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ハワイ州観光局、日本の旅行業界向け「ジャパンサミット」開催

多様化するハワイ観光への対策が2018年の課題に

2017年9月19日~21日(現地時間) 開催

9月20日に日本の旅行業者を対象に「ジャパンサミット」が開催された

 ハワイ州観光局は、ハワイコンベンションセンター(米国ハワイ州ホノルル)において「グローバル・ツーリズム・サミット」を9月19日~21日(現地時間)の日程で開催している。2日目となる20日には、日本の旅行業者が対象の「ジャパンサミット」が行なわれた。

 このジャパンサミットは、ホテルやアクティビティ提供会社といったハワイ現地のサプライヤーとの商談会や懇親会を実施し、業界関係者とのネットワーク構築、ハワイ旅行の企画造成や販促プロモーションの手がかりを得てもらうことを目的としている。

ハワイ州観光局 局長 エリック高畑氏

 午前中に行なわれたプレゼンテーションでは、ハワイ州観光局 局長のエリック高畑氏が登壇し「2018年日本マーケット戦略」について発表した。

 プレゼンテーションのなかでエリック高畑氏は、現在の日本におけるハワイ観光業界の動向について触れ、そのなかでも好況なエアライン事情について言及した。日本からのアクセスは、各航空会社が運航する日本~ホノルル路線の定期便のほかに、ハワイアン航空やJAL(日本航空)のコナ便、2017年2月にLCC初のホノルル便を開設したエアアジアXなどにより、約9.2%増えていると発表した。

ハワイ島・コナ国際空港への直行便、チャーター便の設定、LCCの参入、エアバス A380型機の導入などでエアライン事情は好況となっている
現在の日本におけるハワイ観光業界の4つの動向

 現在日本のマーケットには約62%のリピーターがあり、その消費者たちが、滞在するホテルや飛行機のシートなどを含め、よりラグジュアリーで贅沢な体験や旅行を求める傾向にあることも述べた。さらにこれらを踏まえたうえで、エリック高畑氏は「旅行者数よりもどれだけお金を使ってもらえるか」という点も重要だという考えを示した。

 さらに、2018年度のブランドマネジメントプランとしては、ハワイ州観光局が2016年から行なっている「ごほうびハワイ」キャンペーンの推進や、ハワイ島をはじめとする隣島のプロモーションの強化、ハワイのことが学習できる「アロハ・プログラム」のほか、海外ウェディングの67%がハワイで行なわれているという背景から、ウェディング関連にも力を入れていきたいとした。

2018年度のブランドマネジメントプランとして「ごほうびハワイ」を挙げた
そのほかのマネジメントプラン

 エリック高畑氏は、近年オーストラリアやカナダ、沖縄などほかの国との競争もあるが、2016年は日本から約150万人がハワイを訪れており、ハワイがそれに対抗できるような要素を十分に持っているとしたうえで、ハワイ旅行はこれからも成長できると期待感を示し、プレゼンテーションを終了した。

2016年度は日本から150万人がハワイを訪れた。ちなみに、アメリカから日本を訪れた人の数は120万人

 午前中の講演終了後、ハワイ・ツーリズム・オーソリティ プレジデント/CEOのジョージ D.シゲティ氏とハワイ州観光局 局次長のミツエ・ヴァーレイ氏がインタビューに応じた。

ハワイ・ツーリズム・オーソリティ プレジデント/CEO ジョージ D.シゲティ氏

 今回の総会全体のテーマが「サステイナブル」になった背景についてジョージ D.シゲティ氏は、「理由はいくつかあって、一つは、ハワイが2045年までに電力の100%全てを自然エネルギーでまかなうと発表している。グリーンエネルギー、自然エネルギー、サステイナビリティという観点からいうと、ハワイがそのリーダー的存在になっていくべきというのがある。

 もう一つは、島民の旅行会社への満足度、旅行者が増えることで出てくる環境問題について、政治家をはじめ、旅行業界に従事する人たちがしっかりと総会という場で話し合い、コミュニケーションをとるということが重要だと考えている」とコメント。

 観光を維持していくためには、「文化の保持」もしくは「環境の保存」というのが大切であるということから、グローバル・ツーリズム・サミットでしっかりとしたテーマとして掲げることで全員が理解していく必要性があるという考えなどを示した。

ハワイ州観光局 局次長 ミツエ・ヴァーレイ氏

 日本マーケットについては、2018年が重要な年になるとしたうえで、ハワイ州観光局 局次長のミツエ・ヴァーレイ氏が「ハワイは観光業界を常にリードしていきたいと思っている。ハワイでは消費者であるお客さまの趣向が多様化しているだけでなく、旅行業界も多様化してきている。それは、ハワイにはフォーカスできるエリアがたくさんあるからというのがある。そういった意味合いでは、ハワイ州観光局はそれぞれの航空会社、旅行会社、OTA、それぞれの来年の方針をしっかりヒアリングし、それを理解したうえでケースバイケースでしっかりサポートできるようにしていく体制を整えておかなければならない」と述べた。

 これらの対応策として、しっかりとしたオンラインツールやサポートツールをつくることの重要性を説明。ハワイ州観光局では、これらにここ数年力をいれており、実際に「アロハ・プログラム」やコンテンツマネジメントシステムがついたポータルサイト「allhawaii」を運営している。

 ミツエ・ヴァーレイ氏は情報配信という観点からも「ハワイメディアとかハワイラバーの皆さまが配信している情報からたくさんのリソースを手に入れることができる。それらを上手に使ってよりニッチな商品を作っていきたい」と話した。

 また対コンシューマーに関しては、2016年から取り組んでいる「ごほうびハワイ」キャンペーンを引き続き進めていく考えを示した。2018年はキャンペーンの傘の下で、成田/羽田以外の都市からのファーストタイマーの促進や、日本のパスポート所持率が23%ということに関してもミツエ・ヴァーレイ氏は「JATA(日本旅行業協会)と協力してアウトバウンドの数値を伸ばしたい」とした。

「ごほうびハワイ」のターゲットは引き続き、「アクティブシニア」「三世代ファミリー」「ロマンス」「若年層」としたうえで、さらにピンポイントでハワイ島をはじめとする隣島のブランディングも進めていく。