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ANAらしいサービスを体現するCAの頂点が決定! 第5回“OMOTENASHIの達人”コンテスト
約8000名のなかから代表8名と2チーム8名がスキルを披露
2017年12月13日 14:45
- 2017年12月8日 実施
ANA(全日本空輸)は12月8日、ANA訓練センターで「ANA 第5回“OMOTENASHIの達人”コンテスト」を開催した。
このコンテストは2012年の“OMOTENASHIの達人”(ANAらしいサービスを機内で体現しているCA:客室乗務員)を投票で選出する客室センターの活動を前身に、2013年より“OMOTENASHIの達人”コンテストとしてスタートしたもの。サービス・接遇スキルを競うだけではなく、高いホスピタリティでANAらしさを体現するCAの姿を組織全体で共有し、さらにサービスの品質を磨き、同じ職場の仲間に対して興味を持ち切磋琢磨し、互いの強みを認め、支え合う文化や一体感を醸成することが目的となっている。
ビジネスクラスのフライトを完全再現。ミールの提供や会話でサービススキルを競う
英SKYTRAX(スカイトラックス)のワールド・エアライン・レーティングにおいて、5年連続で最高評価の「ファイブスター」を獲得しているANAグループ。最新機材導入とともに、利用する乗客に寄り添ったきめ細やかなサービスが世界レベルで高評価を受けている同社において、機内で利用者との接点が一番長いCAのスキルを間近で見ることができる同コンテスト。実際の機内同様に座席がずらりと並べられた会場には、出場者の応援団が集まり、緊張のなかにも温かな雰囲気が漂っていた。
冒頭の開会式では審査員を代表し、ANA 代表取締役 副社長執行役員 志岐隆史氏が「サービスがデジタル化していくなかで、実際にお客さまとの接点があるテレマート、空港カウンターなどをはじめ、機内はとても貴重で大切な時間です。サービスはさまざまな方法があり、変化球も含めていろいろやりようがあります。8000名で醸し出す雰囲気はそれだけで財産になっていると感じていますし、同時に8000通りのサービスがあるのです。出場者をはじめ、皆さんが自分自身の持ち味を大事にしていただけたらと思います」と挨拶。
今回審査を行なうのは役員やゲスト審査員を含めて26名。招待審査員は以下のとおり。
招待審査員(チーム・個人部門を審査)
・代表取締役 副社長 執行役員 志岐 隆史氏
・取締役 常務執行役員 藤村修一氏
・取締役 常務執行役員 満倉達彦氏
・取締役 執行役員 伊東裕氏
・取締役 執行役員 髙田直人氏
・取締役 執行役員 山本ひとみ氏
今回の審査は、羽田発ニューヨーク行きのビジネスクラスのミールサービスとドリンクサービスを想定。各チーム13名の乗客を担当し、制限時間は90分。スムーズな食事の提供とともに、コミュニケーション力やチームワーク、ANAが目指すブランドイメージを体現しているかなど多角的に審査を行なう。なお、着席中の審査員とともに、客室訓練部のサービスインストラクターも同時に審査を行なっている。
出場者の入場ではドライアイスを使った自家製スモークで歓迎。白い煙がもうもうと上がるなか笑顔で予選出場の20チームのなかから選ばれた上位2チーム8名が会場へ。決勝は乗務第2課の「ニコニコE-girls」の矢部かえで氏(2011年度入社)、畑中千貴氏(2006年度入社)、小室玲子氏(1995年度入社)、土井文子氏(2013年度入社)の4名。そして乗務第8課「こめざんまい」の八尾はるみ氏(2006年度入社)、坂井桂子氏(2005年度入社)、井上衿菜氏(2014年度入社)、浅野杏奈氏(2007年度入社)の4名が参加する。
それぞれのチームはスタート前にコンテストに向けての意気込みも披露。「ニコニコE-girls」は「今日はとても緊張していますが、いつもどおりの笑顔とサービスで頑張っていきたい」。そして「こめざんまい」は「子育てと仕事を両立しながら頑張るママさんCAや普段はファーストクラスを担当するプロフェッショナルなCA、そして入社4年目のフレッシュなCAとさまざまなメンバーで構成されています。それぞれの背景は異なりますが、強みはチームワークのよさです。今日はこの場で強みを活かして日々のサービススキルを発揮したいと思います」と抱負を述べた。
さらにスタート前には各チームの応援団による応援合戦も。「ニコニコE-girls」は演目を「お祭りマンボ」とし、「そ~れそれそれOMOTENASHI~♪」や“コールボタン”などのCAならではのフレーズをプラスし、まさにお祭りムード一色に。そして「こめざんまい」は「ダンシング・ヒーロー」でバブリーな雰囲気に会場を一気に染め上げる。ファー付きの扇子を振り回し、会場はディスコさながらの盛り上がりに。
応援が終了すると「準備はよろしいでしょうか? それでは競技スタートです!」の掛け声とともにコンテストがスタート。まずはメニューのオーダーから始まった。各自担当者である旨と自己紹介を行ない、その後和食・洋食のどちらを希望するかを問う姿があちこちで見られたが、乗客の目線に合わせ、そして奥の席の乗客には少し身を乗り出して声が聞きやすいようにするなど、各自工夫が見られた。また、食事に合わせたドリンクのお勧めに対する質問にも的確に答え、食事が楽しみになる場面も。
「ニコニコE-girls」の矢部かえで氏はテーブルの重量さでうまく取り出せない乗客の姿を見つけるとさっとスマートに笑顔でサポート。周囲の乗客の状況をいち早く察知して気持ちよく手伝う姿が印象的だった。
小室玲子氏はPC作業を食事前に行なっている乗客に対し、ドリンクの提供の有無を確認し、グラスを置く際も再度声かけを行なうなどの配慮も。
土井文子氏はギャレーでジュースを注いでいるタイミングも笑顔を絶やさない。また片付けの際も乗客に一言添え、食事に対する満足度も聞いていた。
畑中千貴氏は、ギャレーにてコミュニケーションを積極的にとり、緊張するメンバーの気持ちをやわらげていた。また乗客からのワインについての質問にも的確に答え、「もっといろいろ飲んでみたい」という乗客には気兼ねなく飲める雰囲気を演出していた。
なお、「ニコニコE-girls」は食事のセッティングにもサプライズを用意。年末の搭乗ということで「難を転ずる」意味で縁起物の手作りの南天オブジェを用意。さらに鳥の形をした折り紙製の箸置きもプラスし、乗客との会話を楽しんでいた。
乗客役の1人に話を聞いたところ「まさか手作りのオブジェとは思わなかったので、その心配りに心が温かくなりました。箸置きなど、食事の際の使い勝手のよさをさりげなく提供してくれてうれしい」と話してくれた。
さらに、食事の終わりにはメッセージカードも全員分用意。「THE BEAT SPOT IN NEW YORK」としてミュージカルやバーにレストラン、さらにショッピングと到着してすぐにでも使える情報を提供。「搭乗後の楽しみについても情報を教えてくれるなどの配慮に感動しました」とコメントも複数の乗客から上がっていた。
「こめざんまい」も抜群のチームワーク。井上衿菜氏は「香るかぼす」を気に入った乗客にANAオリジナルドリンクであることを伝えて、ほんのりはちみつ風味でホッとできることなども伝えていた。
坂井桂子氏はアミューズブッシュの提供の際に、全員に対して同じではなくアレンジの効いた説明が光っていた。また、会話も弾んでおり、終始笑顔。もちろん話している乗客側も皆笑顔に。
八尾はるみ氏は、新婚旅行以来のニューヨーク旅である銀婚カップルとの会話に花を咲かせ、最新のお勧めスポットを紹介。イルミネーションやカフェなどとっておきの思い出が作れるように、2人で楽しめる場所をチョイス。さらに乗客からの「自分はないが、小麦アレルギーを持っている場合はどうしたらいい?」の質問にはスペシャルミールの案内と事前の予約が必要であることなどを伝えていた。
浅野杏奈氏は常に笑顔が基本で、ミールサービス中、常にスマイル。お勧めワインを聞かれたときは乗客の好みを聞くとすぐに辛口を提案し、乗客も大満足のようだった。また、銀婚カップルに対しても「お2人の大事な思い出が作れますようCA一同お手伝いいたします」と心強い一言を添えていた。
「こめざんまい」もサプライズを用意。銀婚カップルに対し、食後に絆の意味を持つワインとシルバーのリボンでデコレーションしたグラス、そして手書きのメッセージでお祝いする場面が。まさかの出来事に2人もびっくり。「ちょっとした一言から会話を広げてサービスにつなげてくれる姿勢に驚きました。実際の旅行の際にサプライズが起こったら忘れられない思い出になりますね」と笑顔で2人は答えてくれた。
残り5分となり、審査も大詰め。食事を終えた審査員たちが黙々と評価を審査評に書き込んでいく。そしてあっという間に90分経過し、チーム部門が終了となった。
審査員代表としてANA 執行役員 九州支社長、九州・沖縄地区担当の宮川純一郎氏は「今日はコンテストということで、たくさんのリクエストをしました。そのなかで気付いたことが2つ。まずは本当によく周囲を見ているなという部分。足元にゴミが最初落ちていて、拾わずにそのままにしてましたが、さりげない所作でさっと取っていたんです。いろいろな状況に気付き、見て、感じて、それに対しさりげなく対応している姿が素晴らしかったです。もう1つは笑顔がデフォルトという部分。会話をするなかでお客さまもいつの間にか笑顔にすることができる、それはANAが世界に誇れることだと実感しました」とコメント。
さらに執行役員 ANAテレマート 社長の梶田恵美子氏も「朝から5つ星のホテルのような時間を過ごすことができました。本当に心のこもった、メンタリティあふれた斬新な対応。そして一人一人の心配りが感じられるサービスだったと思います。私は銀婚カップルの設定を思い付き、演技していましたがエッジの効いた最新スポットの紹介やメッセージカードまでサプライズの連続。これを機に皆さんが次のANAブランドを築いていってほしいと思いました」と感想を話してくれた。
フレッシャーズとエキスパティーズ8名の実力を実感。快適なフライトをサポートするOMOTENASHIの真髄を見た
個人部門は会場前方にシート4席を設置した特設会場で実施。ここでは、2014年以降に入社したCA「フレッシャーズ」4名と、2013年以前に入社した「エキスパティーズ」4名の合計8名がサービススキルを披露する。会場は出場者の応援に駆けつけた応援団でぎゅうぎゅうの状態。立ち見も出るほどの熱気に包まれていた。
多くの観客が見守るなか、チーム部門同様に「Japan Quality」を磨き上げるため、「お客さま視点のサービスや姿勢」「グローバルカスタマーとのコミュニケーション」「ユニバーサルサービスの実践」の強化をテーマに、それぞれのサービススキルを披露する。制限時間は「フレッシャーズ」が5分。「エキスパティーズ」が7分。
「フレッシャーズ」トップバッターは海外乗務課のラオーアッタポン ナッルディ氏(2015年度入社)。応援団も登場し、ゴールドのポンポン片手にダンス。ハートマークを作りパワーを送った。シチュエーションは「NH847便 羽田発バンコク行き・搭乗中」だ。
最初に赤ちゃんを連れた夫婦が搭乗。娘のマナちゃんが初フライトだと会話から引き出し、離着陸の際の安全に対する案内をまず行なった。さらに記念になるようお祝いの手書きメッセージをキュートなイラストとともにプレゼント。また、バンコクに住むビジネスマンが天気や気温に対して質問すると即答する場面も。また利用の多い顔なじみのビジネスマンに対しても親しみやすい笑顔で会話をしつつ、忙しい状態をねぎらう言葉も忘れない。
終了後には「本当にあっという間でした。緊張もありましたが、皆さんの応援のおかげで頑張れました。コップンカー」と挨拶。
審査員からは「一番最初でナーバスになりがちな状況ながら、笑顔で素晴らしいパフォーマンスだった。特に親しみやすい笑顔に柔らかな口調でキャビンを明るくしてくれる存在だと感じた」とコメントも。
続いては乗務第2課の小林めぐみ氏(2014年度入社)。法被姿の応援団が登場し、チーム部門同様にお祭りムードに。息のあったダンスで会場を沸かした。シチュエーションは「NH847便 羽田発バンコク行き・ミールサービス後」。
ミールサービス後ということで、「食後のコーヒーはいかがでしょうか?」から次の会話につなげるテクニックはさすがの一言。機内販売のお勧めのお土産が知りたいというビジネスマンには、日本の化粧品を推薦。この時期はクリスマス向けのコフレ、また口紅なども人気とアドバイス。
また、赤ちゃん連れのカップルにはミルクを作る際のお湯の温度についてや、ママCAも搭乗しているのでお手伝いしますと安心できる言葉をかけていた。それぞれの乗客が求める事柄を素早く判断しサービスにつなげていた。
終了後は「人生で一番長い5分間でした」と緊張していたことを告白しつつ「とにかく自分らしく楽しくやろうと考えていました。自分の家族だったらどうするかをいつも考えてサービスを行なっています」と話してくれた。
審査員も「限られた時間のなかで自己表現をする難しさはあると思いますが、そのなかで笑顔をキープして、家族を思うような言葉が出たりと感動しました。まさに家族のように対応していましたね。これからもANAブランドを支えていってほしい」と絶賛。
大阪乗務課の広瀬美理氏(2014年度入社)が登場すると応援団として吉本新喜劇のテーマとともに食い倒れ人形姿のスタッフもステージに。ラストは「まいど~」のポーズで大爆笑も。シチュエーションは「NH873便 関西空港発香港行き・搭乗中」。
30年ぶりに一緒に旅立つ親子には、今の時期は香港が夜景が美しい時期であること、お勧めのお店の紹介など「全力でお手伝いします」と柔らかな口調でご案内。また愛犬写真をPCの待ち受けにしている女性に反応し「あとでぜひ写真を見せてください!」と声かけも。
終了後には「私にとってのOMOTENASHIとはお客さまであれ、クルーであれ、最大限のOMOTENASHIをすることです。本当に楽しい5分間でした。これからもお客さま、クルーのために頑張っていきます」と決意を語った。
審査員からは「応援団も、広瀬さんのトークも気持ちがこもっていてとてもよかったです。とても和ましい雰囲気を演出していたと思います。表情の少ない職員を空港で見かけることもありますが、そんななかで独自の対応に表情は非常に好ましく、ますます磨きをかけていってほしいですね」とコメントした。
「フレッシャーズ」のラストは乗務第6課の真木美希氏(2014年度入社)。応援団はなじみのエプロン姿のクルーを従え中央には応援団長の姿が。気合いの入った応援とダンス、そして「ファイトーー!!」の掛け声でパワーを注入していた。シチュエーションは「NH873便 関西空港発香港行き・ミールサービス後」。家族旅行の親子にはハガキを渡してメッセージ交換を促す会話も。「なかなか自分からは照れちゃってできないからうれしい」と大好評。また、写真撮影のお手伝いも。
また仕事をずっとしていた乗客にはリフレッシュできる飲み物やおまんじゅう、さらにアロマアイテムを提供。乗客が望む一歩その先を行くサービスで、満足度をさらにアップ。またANAに乗りたいと思わせてくれる時間だった。
終了後は「私にとってOMOTENASHIは、すべてのお客さまに真摯に向き合い、一人一人に寄り添ったサービスを体現することです。またお客さまだけではなく、同乗クルーやご縁をつないでくださったスタッフへの感謝を胸にフライトに望んでいます。仕事が大好きなので毎日幸せです!」ととびきりの笑顔でコメント。
審査員も「笑顔が素晴らしいと最初に感じました。非常に落ち着いていて、それぞれのお客さまの仕事や状況により会話を行ない、快適なフライトを提供していたと感じます。また、看護師、助産師の資格を持っているということでとても頼もしいと感じました」と話した。
個人部門後半は「エキスパティーズ」の乗務第4課の前田早紀子氏(1991年度入社)からスタート。応援団はチアのコスチュームで登場。大きな振りとポンポンを使ったダンスで会場を華やかな雰囲気に。出場者にハイタッチと「GO! GO!」の掛け声で元気を与えていた。シチュエーションは「NH110便 羽田発ニューヨーク行き・搭乗中」。
新潟出身の老夫婦には、座席の段差について声をかけたり、昔ニューヨーク線の初便に乗っていたことなどを引き出し、入社年であることなどの会話も。また、初めての海外出張でビジネスクラスだという会社員には「旅が楽しいものとなりますようお手伝いします」と不安を期待に転換するフレーズも。常に落ち着いた印象で家のようにゆったり過ごせるひと時を作り出していたのが印象的だった。
終了後には「いつも謙虚さと感謝の気持ちを忘れずに、そしていろいろな思いで乗られるお客さまにストレスを与えず、少しでも機内での時間を気持ちよく過ごしてほしいと考えています。自分がここに立てるのはいろいろな方のお力添えのおかげです。本当にありがとうございます」と挨拶。
審査員は「きわめて安定度の高い、落ち着いた対応で、さすがだと感じました。再び、フライトでお会いしたいです」と話した。
続いては乗務第2課の福田直美氏(1981年度入社)。揃いの法被姿の応援団が登場し得意の替え歌とダンスで会場を盛り上げた。シチュエーションは「NH110便 羽田発ニューヨーク行き・ミールサービス後」。
「お食事はいかがでしたか?」の確認から乗客が福岡出身だと気付き、美食の街であることに言及。さらにラーメンが食べたいのでキープしてほしいリクエストに対しても、笑顔で対応。
また、老夫婦がニューヨークで訪れる場所を相談しているときにはイルミネーションやクリスマスツリーにスケートリンクでの記念撮影も提案。また混雑しているので「ぜひ手を握ってくださいね!」とほんわかする言葉もかけていた。
終了後には「お客さまとCAの間に流れる空気感を大事にしています。真のくつろぎの答えとはお客さまの心のなかにあると思っています。なるべく近付けるよう努力しOMOTENASHIを心掛けています。出場や皆さまからのコメントは明日からの励みになります。今後とも頑張ります」と挨拶。
審査員からは「経験を積まれたCAながら、とても対応がフレッシュで好感度も抜群です。前のめりなサービスになりがちななかで、自然な形での対応はとても安心感を与えてくれて、素晴らしかったです」との言葉も。
乗務第2課の大辻智子氏(1997年度入社)では、法被姿の応援団が4度目の登場。しかも今回は出場者を巻き込みともに踊るパフォーマンスを披露し、会場を驚かせた。シチュエーションは「NH211便 羽田発ロンドン行き・搭乗中」。
妊娠中の乗客に対しては「お手伝いいたします」と機内に入ってきた瞬間からサポート。初めてビジネスクラスを利用するため不安という乗客に対し、柔らかな口調で座席についてなどを案内。
また、「雑誌に自分の会社が出ているので見てほしい」と話しかけてきた酒造関係者には、自分が日本酒党であることや12月から機内で提供の日本酒が増えていることに話をつなげていた。終始落ち着いた対応をしており、どんなことにも冷静に対処している部分に安心感を覚えた。
終了後は「自分自身ができる最大限の目配り、気配り、心配りだと思っています。常に相手を敬う心と思いやりのあるサービスに努めてまいります」と話しつつ次回の搭乗便を紹介し、そこでおもてなしを体験してもらいたいとアピールした。
審査員からは「とても自然体で、落ち着きと間合いのある本当のプロだと感じました。今回のような対応をしていただけたらとても満足度も上がると思いました」とのコメント。
「エキスパティーズ」ラストは乗務第1課の貝塚薫氏(1987年度入社)。応援団はブルーのTシャツ姿でアイドルをイメージした演目で盛り上げた。シチュエーションは「NH211便 羽田発ロンドン行き・ミールサービス後」。
ロンドンで出産予定の乗客が帰りの飛行機での対応を相談した際には、オムツや自分も含めてママCAがお手伝いしますのでと安心感も。また、酒造関係者が視察でどこを見るべきかを教えてほしいと聞くと品質管理についてを即答。通路を運動しながら練り歩く乗客に対しては、広いスペースがあることや竹踏みの用意をあることを伝えていた。
じっくりと話を聞きながら、次の話題にスムーズにつなげ会話を乗客とともに楽しんでいると感じた。また、適切なアドバイスもプラスして会話後に充実感も与えているようだった。
OMOTENASHIについては「お客さまに喜んでいただきたい、くつろいでいただきたい、楽しんでいただきたい。その気持ちとそれに伴う行動がしっかり伝わること。お客さまにとってOMOTENASHIは千差万別。そこが難しく、やりがいだと思っています」とコメント。「7分はあっという間でもっとお客さまとお話がしたかったな」ともコンテストの感想を話してくれた。
審査員は「トリにふさわしい素晴らしいパフォーマンスだった。いろいろなお客さまがお乗りになるなかで対応が難しいかと思いますが、絶妙で感動いたしました。ANAの大事にするすべての要素が体現できていたのではと思います」と話した。
2017年“OMOTENASHIの達人”が決定。2020年に向け、客室乗務員世界一を目指す
表彰式では団体部門の優勝チーム発表に先駆け、ANA 取締役 常務執行役員 藤村修一氏が挨拶。「43チームの立候補のなかから予選で20チーム、さらに2チームでの決勝ですので、どちらも甲乙付け難いレベルに達しています。どちらも優勝させてあげたい気持ちでいっぱいです」と話し会場を沸かせた。
乗務第8課「こめざんまい」の優勝が発表されると会場では大きな拍手が沸き起こり、メンバーを代表して井上衿菜氏がスピーチ。「面接時から知っていたコンテストに自分が出場できるとは夢にも思いませんでした。人数が多く、大きな組織のなかにいますが、先輩方から日々技術を受け継ぎ、そして自分も次にバトンをしっかりと渡さなくてはと改めて感じた1日でした。これからも先輩方の素晴らしい部分を吸収し、ANAファンをたくさん作り出せるようなサービスを行なっていきたいと思います」と話してくれた。
続いては、個人部門の「フレッシャーズ」の優勝者発表へ。取締役 常務執行役員の満倉達彦氏は発表前に「自然な笑顔で審査している側もとても温かな気持ちになりました。最高のOMOTENASHIを見せてくれてありがとう」とコメント。
優勝は乗務第2課の小林めぐみ氏の手に。「小さいときから得意分野がない子だったので、1位という言葉に驚いていると同時にうれしさがこみ上げて来ています。飛行機はCAだけではなく、さまざまな部署や人々が関わって1便が飛ばせるということを改めて感じました。ケータリングの方が一生懸命作り上げた食事、そして整備さんがメンテナンスした機体。お客さまと直接お話できる私たちがその想いを伝えなくてはとその責任も感じました。もう一度ANAに乗りたいと思っていただくのに、最後はやはり人と人とのつながりだと思いますので、これからも日々精進していきます」と涙で声を詰まらせながらスピーチした。
そして「エキスパティーズ」の優勝者の発表へ。取締役 執行役員の髙田直人氏が「安定したサービスで国際線の長時間フライトでもお客さまに満足していただけると確信しました。そしてこのサービスを多くのCAが模範とし引き継いでもらいたい」と出場者の後ろに控える次世代のCAたちに対し激励を送った。
優勝は乗務第1課の貝塚薫氏。「何十年仕事をしていてもコンテストは緊張する場です。今回は私が選ばれましたが、本当にたくさんのCAがおり、それぞれ素晴らしい部分を持っています。やはりチームワークですので1人の力ではお客さまの満足度を上げることはできません。いろいろなCAがいるからこそ、お客さまに臨機応変に対応できると考えています。今回の優勝は私1人の力ではありません。支えてくれた仲間、スタッフに心から感謝を述べたいです」と言葉をじっくり選んでスピーチを行なった。
閉会式では取締役 執行役員の伊東裕氏が総評。「何よりも素晴らしかったのは、フレッシャーズはフレッシャーズらしく、エキスパティーズは十分に個性を発揮し、自然体のOMOTENASHIを行なっていたこと。そして皆さんの心のなかにある“ANAのDNA”がたとえ緊張している場面でも自然とにじみ出てきている部分。それが8000名のなかから選ばれた代表としての重みだと感じました。
スキルやノウハウは個人でためているいるだけでは活かせません。組織で共有し、伝授していくことで活かせるもの。今回の経験をぜひ職場でのサービススキルの底上げの原動力としてもらいたいです。そしてさらにサービスに磨きをかけて審査員を唸らせる“OMOTENASHIの達人”を育ててほしい」と未来への期待も語った。
そして閉会の挨拶では取締役 執行役員の山本ひとみ氏がスピーチ。「お客さまとの間にある見えない空気感を、いかに読み取り言葉をかけサービスを提供するか。その結果がANAらしいサービスだったという言葉で返ってくると思っています。2020年に向けてANAが宣言している客室乗務員世界ナンバー1を目指して、ANA's Way“あんしん、あったか、あかるく元気!”を一人一人が意識し丁寧なサービスを作り上げていきましょう」とエールを送った。
そしてラストに全員で「2020 客室センター、素晴らしいOMOTENASHIを目指して、万歳!」と一本締めを行ないANA第5回“OMOTENASHIの達人”コンテストが終了した。
日々磨かれ進化し続けるANAのOMOTENASHI。受賞者に閉会後、日々大切にしていることは? と質問を投げかけると全員から「チームワーク」の返事が。さらに乗客だけでなく、一緒に仕事をこなすクルーに対する観察や出会いを大切に日々の乗務を行なっているとも回答してくれた。個性やスキルを発揮できるような環境づくりを意識しているとのコメントも。業務に関わる人間が心地よいサービスの提供を目指し、一丸となって邁進する意識を再認識させられた。
出場者全員には“OMOTENASHIの達人”ピンバッジを授与。制服の襟元にキラリと光るバッジを見かけたらぜひ積極的に話しかけてみてはいかがだろう。きっと想像を超えるOMOTENASHIの心を目の当たりにし、忘れられないフライトになるはずだ。