消防署の消防車
ニッカウヰスキー株式会社の営業車
通り初めに参加した車両約30台を、NEXCO東日本関係者とマナーティ、おたる運がっぱ、ソーラン武士が手を振って見送る

 15時に開通する後志自動車道の余市本線料金所前には、11月30日から事前受付をし、先着順で選ばれた20台が次々と集合。開通の30分ほど前に行なったセレモニーでは、開通第1号車のドライバーに証明書と記念品と花束が、開通第2~5号車のドライバーに証明書と記念品がそれぞれ手渡され、記念撮影を行なった。

 15時ちょうどに余市本線料金所が開通すると、開通第1号車から順に20台が料金所を通過。続いて高速道路の開通を待ちわびた一般車両が次々と料金所を訪れ、完成したばかりの後志自動車道へと乗り入れていった。

11月30日に事前受付をした開通第1号車~第5号車
同じく事前受付した開通第6号車からの車列が開通の時を待つ
セレモニーでは開通第1号車のドライバーには証明書と記念品と花束を贈呈
開通第2~5号車のドライバーには証明書と記念品を贈呈
余市本線料金所前で記念撮影
15時00分に余市本線料金所が開通。開通第1号車から順にスタート
開通第2号車
開通第3号車と開通第4号車
開通第5号車
そのあとも次々とクルマが余市本線料金所を通過
拍手で通行客を見送るNEXCO東日本関係者たち