ニュース
沖縄フィルムオフィス支援作品「Jimami Tofu(ジーマーミー豆腐)」が沖縄で特別試写会
2018年3月8日 15:49
- 2018年3月2日 実施
OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)内のフィルムコミッション「沖縄フィルムオフィス」が支援したシンガポール制作の映画「Jimami Tofu(ジーマーミー豆腐)」の特別試写会が、3月2日に那覇市で開催された。
同作品は、沖縄フィルムオフィスが沖縄でロケを行なうコンテンツに対して助成金を交付する「ロケ制作支援事業」の2016年度事業で採択、制作されたもの。企画・制作したのはシンガポールの映画制作会社「Bananamana Films」。沖縄からはG-whizの尾崎佐織氏も共同プロデューサーとして参加した。
沖縄を舞台にシンガポール人の主人公とウチナーンチュの2人のヒロインとの交流を、沖縄の「食」を通して描いたラブストーリーで、2017年ハワイ国際映画祭で観客賞を受賞。2017年11月には、シンガポール~那覇間の定期運航便が就航したことを記念してシンガポールでも上映され、好評を博した。今回の特別試写会では、日本語字幕を付けた完成版がロケ地沖縄で初お披露目となった。
脚本・監督を務め、出演もしているJason Chan(ジェイソン・チャン)氏、Christian Lee(クリスチャン・リー)氏をはじめ、ヒロイン役の山本真里氏、仲宗根梨乃氏、作中でキーマンとなる役を演じた津嘉山正種氏も駆け付けた。
121分の本編上映に続き、両監督、出演者が登壇し、舞台あいさつを行なった。リー監督は、「今日、沖縄の皆さんに見ていただけて誇らしく思う。制作から2年経つが、素敵な時間を過ごせた。ハワイ国際映画祭で観客賞をいただくことができ、今年5月のロスの映画祭にも出品することが決まった。世界のあちこちで評価されたのは、映画だけでなく沖縄が評価されたのだと思う」と述べた。
主役も務めたチャン監督は、「沖縄のキャストも素晴らしいし、沖縄の食事や景色の素晴らしい。自分たちのために作った映画。ハワイではチケットが完売し、シンガポールでも映画を見て涙してくれる人もたくさんいた。ハワイで沖縄三世の方々に見てもらえたこともうれしかった」とあいさつ。
ダンサー、振付師として活躍する仲宗根梨乃氏はこれが映画初出演。「以前から演技には興味があった。今日初めて作品全編を見て、自分のなかでまだ整理はできていないが、心が動いた。2人の監督の感性がブレンドされて、沖縄の美しさを表現してくれた」と元気いっぱいに話した。
作品中、圧倒的な存在感を示したベテラン俳優の津嘉山正種氏は、「ジーマーミー豆腐は沖縄ではそんなに人気がないのに、なぜジーマーミー? と思いながら参加した。料理の話だが、料理だけでなく愛の話になっている。多くの人に見てほしい」とユーモアを交えながら話した。
もう一人のヒロイン役を演じた山本真里氏は「私は東京出身だが、ユキ(山本氏の役名)と一緒に沖縄を勉強していった感じ。作品はシンガポールで見たのだが、時間を経て今日改めて見て、自分のことながら泣いてしまった」とあいさつした。
ところで、ジーマーミー豆腐はピーナツを原料とした豆腐で、モチモチした食感が特徴の食材。津嘉山氏は沖縄では人気がないと語ったが、とても美味しいものだし好きな人も多い。食材としていろいろな料理に使われることはなく、単体で食される箸休め、あるいはスイーツ的な存在。人気がないというより、沖縄料理としてそこまで一般的に知られていないといったところだろうか。
そんなジーマーミー豆腐をテーマにしたのはなぜかという司会者からの質問に対し、リー監督は、「まず、名前がかわいいところが気に入った。シンプルながらユニークでオリジナリティがある食材だと思った」とのことだった。
これにチャン監督が付け加えて、「(ジーマーミー豆腐の原料である)ピーナツは中国から伝わった。沖縄と中国のつながりを表わす象徴の一つだ。昔の琉球人は武器を持たず、海外と貿易をしていた。戦いは失うものがあるが、貿易はお互いに潤う。この映画をとおして、そういう沖縄の歴史を知ってもらえたらと思う」とした。
山本氏からは、「映画を見た海外の友達からも、沖縄っていいところだねと言われた。海外で和食ブームだが、沖縄の料理の魅力も伝わるといいなと思う」との思いも語られた。
最後にリー監督が「きっと皆さんお腹がすいたことでしょう。沖縄料理が食べたくなるような映画を作ったつもり。Let's go eat!」と締めくくって試写会は終了した。