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沖縄観光コンベンションビューロー、賛助会員向けに2018年度事業説明会を開催

2018年6月6日 実施

OCVBは賛助会員向けに2018年度の事業説明会を開催した

 OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は6月6日、賛助会員向けに2018年度の事業説明会を開催した。平良朝敬会長のあいさつに続き、各事業部より今年度の活動予定が発表された。

 平良会長からは、2017年度の決算報告(関連記事「沖縄観光コンベンションビューロー、定時理事会で平成29年度(2017年度)事業報告や決算報告など発表」)が述べられ、入域観光客数が2017年度は957万人を超え、今年度の入域観光客数の目標が1000万人に据えられたことが発表された。うち、国内客が700万人で101.6%、外国客が300万人で111.4%と見込んでいる。特に台湾からの入域客数目標を98万8100人としており、100万人市場になってきたことが明るい話題として告げられた。

一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 会長 平良朝敬氏

 一方で、済州島の入域観光客数が2018年には1500万人に届く勢いであり、2008年には沖縄とほぼ同数だったのがこの10年で3割も引き離されている現状を紹介。もっと沖縄の魅力作りが必要だと述べた。そのなかで注力していきたい事業の1つが、北部観光振興プロジェクトであると強調した。

 那覇から北部への高速艇の運航、北部観光ロープウェイ、海中展望塔のリニューアルを3本柱に、北部滞在日数を延ばしたい旨が述べられた。ハワイと比べ沖縄観光は滞在日数が1/3、消費金額が1/3以下であることからも、滞在日数と消費金額を増やすことが課題であるとも語った。最後に、台湾への義援金協力の呼びかけに賛同してもらったことへの謝辞を述べ、あいさつを結んだ。

北部観光振興プロジェクトの概要を説明する平良氏

総務部 総務・経理課

 総務部経理課では、OCVB全般の組織運営、財産管理、理事会・評議員会の開催、賛助会員への情報提供、広報などの業務を行なっている。そのなかで、広報とミス沖縄の活動について報告した。

 広報の役割としては、OCVBの事業情報を発信することで観光事業の必要性などを県民や観光事業者などに理解してもらうこと、また観光客向けに情報発信を行ない、沖縄観光の満足度を高めることで沖縄観光の発展に寄与することが挙げられた。

 沖縄観光情報Webサイト「おきなわ物語」では、計画段階から沖縄旅行を楽しめるような構成にしている。同サイト内ではテナント登録が無料で行なえ、「スポット・サービス」「グルメ」「宿泊」「交通アクセス」などのカテゴリーで登録することができると紹介。また、バナー広告(有料)には賛助会員割引もあることが紹介された。

 OCVB公式Webサイトでは賛助会員同士のビジネスマッチングの仕組みも作られており、会員同士で直接コンタクトが取れることが紹介された。これは賛助会員のみ利用できる機能である。

総務部 総務・経理課課長の奥原吉雄氏

 続いてミス沖縄からも活動報告があった。ミス沖縄2018スカイブルーの山城美希さんとコバルトブルーの宮平かなさんが登壇。これまでの活動を写真とともに紹介した。

 年間延べ約600日にものぼる県内外での活動で幅広い層へ沖縄の魅力を発信しており、公式Facebookなどで日々の情報発信も行なっている。年間500時間以上の研修により、マナーはもちろん、沖縄の自然や文化も学んでいることが紹介された。

ミス沖縄2018スカイブルーの山城美希さん(左)とコバルトブルーの宮平かなさん(右)

 ミス沖縄事業部では「ミス沖縄OG会」を発足し、ミス沖縄OGの講師陣による講習、研修を行なっていることも紹介された。ビジネスマナーと精神面の両面から成長を促す研修内容となっている。また、11月3日には「ミス沖縄2019」の選出大会が行なわれることも発表された。会場は沖縄空手会館。年末には「ミス沖縄特別番組」も放映されるとのこと。

企画・施設事業部 企画課

 企画・施設事業部は、企画課および沖縄空手会館管理事務所、旧海軍司令部壕事務所、沖縄コンベンションセンター、ブセナ海中公園事務所の各施設から構成されている。

 企画課では次の6つの事業を展開。「沖縄県観光産業実態調査事業」では、観光関連事業者を対象としたアンケートやヒアリングにより、観光産業の現状と課題を把握し施策提案を行なっている。賛助会員約200社へ、半期ごと年2回のアンケートおよびヒアリング調査を実施することが発表された。

「観光危機管理支援対策事業」では、観光危機管理セミナー、フォーラムを開催しているほか、12月には観光危機管理体制運用図上訓練が開催されるとのこと。

「北部観光振興プロジェクト」は平良会長からのあいさつにもあったもので、2017年2月にOCVBより内閣府へ提案された7項目のうち、北部観光振興に関する3項目をプロジェクトとして始動させているもので、関係団体と協力しながら進められている。沖縄県北部に広がるやんばるの自然を眼下に見ることができるロープウェイの設置、海洋観光資源を最大限に活かすためのブセナ海中公園展望塔のリニューアル、那覇から北部へ1時間以内で移動させる高速艇の運航の3項目について、それぞれ委員会を設置し議論を重ねているとのこと。

「ちゅらチャリ」は、2017年度に那覇市内で実証実験を行なったサイクリングシェアサービスで、今年度は中部エリアで実施。沖縄での新しい移動手段として普及させていきたいとのこと。

「OCVB自主事業の実施・運営」では、「夏休みこども自由研究」「沖縄旅フェスタ」などのイベントを、2017年に引き続き開催を決定している。

「キャラクターを活用した土産品開発」は、沖縄観光PR大使キャラクターの花笠マハエ、マハ朗を活用した土産品の開発を今後さらに拡大していきたいとの旨が述べられた。県内企業とのタイアップによる商品展開を想定しているとのこと。

 OCVBが管理運営する各施設の紹介では、観光推進母体としての安定的な自主財源を確保し、収益を公共事業へ還元することを事業目的としていることが述べられた。今後は、各施設の運営の効率化、セールスの拡大、また自主事業の拡大やバージョンアップに取り組んでいくとのこと。

企画・施設事業部 企画課課長の玉城信治氏

誘客事業部 国内プロモーション課

 国内プロモーション課では、次の4チームに分かれて国内旅客700万人達成に向けて取り組んでいる。

「国内需要安定化事業」は、国内路線強化事業として国内を東日本/西日本/中部/九州の4エリアに分けてプロモーションを展開している。現在、季節便を合わせて最大25路線が運航しているが、ロードファクターは80%であり新規路線を獲得する余裕が限られているため、曜日や時間をずらして半日早く入る、または半日遅く入っても楽しめる沖縄を「OKINAWA Day 0(ゼロ)」と名付けてプロモーションを強化している。

 新規需要創出事業として、海外からのトランジット客へのアプローチを強化していくとのこと。さらに、世界自然遺産プロモーション事業として、鹿児島県、奄美関係者と連携して今後2年間の計画を練り直しているとのこと。

「離島観光活性化促進事業」では、八重山/宮古/久米島に加えて15の周辺離島のプロモーションを強化している。各地の観光協会などと連携し、ツール作成やイベント出展などを行なっているとのこと。

「教育旅行推進強化事業」では、説明会を拡大させた「沖縄修学旅行フェア」を東京や大阪で行なうほか、他地域でも説明会を開く。また、台湾/香港/タイなどの海外からの修学旅行も増えており、沖縄の子供たちとの交流を求めている学校に対し、コーディネイトを行なっている。

「カップルアニバーサリーツーリズム拡大事業」は、2016年度までリゾートウェディングのプロモーションを展開していたが、さらにターゲットを拡大し、プロポーズ旅行や、バウ・リニューアル(結婚式を挙げなかったカップルや、金婚式などを迎えるシニアカップルなどの記念旅行)などのプロモーションも行なっていくとのこと。2017年度の実績は1万7288組であり、今年度の目標を1万8000組としている。

誘客事業部 国内プロモーション課課長の金城孝氏

誘客事業部 海外プロモーション課

 海外からの誘客目標は300万人であり、クルーズ船の寄港回数や航空路線の増便が見込まれる台湾や、直行便が就航したタイ、シンガポールを特に強化していくとのこと。また、ドイツ/オーストラリア/シンガポール/タイを国際旅客ハブ構想のターゲット地域としている。国際旅客ハブ構想とは2017年度末に県が発表したもので、主要観光地として沖縄の認知度を上げ、欧州から訪れる観光客が日本やアジアを訪れる際の玄関口として那覇空港のハブ機能の充実させ、2020年までに欧州からの直行便運航を目指すもの。

 重点市場である台湾/韓国/中国/香港については、量から質への転換を目指す。特にSIT(Special Interest Tour=イベントの参加など特別な目的を持ったツアー)商品の充実を、各地域と連携して図っていきたいとのこと。

 戦略開拓市場として、シンガポール/タイ/マレーシア/インドネシアなどの東南アジア地域は、定期便の安定化やチャーター便、トランジットの促進を図るため、SNSなどを活用し沖縄の魅力を発信していくとのこと。新規開拓市場には、欧米/オーストラリア/ロシアなどが挙げられ、航空会社との連携プロモーションを行ない、認知度向上を目指す。

 クルーズについては、2017年末に沖縄県が発表した東南アジアクルーズ旅行の拡充を目指す「東洋のカリブ構想」にのっとり、クルーズ商談会、受け入れ体制の強化・整備などを行なっていく。クルーズでの観光客数の目標値は160万人としている。

誘客事業部 海外プロモーション課課長の平川美由紀氏

受入事業部 受入推進課

 国内・海外観光客の受入対策、体制強化を図るほか、観光人材の育成を行なうためのセミナーやイベントを開催している。7月にはインバウンド連絡会、セミナーを開催。その後もキャッシュレスセミナーや海外事務所との相談会なども予定している。

 人材育成関連事業では、外国語のできる人材を採用するための海外就職相談会を開催している。県内の外国語対応の満足度は低く、外国語のできる人材の確保、あるいは日本語のできる外国人スタッフのニーズが高まっている。今年度は台湾/韓国/東京にて海外就職相談会を開催。東京は在日外国人をターゲットとしている。2017年度は韓国/台湾/中国/東京で開催し、30名近くの採用が決まったとのこと。

 ほか、観光産業中核人材リーダー育成セミナーや「ウェルカムんちゅカンパニー」の募集、社内研修の派遣講師活用支援、外国人観光客受入のための翻訳支援などを行なっている。制作物としては、「沖縄観光安心安全ガイド」「台風対策マニュアル」、外国人観光客向けの「沖縄観光マナーブック」「外国人観光客救急対応ハンドブック」などが紹介された。

 沖縄マリンレジャーセイフティービューローとの業務連携によるダイビング・ショップ認定制度「SDO(Safety Diving in Okinawa)」の運用により、安心安全なマリンレジャーの提供を図っていることも紹介した。

受入事業部 受入推進課課長の米谷保彦氏

受入事業部 受入対策課

「スポーツツーリズム」事業では、沖縄の温暖な気候を活かした県内へのスポーツ大会の参加者誘致や観光客向けのスポーツアクティビティ情報の発信など、スポーツを通じた誘客プロモーションを実施。マラソン、サイクリング、ゴルフを中心とした誘客やスポーツイベントへの出展などを行なっている。

「沖縄フィルムオフィス」は、映画やドラマなどを通じて沖縄の魅力を発信し、そのロケ地や原作地をめぐるフィルムツーリズムを推進している。Webサイトやフィルムマーケット出展などによりロケ地としての魅力を発信するほか、撮影隊の沖縄滞在によるロケ地での経済効果を高めることも目的としている。

 撮影に必要な素材を提供してくれる団体や企業の募集、映像制作者からの要望に応じて情報を提供している。またビーチや自然などロケ地をWebサイトに登録し、情報発信を行なっている。支援を行なった作品として、ハワイ国際映画祭で観客賞を受賞した「ジーマーミー豆腐」(2017年、シンガポール)、日本とベトナムの国交45周年を記念して制作された「クジラの島の忘れもの」(2018年)が紹介された。

「多言語コンタクトセンター」は、外国人観光客専用の公共サービスで、観光案内や通訳サービス、災害時の問い合わせ対応などを毎日9時から21時まで電話、Skype、メールで行なっている。対応言語は、英語/中国語/韓国語/タイ語で、外国人観光客の言語対応満足度の向上を目指している。

受入事業部 受入対策課課長の有馬壮一郎氏

受入事業部 MICE推進課

 沖縄県ではMICE振興戦略を作成しており、2016年のMICE開催による経済波及効果は252億円で、その10年後となる2026年には889億円を目指すとしている。OCVBのMICEに対する事業は誘致・広報活動、開催支援、受入体制整備、県内MICE推進体制の構築があり、誘致・広報活動では、国内外のMICEに特化した商談会の参加、海外におけるMICEセミナーの開催、MICEの開催団体やキーパーソンを招へいしての沖縄視察、県内事業者とのマッチングを行なっている。

 沖縄でMICE開催が決定した際には、会場へのミス沖縄の派遣や懇親会会場での沖縄らしいアトラクションの披露、空港での歓迎横断幕の掲出、また会場の一角に泡盛試飲コーナーを設けるなどの開催支援を行なっている。

 受入体制強化としては、ユニークベニューの開発に力を入れており、世界遺産の城跡を活用したMICEや美ら海水族館でのMICE、沖縄空手会館の活用、ガンガラーの谷など、MICE専用施設ではないがユニークベニューとして活用できる場所の開拓を進めている。

 人材育成セミナーにも注力しており、「MICE人材育成業務」を開催している。また、県内MICE推進のため、2017年は「沖縄MICEネットワーク」を設立。沖縄MICEブランディングのためのロゴマークも作成した。

 2017年の県内MICE開催数は1209件で、年々増えてはいるもののここ数年は微増状態である。その理由として、MICE施設が少なく飽和状態であること。そこで次の展開として、大型MICE施設の建設が挙げられた。MICE開催地としての沖縄の魅力を発信し、ブランド力を高めていきたいとのことだった。

受入事業部部長の玉城扇氏

経営推進室・広域連携DMO

 経営推進室の主な業務として、「広域連携DMOの推進強化業務」「OCVB News、おきなわ観光天気予報などのマーケティングリサーチ業務」「日本観光振興協会連携事業の推進」「ツーリズムEXPOジャパン2020支援業務」が挙げられた。

 DMOとしてのOCVBの機能に、「地域の稼ぐ力を引き出す」ためのマーケティング機能、「多様な関係者との関係構築」のためのマネジメント機能、「受入環境整備」のためのマネジメント機能を掲げ、沖縄県民所得の向上に貢献することを目指している。

 2017年秋から2018年春にかけて、平良会長をCEOとしてDMOの勉強会や事業の見直しを行ない、4月1日に経営推進室を新設し、新たなマネジメント機能を構築した。幅広い人脈やアイディアの具現化、データ分析能力などを有する高度専門人材の採用や人材の育成を行なっていきたいとのこと。これまで積み重ねてきた、他県にはない充実した組織のスペシャリスト機能とDMOの推進機能を掛け合わせ、沖縄における観光地域のかじ取り役を担っていく。

 4月18日に広域連携DMOの認定授与式が行なわれ、正式登録された。国の観光施策がDMOを主体としたものにシフトしており、昨年より正式認定の取り組みと並行して国の事業獲得に向けて活動してきた。具体的には、内閣府の沖縄型産業中核人材育成事業が5月16日に採択された。また、観光庁の広域周遊観光促進のための新たな観光地域支援事業に応札中であり、6月末に結果が出る見込み。

 OCVBが毎月発行している「OCVB News」は、賛助会員をはじめ沖縄に誘客している企業・団体に発送しているもので、航空実績やエリアごとのマーケット情報、2030年予測などを掲載している。47都道府県で唯一最新の月間情報を毎月掲載している媒体であることがアピールされた。

「おきなわ観光天気予報」は、県内複数のホテルからの調査データとクルーズ船の寄港動向に基づいてOCVB独自で作成したもので、入域観光客数の見込みを天気予報として発信している。対前年比106%以上を快晴、101%~106%未満を晴れなどと分かりやすく予測。6月、7月、8月はいずれも晴れと予測している。

「日本観光振興協会連携事業の推進」においては、これまで沖縄県は九州支部の一員であったが、今年4月に9番目の支部として沖縄支部が認可されたことを報告。設立を記念して、7月24日には記念シンポジウムが開催されるとのこと。また、支部設立により観光立国推進協議会への参加が認められ、沖縄の意見を全国に届けることができるようになった。

 2020年には「ツーリズムEXPOジャパン」が沖縄で開催される。JATA、日観振、JNTOとの調整役として、アイディアを提案していくとのこと。広域連携DMOとしての基礎を築き、3つの機能を高めて沖縄観光のプロフェッショナル集団として関係機関と連携して沖縄観光の持続的発展を目指すとのことであった。

経営推進室・広域連携DMO 事務局次長の市原秀彦氏

営業戦略推進室

 営業戦略推進室は、DMOを見据えた営業戦略に基づき事業を推進していくこと、またテーマ別戦略を各事業部と協同し、横断的な役割を発揮していくことを役割として今年4月に新設された。これまで、海外・国内それぞれ地域・市場ごとに分かれていた戦略を、国内・海外を統一し、レジャーやインセンティブ、コンベンションなどテーマ別戦略へ移行。そして各事業部との情報共有を図るため、戦略会議を実施している。

 役割として、各事業の効率化・効果的訴求の追求により、限られた予算内で効果的なプロモーションを実施し明確化することで、次年度以降につなげることや、各国・地域のマーケットに基づく営業戦略を設定し、集中と選択により目標とする市場の拡大を目指すこと、またマーケティングにおいて訴求ポイントを明確化することで、ターゲット層を拡大すること、専門知識の共有化により職員のプロモーションおよび誘客手法のレベルアップを図ることなどが挙げられた。

 賛助会員へは、情報を共有することにより互いに連携したプロモーションを確立。また最前線のマーケットの声や、市場動向調査によりお客さま目線に立った戦略の設定、成功例の手法の提言により誘客・誘致の成果にこだわる目標意識の向上などを目指していくとしている。

営業戦略推進室室長の内間康貴氏

県外海外事務所

 東京事務所は、東京を中心とする首都圏において沖縄をキーワードに集まる「人」「情報」「アイディア」を、沖縄や在京の関係者へつなぐことを役割としている。首都圏から沖縄への旅行マーケットは国内の誘客の50%を占めており、旅行のトレンドやニーズをいち早く東京事務所でとらえながらフィードバックしつないでいる。旅行会社向けの沖縄セミナーの開催などもしている。

 台北事務所については、近年は入域観光客数の増加やリピーター化に伴い、事務所の実施する事業も多様化している。これまでは台北中心の事業を展開してきたが、航空路線の拡充もあり台中、台南でのプロモーションも積極的に展開している。

 また、台湾から県内離島への人気も高まっていることから、情報提供も多種多様になっている。台湾からの直近5年の入域観光客数の推移は、2013年度は25万人だったのが2017年度には81万人と飛躍的に増加している。2018年度は98万8000人を目標として取り組んでいる。台湾の人口は約2400万人で、海外へ出国する旅行者は1600万人といわれている。そのなかの4人に1人が日本に来ており、沖縄には81万人が来ている。

 台湾から沖縄への航空路線は、台北/台中/高雄から那覇、台北から石垣の4路線が週91便運航している。特に高雄からは3社が運航しており、利便性が高まっている。5月にはOCVBとして初めて、台中特別支援学校と沖縄特別学校との交流授業を実施した。

 韓国事務所は、韓国メディア媒体への露出、旅行会社・航空会社・船舶会社への商品造成およびプロモーション造成の促進支援などに取り組んでいる。

 韓国からの入域観光客数は、2000年ごろは週3便しか運航されておらず年間5000人程度であった。現在は、ソウル/釜山/済州から週64便が運航しており、2017年度は初めて年間50万人台を達成した。今年度の目標は56万3000人としている。

 月別に見ると毎月ほぼ4万人程度で推移しており、比較的平準化が図られている。今後は全体の底上げを図るべく新しいコンテンツを発信していきたいとのこと。韓国の人口は約5000万人で、海外への出国旅行者は2650万人といわれている。2人に1人が出国しており、旅行ブームが続いていると言える。

 円安はもちろん、国の施策によって祝日を増やすなどの制度の見直しがあり、今年は3000万人の出国を目指すとしているそうで、特に近距離のリゾートが人気とのこと。韓国の連休には、沖縄本島や離島へのチャーター便の動きもあり、ますます需要が高まってくると期待される。

事務局長の目島憲弘氏

 最後に、OCVB推進委員会活動報告として、「麻しん感染拡大防止策にかかる国への提言」「平成29年度沖縄観光振興に関する提言書の提出について」の説明があった。

 4月26日に観光関連事業者32団体からなる沖縄観光コンベンション推進協議会の「麻しん感染拡大に伴う緊急会議」を開催。キャッチフレーズを定め、一致団結した取り組み目標を設定して国への提言書を作成、5月18日に菅内閣官房長官宛てに手交式を行なった。

 提言の内容は、「1. 日本在住者の麻しん感染リスク軽減のため、2回目の麻しんワクチン接種率の向上および取り組みの徹底」「2. 感染症の国内、地域への侵入防止対策の強化」「3. 日本の観光戦略においても感染症対策の強化」となっている。

「平成29年度沖縄観光振興に関する提言書」は、OCVB推進委員会に設置したワーキング委員会で議論された内容をとりまとめたもの。提言の内容は、「国内観光客の誘客拡大と平準化について」「人材の育成と確保について」「クルーズ寄港の増大に対応した満足度向上の取組について」「観光におけるバリアフリー(ユニバーサル)の推進について」「貸切バスやレンタカーを利用しない国内外の個人旅行(FIT)の交通の利便性向上について」「通訳案内サービスの質と量の確保について」「外国人観光客の受入、おもてなしに関する県民運動の展開について」「観光目的税の導入について」の8項目、および沖縄県地域観光協会等会議からの提言として「広域連携DMOとしての沖縄観光コンベンションビューローとの連携強化について」の全9項目を取りまとめ、4月13日に沖縄県へ手交式を行なった。

 2018年度のOCVB推進委員会では5つのワーキング委員会を設置。新規に設置された「受入対策ワーキング委員会」では、環境・景観の保全や整備について協議していくとのこと。また「琉球料理・琉球泡盛ワーキング委員会」では、沖縄独自の文化である琉球料理と琉球泡盛の世界無形文化遺産登録に向け、それを継承していくために観光分野でどのような取り組みができるかを検討していくとのこと。

企画・施設事業部部長の翁長由佳氏

 続いて、「OCVB施設事業サンクスアワード2018表彰式」が行なわれた。

 これは、OCVBが管理運営している「ブセナ海中公園事業所」「沖縄コンベンションセンター」「旧海軍司令部壕事業所」「沖縄空手会館管理事務所」の利用実績や総客数、利用にあたっての人気性・独自性をもった取組など、OCVB事業施設のイメージアップにつながる取り組みをした企業・団体・個人などを表彰するもの。

 それぞれの表彰者は、ブセナ海中公園事業所からは沖縄ツーリスト、沖縄コンベンションセンターからは国立大学法人琉球大学、旧海軍司令部壕事業所および沖縄空手会館管理事務所からは、一般社団法人沖縄海友会理事 古傳八幡流実践抜刀術 濱本傳宗主の濱本久男氏が選出された。

沖縄ツーリストへの表彰状授与
琉球大学への表彰状授与
濱本久男氏(代理人)への表彰状授与
表彰者、平良会長、各事業所所長、ミス沖縄が揃って記念撮影が行なわれた