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ヒルトン、日本地区運営責任者ティモシーE・ソーバー氏が今後のホテル戦略を解説

スマホによるデジタルキーを2017年に導入。積極的なリノベーションを実施

2016年11月10日 開催

ヒルトン・ワールドワイド 日本・韓国・ミクロネシア地区 運営最高責任者 ティモシーE・ソーバー氏

 ヒルトン・ワールドワイドは11月10日、日本オフィスにおいて報道陣向けに今後のホテル戦略などの説明会を開催した。ヒルトン・ワールドワイドは、世界的にヒルトン、コンラッド、ダブルツリーbyヒルトン、エンバシー スイーツなど13のホテルブランドを展開しており、日本オフィスでは日本、韓国、ミクロネシアなどを担当。今回の戦略説明会も、日本、韓国、ミクロネシア地区 運営最高責任者であるティモシーE・ソーバー氏が詳説を行なった。

 ソーバー氏は、説明会の冒頭「いつも創業者の言葉から始める」と語り、創業者であるコンラッド・ヒルトン氏の言葉を紹介。ヒルトン・ワールドワイドの現状から説明を行なった。

ヒルトン創業者 コンラッド・ヒルトン氏

 ヒルトン・ワールドワイドは先述のように13のブランドを持ち、4800軒のホテルプロパティ(運営、フランチャイズ、所有、リース)で約78万9000室を提供している。また、積極的にホテル建設を行なっており、全世界で建設中のホテル客室の22%はヒルトン傘下のものであり、これは現在ヒルトンが提供する客室数の約5倍に相当するという。

 この客室販売を支えるのが、ヒルトンが運営しているゲスト・ロイヤルティ・プログラム「ヒルトンHオナーズ」で、約5700万人の会員規模を誇り、会員になることでの利便性を提供。アプリやWebサイトから容易に予約ができ、ポイントプログラムの運用も行なっている。

 そのほか、ヒルトンの持つ情報テクノロジ(IT)、グローバル・オンライン・サービス、ヒルトン・サプライ・マネジメントなどを総称して「コマーシャルエンジン」と紹介し、このバックオフィス機能がヒルトンの特徴であるという。

ヒルトンについて
ヒルトンの展開する13ブランド
ヒルトン独自のコマーシャルエンジン
ヒルトンが始めた革新的サービス

日本におけるヒルトン

 日本においては、ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ、コンラッド・ホテルズ&リゾーツ、ダブルツリーbyヒルトンの3つのブランドで13のホテル群を展開している。さらに、今後コンラッド大阪を2017年7月にオープン、ヒルトン沖縄金武を2019年オープン予定で、その後も積極的な展開を行なっていくという。

日本におけるヒルトン

 日本におけるヒルトンの強みは、“ヒルトン”というブランドそのもにあるという。「ヒルトンは日本において50年以上の歴史があり、価値と品質を蓄積してきた」「先ほどお話ししたコマーシャルエンジンがあり、セールス、Eコマース、人事、会計、ITとヒルトンの価値を高め続けているスタッフがいる。もちろん、品質を提供するホテルのスタッフもいる」「世界中にある34のセールスオフィスがあり、世界でセールスできること、インバウンド向けに情報を提供できることなどがメリット」と紹介、ワールドワイドなヒルトンの展開力が日本のヒルトンホテルにおける客室販売力につながっていると語る。

日本におけるヒルトンの強み
日本における成長戦略
ヒルトンの改装について
ヒルトン東京
ヒルトン大阪
ヒルトン東京ベイ
ヒルトン名古屋
ヒルトン小田原リゾート&スパ
コンラッド東京
ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城。こちらは全客室を順次改装中

 コンラッド大阪はホテルが入居するビルのオーナーである朝日新聞社と提携、ヒルトン沖縄金武はマレーシアの不動産開発企業 ディジャヤ・ランド・デベロップメントとの新規建設だが、今後日本においてはヒルトンホテルのリノベーションを積極的に進めホテルの価値を向上し、ヒルトンホテルへのリブランドも積極的に進めるという。

 これは日本においては、好立地のホテルを新規に建設するのが難しく、従来からあるホテルをヒルトンホテルとしたほうが効率がよいため。ホテルにとっては、ヒルトンブランドになることでヒルトンの客室予約システムや客室販売プランの一環に組み込まれ、とくに海外からのインバウンド需要に対しては大きな力となるだろう。

 ただ、そのリブランドについても「金太郎飴のように、ヒルトンを繰り返していくのではなく、13のブランドを持つ強みを活かして、ロケーションにあわせたさまざまなホテルを展開していきたい」と語り、これまで日本に投入していないブランドの活用を考えていることを示唆した。

2017年7月にオープンするコンラッド大阪
韓国のヒルトン釜山も2017年7月オープン

デジタルキーは2017年に日本でもサービス開始

 ヒルトンはスマホアプリの開発にも力を入れており、ゲスト・ロイヤルティ・プログラム「ヒルトンHオナーズ」用の専用アプリ「ヒルトンHオナーズ・アプリ」をリリースしており、このアプリでの予約情報を元にデジタルキーを提供している。このデジタルキー対応ホテルであれば、アプリの入ったスマートフォンから呼び出されるデジタルキーによってチェックインレスで部屋に向かうことができ、スマートフォンをかざすだけで部屋の錠が解錠されるという。

 現在、このデジタルキーサービスは国外のヒルトン系列の一部ホテルで始まっており、ティモシーE・ソーバー氏はこのサービスを2017年には日本のホテルでも展開していきたいという。ただ、各国にはチェックイン時に必用なID(パスポートなど)のチェックなどが定められており、そうした場合にはホテルのチェックインカウンターでの確認作業が必要とのこと。完全なキーレスチェックインについては、各国の法律を遵守する形での利用となる。

 日本においても旅館業法によって、宿泊者名簿への正確な記載を行なうことが定められており、外国人旅行者については旅券(パスポート)の呈示が必須となっている。そのため、日本におけるデジタルキーの運用についても日本の法律に従う形でのサービスインになるとのことだ。

 ただ、チェックイン時のカウンターにおける確認は必要となるものの、デジタルキーになることでカードキーの保持などの手間を省くことができる。デジタルキーではセキュリティ面が心配されるところだが、実際に運用が始まっている海外においてトラブルは発生していないとのこと。実際に日本で運用が始まるのが楽しみなサービスだ。