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エアバス・ヘリコプターズ、アジア・太平洋地域の市場概要を説明

日本国内で今後20年間、年平均+2%の成長を見込む

2017年9月11日 開催

エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 オリヴィエ・ティリエ(Olivier Tillier)氏

 エアバス・ヘリコプターズは9月11日~12日に都内で顧客向けの研究発表会(カスタマー・シンポジウム)を開催する。その初日に報道向け説明会を実施し、日本とアジア・太平洋圏における同社の状況を報告した。

 2016年11月に就任したばかり、というエアバス・ヘリコプターズ・ジャパン 代表取締役社長のオリヴィエ・ティリエ(Olivier Tillier)氏からは、日本の民間・官公庁向けヘリコプター市場で、同社はシェア50%を超えるナンバーワンメーカーであること、日本での半世紀以上にわたる事業期間で450機以上の納入実績があることが述べられ、2017年は海上保安庁から「H225」を3機、警視庁から「H215」を1機、アカギヘリコプターから「H125」を1機受注しており、美樹観光にH125を1機納入済み、そのほか年末までに「H135」など4機を納入予定だという。

 先日のパリ航空ショー2017で自律飛行試験の開始をアナウンスした同社のUAS(Unmanned Aircraft Systems:無人航空機システム)である「VSR700」については、日本の産業界と協力し、特に防衛省のニーズに応える製品開発を行なっていく、とした。

エアバスヘリコプターズ ノースアジア地域 代表 マリー=アニエス・ヴェーヴ(Marie-Agnes Veve)氏

 アジア・太平洋地域における市場概要の説明は、エアバスヘリコプターズ ノースアジア地域 代表のマリー=アニエス・ヴェーヴ(Marie-Agnes Veve)氏が引き継いだ。現在アジアで運航しているヘリコプター約2500機のうち、約1000機は同社の機体であり、市場シェアは約38%。なかでもH125ファミリーはアジアで運用中の機体において断トツの320機で、続く2位も同社の機体(「AS365/H155」の199機)。また、2016年の全世界納入機数の約1/3はアジア向けで、年平均成長率は+3%であるとした。

 日本はアジア・太平洋地域で約16%を占める2番目の市場で、機体普及率(人口100万人に対する保有機数)は3~5と高めだが、人員・物資輸送、救急医療、VIP輸送などのニーズが高いにもかかわらず中国とインドの機体普及率は0.5以下と低く、逆に今後の急成長が見込まれるという。

 さらに日本国内に目を向けると、小型双発ヘリ「BK117 D-2/H145」の共同開発などで、40年以上協力関係にある川崎重工業と同社で市場シェアは約55%(エアバス・ヘリコプターズ43%、川崎重工業12%)を占める。ここでもやはり運航中の機体数1位はH125(86機)で、2位~4位も同社の機体が占めている。

 1990年代のバブル期に急増したプライベート機などの減少で、過去20年(1997年~2016年)下り坂だった国内市場は、2011年あたりに底を打ち、同社は今後20年(2017年~2036年)で年平均+2%の成長を見込んでいる。これは政府が訪日外国人旅行者の目標を2020年に4000万人、2030年に6000万人と見込んでいること、ドクターヘリの拠点医療機関が70~100カ所に増加する予測であることが理由として挙げられた。一方、今後予想されるパイロット不足については、同社の神戸拠点にアジア・太平洋地域で唯一、フルフライトシミュレータによる訓練を提供しており、特にドクターヘリや消防・防災ヘリのパイロット育成に大きく貢献できるという。

アジア・太平洋地域でのシェアは約38%
日本国内でのシェアは約43%
VSR700については、2017年7月に日本企業へ情報提供依頼書を送付したばかり
エアバス・ヘリコプターズ マーケティング部門 セールス・プロモーション・マネージャー ラルフ・ニコライ(Ralf Nicolai)氏

 最後に、エアバス・ヘリコプターズ マーケティング部門 セールス・プロモーション・マネージャーのラルフ・ニコライ(Ralf Nicolai)氏から、H135に搭載したアビオニクス(航空機向け電子機器)の「ヘリオニクス」についての解説があった。「詳細に語ると夜になってしまうので」と冗談を交えつつ、ニコライ氏からはヘリオニクスが今後の新型双発機で共通のコクピットであること、そのため乗り換えや訓練が容易であること、ハードウェア共通化で部品調達・整備が簡便であることなどが語られた。

 ヘリオニクスはナイトビジョン対応の3つのディスプレイ(1つはバックアップ)、4軸のオートパイロット、タッチパネル式のGPS/ナビ/通信機能を2基などで構成されており、“すべての必要な情報を1行で表示”しているのが特徴という。

小型双発ヘリ「H135」
H135に搭載する「ヘリオニクス」
ヘリオニクスの特徴
パワーマージン、速度、機体姿勢、垂直速度、高度、地上高度が1行に収まっている