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ジェットスター、2020年にエアバス A321LR導入で中距離国際線参入へ。「飛べるところは就航候補地」と片岡社長

2018年11月27日 実施

ジェットスター・ジャパンは2020年までにエアバス A321LR型機を3機導入することを発表した。右はジェットスター・ジャパン株式会社 代表取締役社長 片岡優氏、左はエアバス・ジャパン 代表取締役社長 ステファン・ジヌー氏

 ジェットスター・ジャパンは11月27日、都内で事業戦略説明会を開き、そのなかで2020年までにエアバス A321LR型機を3機導入することを明らかにした。

 会見では、代表取締役社長の片岡優氏が2004年の初就航から今までを振り返り、2018年11月現在のネットワークは国内19路線・国際9路線を構築、機材面では10月に24機目のエアバス A320ceo型機の運航を開始しており、「創業時に目標としていた」という24機体制に到達したことを説明。これは、国内LCCでは最大規模になる。国内線について言えば、1日最大130便を運航しており、旅客数は約504万人(2017年度)。国内LCCシェア(旅客キロベース)の51%を占めている。

 直近では12月19日に成田~高知線と関空~高知線、2019年3月30日に成田~下地島線の就航を控えており、初就航からの累積旅客数は2700万人以上。2016年6月期以降、3期連続で増収増益を達成している。

ジェットスター・ジャパン株式会社 代表取締役社長 片岡優氏
LCCにけん引されてフルサービスキャリアの需要も伸長
次の成長に向けてより航続距離の長いA321LR型機を導入する

 同社が就航する以前は、LCCによって既存のフルサービスキャリアとのカニバリゼーション(共食い)が起こり、市場が縮小するのではと懸念されたこともあった。片岡氏は、2011年度から2017年度までの成田~新千歳(札幌)線や成田~福岡線などの旅客推移グラフを示し、結果的にLCCは順調に成長し、既存のフルサービスキャリアもLCC需要にけん引される形で伸びているとして、「LCCは国内で認知され、根付いた」とまとめた。

 こうした背景を踏まえて、「次の成長ステージに向けて2020年からエアバス A321LR型機を順次導入」するという。現行のA320ceo型機の180席に対してA321LR型機は最大244席と3割以上の増席が可能で、航続距離は約7400kmまで伸びるためインドやオーストラリアまで到達できる。燃費は20%削減、静粛性も高まるという。

 2020年時点で「まず3機」としたが、A320ceo型機はもうじき製造が終了するため、2019年に25機目を導入したあとは、「A320neo型機かA321LR型機を検討することになるだろう」という。また、A321LR型機の詳細な導入時期については、「できればオリンピックより前に」と表現した。シートについては、2クラス制にするかなど含め、どんな構成にするか検討中とのこと。

 25機目のA320neo型機と3機のA321LR型機を加えた28機体制となる2020年以降について、まずはA321LR型機を既存の国内線・国際線の供給量拡大に対応するために使用するという。なお、「東南アジアなど中距離国際線の参入を本格検討する」としながらも、実際の就航地については「A321LR型機の飛べるところがすべて候補地」として明言を避けた。

A321LR型機を2020年に導入

 一方で、既存のA320ceo型機では「新たなローカル路線を開拓」するとして、九州・四国路線網の拡充や沖縄における純粋なレジャー路線の開拓、東北地方への進出などを検討しているという。東北については山形県の庄内空港での展開を「積極的に検討している」と具体的な名称も挙がった。

 このほか、成田、関空、セントレアに次ぐ4番目の拠点空港を検討していることや、空港でのセルフサービス化の促進として、現在のモバイル搭乗券に加えてセルフバゲージドロップの導入を考えていることを説明した。

今後の国際的なイベントと空港環境の変化
新たな国内線も開拓する
エアバス・ジャパン 代表取締役社長 ステファン・ジヌー氏

 会見にはエアバス・ジャパン 代表取締役社長のステファン・ジヌー氏も登壇。「ジェットスター・ジャパンにはA320を主力機として24機も使ってもらっている。日本の厳しいLCC市場でジェットスター・ジャパンの成長に寄与できたことをうれしく思う。A321LRはオーストラリアやインドまで飛ぶことができるうえ、20%の燃費削減でLCCの強い味方になる。すべてのA320ファミリーに共通することだが、エコノミークラスの座席幅は競合より1インチ広い18インチある。つまり、エアラインには運航コストの低減、旅客には快適な居住性を提供する」として、A320シリーズの発注と運用に感謝を述べた。