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富山県と関電、黒部ダムと黒部峡谷を結ぶ「黒部ルート」の一般開放に合意。旅行商品化に向け協定締結

一般開放までの間の公募見学会には土・日曜/祝日を設定

2018年10月17日 発表

富山県と関西電力が「黒部ルート」の一般開放・旅行商品化に関する協定を締結した(画像は富山県「黒部ルート見学会の一般開放・旅行商品化プロジェクトについて」より)

 富山県と関西電力は10月17日、関電が保有する「黒部ルートの一般開放・旅行商品化に関する協定」を締結したことを発表した。5年を目処とする安全工事実施後に、一般開放・旅行商品化を開始するもの。

 黒部ダムと黒部峡谷の欅平を結ぶ関電専用軌道である通称「黒部ルート」は、黒部川第三発電所、同第四発電所の工事用軌道として整備したもの。安全上の問題などから一般開放はされておらず、富山県と関電が1996年から1000名規模、1998年から2000名規模の公募見学会を実施するなど、見学機会が限られていた。

 富山県では「立山黒部」を世界的ブランドにする取り組みとして、「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」を設置。ここに関電が参加することで、黒部ルートの一般開放と旅行商品化について協議を進めてきた。今般、その協議が合意に達したことから協定を締結。両者で一般開放・旅行商品化に向けて協力していくことを決定した。

 協定では、富山県側が旅行商品の企画および運営に関する事項について責任を有する一方、安全確保などの黒部ルートの通行についての責任は関電が有する。関電は黒部ルートの施設や設備に関する調査を行ない、5年間を目処に安全対策工事を実施。工事終了後に一般開放・旅行商品化を開始する。

 旅行商品の規模、原則として6月~10月に8000人とするが、天候などの条件が整った年は最大で年間1万人の範囲内で設定する。

 一方、これまで実施してきた公募見学会は一般開放・旅行商品化が開始に伴って廃止。一般開放・旅行商品化の開始までの間は、見学会の実施日程に土・日曜/祝日を設定することとし、2019年度については7月~9月の土・日曜/祝日の4日間において実施。2020年度以降は両者協議のうえ関電が決定する。

黒部ダム

 これまでの黒部アルペンルートでは立山エリアから黒部ダムを経て、長野県の扇沢へ抜けるルートとなっていたが、黒部ルートが開通することで、黒部ダムから黒部峡谷などへ直接移動し、黒部峡谷鉄道へ乗って宇奈月温泉へ向かうなど、立山エリアと黒部エリアを周遊する観光ルートを実現できるようになる。