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メゾネットの客室や檜風呂!? JR東日本が豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」の車内や試走を公開
上野駅の乗客専用ラウンジなども公開。5月1日運行開始
2017年4月27日 00:00
- 2017年4月26日 報道公開
- 2017年5月1日 運行開始
JR東日本(東日本旅客鉄道)は、5月1日からクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トラン スイート しきしま)」の運行を開始するが、4月26日にその内覧と試走の様子を報道向けに公開した。
TRAIN SUITE 四季島は、上野駅を発着駅とする10両編成の豪華寝台列車。山梨~長野~福島などを巡る1泊2日コース、太平洋側を青森まで北上する2泊3日コース、北海道は登別まで北上したあと、東北地方や新潟など東日本をぐるりと周遊する3泊4日コースなどが用意されている。
乗客の定員は17組34名、運行は運転手2名、車掌2名、クルー9名、キッチンクルー3名以上で行なわれる。客室は3タイプあり、いずれも定員は2名。料金例として2泊3日冬コースの場合、1番標準的な「スイート」は50万円(2名1室利用時の1名の料金、以下同)、フラットタイプの「デラックススイート」は65万円、メゾネットタイプの「四季島スイート」は70万円となっている。きっぷとしての販売はなく、旅行会社で「旅行商品」として販売される。詳細はTRAIN SUITE 四季島のWebページを確認してほしい。
TRAIN SUITE 四季島
運行開始日:2017年5月1日
TEL:0570-00-7216
Webサイト:TRAIN SUITE 四季島
TRAIN SUITE 四季島の乗客は発着駅の上野駅から乗車することになるが、「四季島スイート」「デラックススイート」の乗客向けに、ハイヤーが指定の場所と上野駅正面玄関近くの乗降場所間の送迎を行なうサービスを提供する。また、自家用車で上野駅まで来た場合も、バレーサービスを提供。旅行中はクルマを預かり、帰着時刻に合わせて乗降場所へ回送してくれる。
乗客は上野駅の改札に特別に設けられた専用のゲートから構内に入場、13番線と14番線の間に新設された「新たな旅立ちの13.5番線ホーム」から乗車することになるが、そのホーム脇には乗客が出発前と到着後に利用できるラウンジ「PROLOGUE 四季島」が用意されている。
乗客は発車時刻の2時間前からPROLOGUE 四季島を利用でき、発車までの時間をゆったり過ごすことができる。
TRAIN SUITE 四季島への乗車は13番線と14番線の間に設けられた13.5番線から行なう。ここは昔は列車に荷物を預ける貨物ホームや、新聞などの輸送の積み下ろしに使用されていたものを専用の13.5番線ホームに改装したもの。
ちなみにTRAIN SUITE 四季島の車両には「C」「P」「PS」「DN」といった対応する保安装置の表記がある。TRAIN SUITE 四季島は青函トンネルや、架線のない路線などさまざまな場所を走るため、さまざまな保安装置に対応していることを表わしている。
車両の大きな特徴としては大小さまざまな窓が挙げられる。車両は片側に客室、片側に廊下というレイアウトになっており、客室側には大きめの窓を中心に、廊下側には小さめの窓を中心に散りばめるように配置し、乗客にさまざまな大きさの額縁から東日本の風景を楽しんでもらおうという意図が込められている。
TRAIN SUITE 四季島のラウンジとダイニング
TRAIN SUITE 四季島への乗車は10両編成の5号車から行なう。5号車がラウンジ車両であり、ホテルのフロントとしての役割も兼ねている。乗客はここで客室のキーを受け取る。ラウンジの名前は「こもれび」。
車両のサイズは寝台特急のカシオペアとほぼ同じだそうだが、ラウンジや「四季島スイート」「デラックススイート」などの上級客室は、天井を高く設けているのが大きな特徴とのこと。モーターのない車両にレイアウトすることで高さを確保し、一般的な普通列車の2階建てのグリーン車の境をなくしたぐらいのスペース感を実現し、乗客に開放感、広がりを感じてもらえるようにしているという。
客室「デラックススイート」
上級客室「デラックススイート」は2段の段差はあるものの基本的にはフラットタイプで、天井の高さを最大限に活かしている。四季島スイートはベッドだったが、デラックススイートとスイートではソファベッドになる。乗客がダイニングで夕食をとっている最中に、クルーがベッドメイキングを行なってくれる。乗客がオーダーすれば旅行中ずっとベッドのままにもしれもらえる。デラックススイートの浴室にも檜風呂が用意されている。
客室「スイート」
標準的な客室である「スイート」は、天井の高さがほかのパブリックスペースと同じ一般的なものとなる。モーター搭載車のためだが、防音対策はしっかりと施しているとのこと。
3タイプの客室は広さやレイアウトは異なるが、仙台箪笥をイメージした意匠のクローゼットなど、しつらえは基本的に統一のものを使っているという。ただし、スイートの浴室に湯船はなく、シャワーのみとなる。
また、ラウンジに最も近いスイートは、バリアフリーとなっており、一般的なサイズの車いすで乗車してそのまま客室内に入れるようになっている。
そのほかのTRAIN SUITE 四季島の特徴
編成両端の1号車と10号車は展望車。ビュー・テラス「きざし」「いぶき」となっており、乗客なら誰でも入り、流れる風景を楽しむことができる。このビュー・テラスに敷かれているグリーンのカーペットは建築家の隈研吾氏がプロデュースしたもので、山形のオリエンタルカーペットが製作し、「きゅっきゅ」と独特な感触を味わえ、素足で楽しんでもらえるようにしたという。
TRAIN SUITE 四季島は東日本のさまざまなエリアを運行するため、架線から電気を得てモーターを動かすほかに、ディーゼルでモーターを動かすことでも走ることができる。
寝台列車ということもあり音や振動を抑制するために食事の時間帯、就寝の時間帯はスピードを下げて走行するほか、駅などにあるポイントを通過する際には揺れを抑えるためにスピードを落とし、通過後はスピードを上げるといった、乗客の快適性に配慮した運転技術が必要になるため、熟練者を運転手に起用しているという。
また、クルマでいうアクティブサスペンションに当たる装置を車両に搭載しており、これは新幹線のグリーン車などにも採用されている技術だという。この装置を50~60トンある各車両に4基ずつ搭載し、横揺れを抑制しているそうだ。さらに運行路線の線路には土木的な強化も施しており、乗客に快適に眠ってもらい、楽しく食事に集中してもらえるようにしているとのこと。