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森トラストとヒルトン、沖縄・瀬底島にホテルを2020年、長期滞在型施設を2021年開業
約100万坪のリゾート開発。全室オーシャンビュー
2017年11月14日 00:00
- 2017年11月13日 発表
森トラスト、ヒルトン・グランド・バケーションズ、ヒルトンは11月13日、コンラッド東京で記者発表会を開き、沖縄県国頭郡本部町にある瀬底島(せそこじま)に建設する宿泊施設の契約締結を発表、施設の概要を説明した。
開発を森トラスト、運営は132室のタイムシェア・リゾートをヒルトン・グランド・バケーションズが、約300室の客室を備えるホテル「ヒルトン沖縄瀬底リゾート(仮称)」をヒルトンが担当。タイムシェア・リゾートを提供するヒルトン・グランド・バケーションズは、日本国内で初めてのプロジェクトとなる。2018年に着工し、ホテルは2020年、タイムシェア・リゾートは2021年の開業を予定している。
森トラスト、ヒルトン・グランド・バケーションズ、ヒルトンによる宿泊施設概要
所在地:沖縄県国頭郡本部町字瀬底下地原5750番他(地番)
リゾート全体面積:33万5131m2
敷地面積:13万3791m2
タイムシェア・リゾート
運営:ヒルトン・グランド・バケーションズ
延床面積:約1万5000m2
建物:地上10階
客室数:132室
付帯施設:ラウンジ、屋外プールなど
着工:2018年予定
開業:2021年予定
ホテル「ヒルトン沖縄瀬底リゾート(仮称)」
運営:ヒルトン
延床面積:約2万1000m2
建物:地上9階
客室数:約300室
付帯施設:レストラン、フィットネスジム、スパ、屋内プール、屋外プール、チャペルなど
着工:2018年予定
開業:2020年予定
瀬底島は沖縄本島の西側にある3km2ほどの小さな離島で、1985年に完成した762mの橋によって沖縄本島の本部町とつながっている。那覇空港からはクルマで1時間半(約90km)ほどのアクセスとなる。
ヒルトン・グランド・バケーションズが提供するタイムシェア・リゾートは、週単位でリゾートの所有権を販売し、購入したオーナーはそれぞれのニーズに合った滞在型のバケーションを楽しめるというもの。オーナーは1~3部屋のベッドルーム、リビング、キッチンを備えた客室に滞在し、さまざまなオプションを組み合わせてアクティブに過ごしたり、休暇をゆったり過ごしたりできる。
沖縄・瀬底島に短期から長期滞在まで楽しめる、滞在型リゾートを
記者発表会では森トラスト 代表取締役社長の伊達美和子氏が、宿泊施設の概要を説明した。
この瀬底島のプロジェクトは約100万坪(33万5131m2)の敷地を使ったもので、敷地内には800mにわたるビーチを擁しており、「この広大な土地をどう活かすかが、デベロッパである森トラストとしての最大のテーマ。沖縄をアジアNo.1リゾートにしたいという思いを持って、何を作るのがもっともふさわしいのか考えた」という。
ここで「沖縄のポテンシャル」について説明がなされた。沖縄の観光客数は2011年から右肩上がりの成長を続けており、2016年には過去最高の861万人となった。訪日外国人数と割合も増えており、同年208万人で約3割。日本人観光客は653万人で6%増となっている。
また、沖縄県は「2021年度までに観光客を1200万人に」という目標を掲げ、大型クルーズ船対応の旅客ターミナル整備が進む本部港、2本目の滑走路の完成を控える那覇空港など、インフラ開発が進行中。さらに2016年のハワイの観光客数は890万人であり、「近年の沖縄は世界的なリゾート地にも追いつく勢いで観光客数が伸びている」と紹介した。
ただし一方で課題もある。2016年のハワイの観光収入は1兆7200億円だが、沖縄は1/3の6500億円。観光客数は近いのだが、収入には大きな開きがある。観光客の平均滞在日数も、ハワイの8.99日に対して3.75日とこれも1/3近い。
そこで宿泊施設を調べてみると、ホテル数はハワイの4万4000室に対して沖縄は3万4000室と1万室少なく、長期滞在型施設に至ってはハワイが2万2000室に対して沖縄は3500室という結果となった。
そのため、「今後さらなる発展が期待される沖縄を世界基準まで高めていくには、不足するグローバルスタンダートホテルの供給と、長期滞在型施設の本格的な導入が必要」と考え、「全世界で5000軒以上のホテルを展開するヒルトンと、今回アジア初進出となるハワイのタイムシェア・リゾートで日本にもなじみのあるヒルトン・グランド・バケーションズを同時に誘致。短期から長期滞在まで楽しめる、滞在型リゾートを目指してく」と説明した。タイムシェア・リゾート、ホテルともに全室オーシャンビューで、「広大な海に沈む絶景のサンセット」を楽しめるという。
ヒルトン・グランド・バケーションズが提供する132室、「ヒルトン沖縄瀬底リゾート(仮称)」が提供する約300室を合わせた約430室に加え、森トラストでは「スモールラグジュアリー」カテゴリーの「イラフ SUI ラグジュアリーコレクションホテル 沖縄宮古」(2018年開業予定)の約60室、「アクティブリゾート」カテゴリーの「シェラトン沖縄 サンマリーナリゾート」(開業済み)の約500室を合わせると約1000室となり、「旅行者のニーズに合わせた約1000室規模の展開を沖縄で目指し、森トラストもアジアNo.1ビーチリゾート沖縄の実現に向けて貢献してまいります」と述べて、プレゼンテーションを終えた。
人気マーケットの沖縄にタイムシェアのサービスを提供
続いてヒルトン・グランド・バケーションズ 取締役社長 兼 最高経営責任者のマーク・ワン氏が登壇し、同社のプレゼンテーションを行なった。
ヒルトン・グランド・バケーションズはヒルトンの1部門としてスタートしたが、2017年1月にニューヨーク証券取引所に独立した1企業として上場。タイムシェア・リゾートの開発・管理、マーケティング、バケーション用不動産の販売などを行なっている。
通常ホテルの宿泊は1泊から予約するが、ヒルトン・グランド・バケーションズでは1週間単位で客室を利用する期間を購入できる。客室には1~3室のベッドルーム、リビングルーム、キッチンのほかに洗濯機など生活に必要なものが揃い「長期滞在の家族を想定して、リゾートでの休暇でありながら自宅で過ごすよう」整え、「ゆとりある広さ、上質の調度品」を備えている。
現在48カ所のリゾートを手がけ、オーナー数は28.3万組、そのうち日本人オーナーは5万6000組ほどだという。ハワイを訪れる日本人向けのリゾート販売を2000年に開始、2003年に日本国内での販売を始め、今では国内拠点数は9カ所、約500人のスタッフが働いている。
日本人オーナーは年平均10%で増えており、今は「アメリカに次いで第2位のマーケット」だという。日本人オーナーの傾向は、目的地に「ビーチ」を志向し、具体的には海外ではハワイが人気、国内では沖縄が人気だという。「沖縄は人気マーケットであり、長期滞在、タイムシェアのサービスを提供することで既存、新規のお客さまのリゾート人気に応えられると考えている。森トラストとヒルトンとのパートナーシップにより、これからの開発を強力に進めていける」と語った。
部屋に入っていただければ息をのむオーシャンビューを楽しめる
最後にヒルトン アジア太平洋地域 プレジデントのマーティン・リンク氏が登壇し、関係者に感謝を述べた。
そして1963年の東京ヒルトンホテルのオープンから54年の長い日本との関係を振り返り、現在では日本国内に16軒のホテルを展開していること、森トラストとは2005年のコンラッド東京からのつながりであると紹介。2019年ラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けても、沖縄観光の成長という面からも「非常に明るいものがある」と語った。
すべての部屋がオーシャンビューであり、「部屋に入っていただければ息をのむオーシャンビューを楽しめます。このホテルが、日本のホテルの歴史に新たなページを刻むことになると思う」と話し、挨拶を終えた。