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ANA、2649名の新入社員に「あんしん、あったか、あかるく元気!」の行動指針を伝えた2018年度ANAグループ合同入社式

2018年4月1日 実施

ANAグループの新入社員2649名が集まり合同入社式が行なわれた

 ANAHD(ANAホールディングス)は4月1日、ANA(全日本空輸)グループの2018年度合同入社式を実施した。会場となったANAエアフレームメンテナンスビル 東京新第2格納庫には、東京2020オリンピック・パラリンピック特別塗装機「HELLO 2020 JET」も駐機し、未来に向けたメッセージが新入社員に伝えられた。

 ANAでは2002年から格納庫での入社式を開始。2011年からは全グループの新入社員が集まる合同入社式を行なっている。2018年度のANAグループ合同入社式には、グループ36社から男性740名、女性1909名の計2649名が参加。トップアスリートの就職支援プログラム「アスナビ」を通じた社員アスリートも4名が入社している。ただし、ANAブランドを用いたグループ会社の新入社員のみであるため、LCCのピーチ(Peach Aviation)、バニラエアの新入社員は出席していない。

 壇上には、ANAHD 代表取締役社長の片野坂真哉氏、同代表取締役副社長の長峯豊之氏、ANA 代表取締役社長の平子裕志氏、同代表取締役副社長の志岐隆史氏、同代表取締役専務の清水信三氏、同取締役執行役員の山本ひとみ氏が列席。ANAHD 代表取締役社長の片野坂真哉氏の講和が行なわれた。

「HELLO 2020 JET」が駐機するなかで行なわれたANAグループ合同入社式

 片野坂氏は冒頭、「本日、この場において、深く胸に刻み込んでほしいことがある。それは、ANAグループにおいては『安全がすべて』『安全がすべて』『安全がすべて』『安全がすべて』。この一点。『安全は経営の基盤であり社会への責務である』。すべてのANAグループの役員、社員が片時も、忘れてはならない安全理念」と、「安全がすべて」を連呼。社長になって4回目の入社式であることから4回繰り返したという。

 さらに、過去の航空事故に触れたうえで、「航空機やエンジンの性能が向上し、航空機の安全性は大きく高まっているが、残念ながら航空機の事故はなくなっていない。原因のなかには、人はミスをするものであるということに起因する、いわゆるヒューマンエラーも大きな割合を占めている。だからこそ、社員一人一人が、安全を作る、お客さまの安心を生み出すことを第一に日々業務に励んでいる」とスピーチ。

 片野坂氏が入社式で航空事故の話をするのは毎年のことだが、「私を含め、現在の役職員のなかで、大きな事故を経験したものがいなくなっている。人間の鍛錬において、経験を重ねることが大切だとよくいわれるが、航空機の事故に関してはあてはまらない。私たちは、過去の事故を常に思い出し、犠牲となった方々のご冥福を祈る気持ちを全グループ社員で共有し、事故の教訓に学び、そして絶対に事故を起こさないという信念のもと、全員で努力していくべき」と語ったほか、航空機の安全運航以外でも、食の安全、預かった荷物の安全、販売する商品の安全などについても説明。

 そして、全社員が研修を受ける安全教育センターでのメッセージ「今日までの安全が明日の安全を保証するものではない。なすべくことは地道に取り組んでいく不断の努力。安全にゴールはない」という言葉を伝えた。

ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏

 続いて片野坂氏の講和は、未来の話へ移った。2月に発表した2018~2022年中期経営戦略に触れ、「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、私たちANAグループは、『お客さま満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指す』という現在の経営ビジョンを達成したのち、次なるビジョンを作り、未来へ向かう5年間の成長戦略。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港、成田空港の首都圏空港の発着枠が拡大される。私たちにとっては、大きなビジネスチャンス」と紹介。

 続けて、ANAグループ各社の概要を説明し、「ANAグループが世界のリーディングエアライングループとして飛躍していくためには、ここにいるグループ各社の仲間たちとのチームワークなしでは、実現できない」とチームの重要性を説いた。

 グループ会社についてはLCCのピーチとバニラエアにも言及。統合発表から2日後に福岡空港へのピーチ機着陸時にタイヤが破裂し空港が一時的に閉鎖になったことに触れ、「他社を含めて多くのお客さまにご心配をご迷惑をおかけする重大インシデントを発生させてしまった」と謝意の言葉を述べた。

片野坂氏の講和を聞く新入社員

 片野坂氏は、1986年の国際線就航後、さまざまな難局を乗り越えて19カ国、42都市に就航、世界第15位の年間旅客数となる航空会社に成長したことや、6年連続でスカイトラックス5スターを受賞するなど高い評価を得ていることに触れつつ、「しかしながら、今のポジションに安穏としていることは許されない。次のチャレンジは始まっている。電気自動車、自動運転、ドローン、ロボット、バーチャルリアリティ、AIにフィンテックと、続々と生まれる新しい技術によって、超スマート社会『Society5.0』という未来社会に向かっていきます。今や日本も世界も、とてつもない速さで変化し続け、新しい社会に向かっています。

 ANAグループでは、さまざまなイノベーションを活用して、新しいお客さまのニーズに合わせた商品・サービスを生み出し続けるとともに、社員一人一人が持つ能力・強みをより発揮できるような、『技術でお客さまが輝く、技術で社員が輝く』という楽しく、わくわくするようなANAグループらしさを、日本人だけでなく世界のお客さまに感じていただきたい。その思いを胸に、『安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で、夢にあふれる未来』を作っていきましょう」と喚起。

 そして、「『未来は1人では作れない。しかし、未来に向かって動くことは1人でもできる』 。今日から、ANAグループの一員として、またそれぞれの会社の一員として一緒に未来に向かって進みましょう」と呼びかけて訓辞を終えた。

平昌オリンピックにショートトラック日本代表として出場した社員アスリートの菊池悠希選手
宇宙ビジネスのアイディアコンテスト「S-Booster 2017」で大賞とスポンサー賞を受賞した松本紋子氏からのビデオメッセージ

 入社式ではその後、グループ各社の紹介ビデオや、「あんしん、あったか、あかるく元気!」をモットーに「安全」「お客さま視点」「社会への責任」「チームスピリット」「努力と挑戦」に表わされるグループの行動指針「ANA's Way」を説明。

 そうした努力と挑戦を続ける社員として、平昌オリンピックのショートトラック競技に日本代表として出場した社員アスリート、菊池悠希選手が登場。「ショートトラックは個人競技で、これまではコーチと2人で戦ってきたが、ANAグループの一員になっていこう、グループの多くの皆さんからの声援を受け、これまで以上に強い気持ちでスタートラインに立てている。平昌オリンピックに出場できたのも、目に見えない力、大きなサポートがあったからこそだと実感している。皆さんに支援していただいているぶん、私は世界のステージで努力と挑戦を体現し、そしてANAグループの一員として、最後まで諦めずに挑戦する姿を見ていただき、皆さんを元気にすることができればと思って競技に取り組んでいる」と自身のことを紹介した。

 さらに、「実は平昌オリンピックで競技は引退しようと考えていたが、実際に平昌オリンピックを経験し、『このままでは終われない。もっと高い志を持って世界に挑戦したい』と思うようになった。私の今の夢は、今年度、社員アスリートとして入社する、同じショートトラックの神長汐音さんと一緒に北京オリンピックで金メダルを獲得すること。私も皆さんと同じANAグループの社員。今後もショートトラックを通じて『あんしん、あったか、あかるく元気!』をモットーに、努力と挑戦を体現していく」と語った。

 続いては、宇宙ビジネスのアイディアコンテスト「S-Booster 2017」において大賞とスポンサー賞を受賞、司会者から「学生時代に学んだことや業務のなかで感じたことを活かしコンテストに応募。まさに『努力と挑戦』を体現している先輩社員」と紹介されたANA社員の松本紋子氏のビデオメッセージを上映。

 松本氏は「基本を基本として捉え、どうしたら改善できるかをいつも念頭に置き、自ら学び、経験することや挑戦させてもらえる環境がANAグループにはたくさんある。この環境で得たものが今の私にもつながっている。自分の存在意義を考えながら、さまざまなことに興味を持って経験し、挑戦して、一緒に頑張っていけたらうれしい」との言葉を寄せた。

 さらに、平昌パラリンピックで、アルペンスキー大回転(座位)での金メダルを始め、アルペンスキー競技で5個のメダルを獲得した村岡桃佳選手、ANA所属アスリートで平昌オリンピックではフィギュアスケートの男子シングルとして66年ぶりの2連覇を達成した羽生結弦選手からの応援メッセージもビデオ上映された。

平昌パラリンピック アルペンスキー大回転(座位)の金メダリスト村岡桃佳選手からの応援メッセージ
ANA所属アスリートで平昌オリンピック フィギュアスケート男子シングルの金メダリスト羽生結弦選手からの応援メッセージ

 代表者、先輩社員らからのメッセージを伝えられた新入社員からは、ショートトラック日本代表として平昌オリンピックにも出場し、全日空商事に入社する神長汐音氏が代表を務め、「私たちはこれまで、支えていただいた多くの方々への感謝の気持ちを胸に、社会人としての第一歩を踏み出します。そして、私たちは今日からANAグループの一員として安全、お客さま視点、社会への責任、チームスピリット、努力と挑戦を心に刻み、ANAグループにお寄せいただく信頼と期待に応えていく」「社会の発展とともに歩み、多様性を力に変えられる世界のリーティングエアライングループでの飛躍を目指し、私たちがANAグループに新しい風を運ぶ」と決意を述べた。

 入社式後には6名の新入社員が報道関係者の囲み取材に対応。

 ANAグローバルスタッフ職(事務)の元原康輔氏は「緊張や不安が大きい部分もあるが、正直楽しみ」。ANAグローバルスタッフ職(技術)の伊井武氏は「ANAグループ全社員の同期がこれだけ多く集まっていて、この一員として働くことに期待している」。

 ANA運航乗務職の岡田伸氏は「飛行機の安全運航にかける社長の熱い思いを聞いて、私もその一員として頑張っていこうと胸に語りかけられた」。ANA客室乗務職の工藤奈々美氏は「これから始まる新生活に向けて楽しみな気持ちでいっぱい」。

 ANAエキスパートスタッフ職の森本健氏は「新入社員として新たな努力と挑戦を、これからも初心を忘れずに続けていきたい」。全日空商事 専門職の神長汐音氏は「ANAグループの一員として世界で努力と挑戦を胸に働けるのを楽しみにしている」と、それぞれの今の思いを語った。

新入社員を代表して全日空商事の神長汐音氏が決意表明
各職掌を代表した新入社員。左からANAグローバルスタッフ職(事務) 元原康輔氏、ANAグローバルスタッフ職(技術) 伊井武氏、ANA運航乗務職 岡田伸氏、ANA客室乗務職 工藤奈々美氏、ANAエキスパートスタッフ職 森本健氏、全日空商事 専門職 神長汐音氏

 ANAグループの合同入社式では、毎年、配布されたマフラータオルを掲げての記念撮影が行なわれる。そこには年ごとに異なるメッセージが書かれており、今年のメッセージは「Together, nothing is impossible!!」。“チームスピリット”の大切さを伝えるものだった。