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台湾観光局と台湾観光協会、2020年に向けた観光施策を解説
2018年以降は海と山、ロハスと体験ツーリズムがテーマ
2017年9月21日 16:18
- 2017年9月20日 開催
台湾観光局と台湾観光協会は9月20日、都内で旅行業者向けのワークショップとセミナーを開催した。台湾の各地域自治体、ホテル・リゾート、飲食店、そのほか観光施設など、およそ100団体、200名におよぶサプライヤーが来日し、台湾のさまざまな魅力を発信。セミナーでは2018年以降の台湾観光のキーポイントとして、海、山、ロハス、体験ツーリズムなどを挙げた。
AIなどのテクノロジを活用した新しい体験ツーリズムへ
セミナーの冒頭では、台湾 交通部観光局 局長の周永暉氏が、「今年は日本から台湾へのお客さま、200万人を目指して頑張ってまいります」と挨拶。2020年までの新たな目標として、2018年は海と湾、2019年は山をはじめとしたロハスな観光をテーマとし、さらにAIなどのテクノロジを組み合わせた体験ツーリズムを推進するとした。
また、台湾の多様な分野における観光推進を図るとともに、市内への観光案内所の設置、観光バス・シャトルバスのような交通機関の充実をアピールすることで、台湾の各地方への送客が増加する取り組みも進めていくと語った。
次に登壇した台湾観光協会 会長の葉菊蘭氏は、会場に詰めかけた旅行関連業者に向け「航空券の不足でご迷惑おかけしているかと思う。解決に向け常に努力している」と説明。その裏には台湾観光の恒常的な人気の高さがあるようだが、そうした状況でも旅行商品のPR活動が依然として重要であると訴えた。
現在企画が進んでいる旅行商品として、サイクリング、離島巡り、海や山をテーマとしたものを挙げた。しかしながら、都市圏を中心としたプランが多く、地方をデスティネーションとした旅行商品はまだ不足しているように思う、とコメント。
さらに2016年の相互の渡航者数について、台湾から日本への旅行者が429万人だったにもかかわらず、日本から台湾への旅行者が189万人とアンバランスな状態であることも指摘し、もっと互いに頑張っていきたい、と力強く宣言した。
注目は独自の文化を体験できる「客家 ロマンチック街道」
続いて台湾観光局 東京事務所 副所長の陳淑華氏が、台湾各地における観光客誘致施策について解説した。
まず交通の便については、日台間の航空路線の定期運航便が2016年は700便、2017年も600便と高水準であることをグラフで示した。台湾の主な玄関口となる桃園国際空港のある台北市からは、台湾の北部はもちろん、中部、東部、南部についても、台湾高速鉄道、台湾鉄道、高速道路などで数十分から3時間という比較的短い時間で移動できるようになってきているとした。
特に台北市については、桃園国際空港まで最短35分の台北桃園空港線や、延伸し続けている地下鉄、ダブルデッキの観光バスなど交通機関が充実し、利便性が高まっていると話す。地下鉄 桃園MRTの台北駅では、チャイナエアラインなど一部の航空会社について、空港まで行かずともチェックインできる「インタウンチェックイン」サービスを提供しており、身軽に最終日の観光を楽しめるとも語った。
「一番食事が美味しかった国・地域」を調査するアンケートでトップに選ばれたという台湾の「食」については、定番となっているマンゴーかき氷や小籠包以外に、魯肉飯(ルーローハン)も人気になっているとのこと。
現在最もプッシュしている観光スポットとして挙げたのは、「台三線 客家(ハッカ)ロマンチック街道」。桃園から台中にかけて伸びる国道3号沿い約150kmのエリアでは、独特の様式の建築物や食文化が息づいているとのこと。ここでしか見られない古い遺跡、ここでしか味わえないお茶など、見どころの多い地域だと語った。
そのほか、夜市や鉄道のある基隆市、ローカル線で田舎の風景を楽しめる新竹県、「インスタ映え」するという極彩色の建物が並ぶ彩虹眷村のある台中市、温泉を堪能できる宜蘭県、サイクリングロードと離島に渡るアーチ橋が魅力の台東県などをスライドとともに紹介した。
同氏によると、近年は台湾、日本を含むアジア地域で客船によるクルーズ旅行が盛り上がっており、さらに学生の教育旅行(修学旅行)でも台湾が選ばれるケースが増えているとした。これらクルーズ旅行や教育旅行については、一定の条件で助成金や特典が受けられる場合があり、旅行会社にとって販促につなげやすい施策の1つとして活用を促した。
なお、8月15日からは、日本旅券を所有している旅行者は、旅券の残存有効期間が滞在日数+1日あれば問題なく入国できるようになったという。日本人にとって台湾旅行はこれまで以上に行きやすく、魅力あるものになってきているようだ。