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本拠地・ジャカルタでガルーダ・インドネシア航空の運航を支える機内食工場や整備ハンガー
2018年1月6日 00:00
ガルーダ・インドネシア航空は2017年、本拠地であるジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港に開業したターミナル3(T3)の本格利用を開始。用地取得を進めている第3滑走路の供用によるキャパシティ増加なども予定されていることから、ネットワーク強化を図っている。そんなガルーダ・インドネシア航空の運航を支える関連会社の機内食工場や、2015年9月に新たにオープンした整備用格納庫「ハンガー4」などを見学した。
スカルノ・ハッタ国際空港を出発するガルーダ・インドネシア航空運航便の機内食は、グループ会社のエアロフード(Aerofood ACS)がすべて製造している。工場は空港のターミナル1にほど近い場所にあり、機内食などを飛行機へ積み込むフードローダーの駐車場は、空港の制限エリアと直結している。
エアロフードは、ガルーダ・インドネシア航空のグループ会社ではあるが、他社運航便の機内食なども製造。また、機内食だけでなく、機内誌や新聞、雑誌、ブランケットなど、さまざまなアイテムをトータルで扱い、機内への搬入までを請け負っている。ガルーダ・インドネシア航空だけで1日に約190便分に達し、全体では1カ月で約100万食の機内食を製造するという、非常に大規模な企業だ。
例えば、工場内には大量の食材が置かれているように見えたが、こちらの倉庫の食材は2~3日で使い切ってしまうそうで、もっと大きな倉庫を別の場所に用意しているという。温度管理が必要な食材は、温度別に複数用意した冷蔵庫に保管している。
キッチンは、作業上、食品の温度を下げる必要があるなどのさまざまな理由で細かく分けているほか、ハラル対応のキッチンには、それを示すパネルが掲出されていた。2018年3月には全キッチンがハラル対応になる予定だという。
工程としては、対象の航空便の出発時刻3時間前までに機内食のカートへの積み込みを終え、フードローダーへ積み込むためのエリアに準備。この際、準備が完了したものについてを管理者が確認し、シーリング(封印)するという徹底したセキュリティ体制になっている。そして、機内の備品やドリンク類など、必要なものを10分ほどでフードローダーへ積み込むという。
逆に到着機から降ろした荷物の収集も同所で行なわれる。国際線の場合は免税品の管理などもあり、例えば、開栓されたドリンクなどはすべて廃棄されるなど、ただ降ろすだけでなく細かく仕分けされている。
ちなみに、エアロフードでは、組織の品質管理に関する規格「ISO9001」、食の安全管理に関する規格「ISO22000」を取得しており、その認定マークをフードローダーにも記載。組織の健全性や、食の信頼性についてもお墨付きを得ている。
さて、外国発の日本食は、日本人としてはとくに気になるポイントになると思うが、エアロフードの日本食は日本人シェフが携わっているのは安心できる要素だ。ビジネスクラスの日本食は、見た目も味も本格的な懐石風料理となっており、器も日本食らしい雰囲気に仕上げている。
ちなみに、食器については一時期はすべて日本製を使用していたそうだが、現在はインドネシア製や中国製なども使用。基本的には、運航コスト減につながるよう、より軽量なものを選択しているそうだ。
16機の単通路機(ナローボディ機)をメンテできる最新の格納庫「ハンガー4」
続いて紹介するのは、ガルーダ・インドネシア航空の飛行機をメンテナンスするハンガー。ガルーダ・インドネシア航空機のメンテナンスは、グループ会社のGMFエアロアジア(GMF Aero Asia、GMFはガルーダ・メンテナンス・ファシリティの略)が所有する格納庫(ハンガー)で行なわれている。
GMF Aero Asiaは現在、ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港の敷地内に4個のハンガーを所有。ワイドボディ機(双通路機)の整備にも対応するハンガー1(2万2000m2)、ハンガー2(2万3000m2)、ハンガー3(2万3000m2)に続き、2015年9月にボーイング 737型機やエアバス A320型機に代表されるナローボディ機(単通路機)の整備に対応するハンガー4(6万6940m2)を開設。ハンガー4には最大16機のナローボディ機を格納できる。
LCC(格安航空会社)の増加もあって世界的に単通路機は増加する見込みで、この市場に対応したハンガー4の開設により、ガルーダ・インドネシア航空の将来の機材増に対応するだけでなく、他社からのMRO(保守・修理・点検)受託事業も強化していく方針だ。
ガルーダ・インドネシア航空のビジネスクラスを体験
最後に、ガルーダ・インドネシア航空のビジネスクラスについて触れておきたい。ガルーダ・インドネシア航空は現在、日本路線として下記4路線を運航している。羽田~ジャカルタ線と成田~デンパサール線にはボーイング 777-300ER型機、関空2路線にはエアバス A330-300型機またはA330-200型機が使われている。
羽田線と成田線は同じボーイング 777-300型機だが、羽田線はビジネスクラス26席、エコノミークラス367席の2クラス仕様機、成田線はファーストクラス8席、ビジネスクラス38席、エコノミークラス268席の3クラス仕様機を主に使用しているという違いがある。今回体験したのは、2017年夏期スケジュールで搭乗した、成田~デンパサール線の成田発、GA881便だ。
ガルーダ・インドネシア航空の日本路線(2017年冬期スケジュール)
GA875便:羽田(11時45分)発~ジャカルタ着(17時25分)、毎日運航
GA874便:ジャカルタ(23時55分)発~羽田着(翌08時50分)、毎日運航
GA881便:成田(11時00分)発~デンパサール着(17時40分)、毎日運航
GA880便:デンパサール(00時45分)発~成田着(08時40分)、毎日運航
GA889便:関空(12時00分)発~ジャカルタ(17時25分)、水・土・日曜運航
GA888便:ジャカルタ(23時25分)発~関空着(翌08時15分)、火・金・土曜運航
GA883便:関空(11時00分)発~デンパサール(17時20分)、毎日運航
GA882便:デンパサール(00時50分)発~関空着(08時30分)、毎日運航
同便に使われているボーイング 777-300ER型機のビジネスクラスは1-2-1の4アブレストで、全席が通路にアクセスしやすいレイアウト。1-2-1でもいわゆるヘリンボーンと呼ばれる座席に角度を付けたレイアウトではなく、正面を向いたレイアウトにしている。それでいてシートはフルフラットになるので、1席あたりのスペースはかなり広々としている。
シートは角度や座面の位置の自由度が高い。また、背中にあたる部分の2カ所を動作させられ、マッサージ機能も備える高機能なものだ。
また、シートベルトは3点式を採用している。ほかの航空会社でも採用例が増えてきている印象はあるが、まだまだ珍しい。個人的には腰ではなく胸をホールドしてもらえた方が安心感があり、CA(客室乗務員)の4点式シートベルトをうらやましく見ていただけに、うれしい仕様だった。
収納スペースはオットマンの下にシューズボックスがあるほか、アームレストの下にペットボトルなどを置ける。アームレストの下にあることで、フルフラットにして横になっている状態でも文庫本などを出し入れしやすいのは便利に思えた。
ユニバーサルAC電源(110V)とUSB電源も各席に装備。位置は足下で、シートベルトをしていると手が届きにくいことに注意を要する。シートに対して前面にあるので使い勝手はわるくないが、普通に座っている状態では少し距離があるので、スマホなどを充電するケーブルは2m程度のものを用意しておくことをお勧めする。
このほか、機内Wi-Fiインターネットサービスも提供している。プランは1時間、3時間、フルフライトとあり、それぞれ11.95ドル、16.95ドル、21.95ドル(約1380円、約1950円、約2530円、1ドル=約115円換算)とある。日本とインドネシアは約7~8時間のフライトになる。ちょっと使いたいだけ、というなら短時間のプランも選択肢に入るが、価格差を考えるとフルフライトプランがお得な印象を受ける。
フライト中はまずドリンクとともにアミューズが出され、そのあとに機内食が提供される。機内食は4カ月ごとに変更されるので、以下の写真は現在提供されているものではないが、和食、インドネシア料理&洋食というバリエーション。インドネシア&洋食の場合は、スープかオードブルから選択、メイン、デザートかチーズを選択、という組み合わせとなっている。
また、機内食以外にも好きなときに頼める軽食も揃っている。うどんなどの和食や、ナシゴレンなどの東南アジア料理が用意されているので、気軽にオーダーするとよいだろう。